日々の泡。

popholic diary

恋のルール

そんなわけで休日出勤続きでまたまた更新出来てない。今日も覚書更新。最近は音楽より映画に比重を置いてるような。ま、たまたまなんだけど。

西川美和監督「夢売るふたり」観てきた。何層にも重なった感情のひだを一つ一つめくっていくような…。恐ろしく冷静な視線。こ、怖いよ西川監督…。しかし怖さと同時に人間の業を肯定する優しさも感じさせる。西川監督、平成の向田邦子と呼びたい。

夢売るふたり」。「幸せってなんだっけ?」と問いかけつつ、描かれる様々な女の生き様。できればそっと蓋をしたくなるようなとこを、グイとえぐり出す西川監督の前で、映画館で正座させられてるような気分の41歳男子であった。

夢売るふたり」。省略するとこと、行間を作るとこが絶妙。緩急の間合いがとにかく素晴らしい。それから松たか子は、やっぱり凄い。なんちゅー表情するねん、と何度も唸った。あと安藤玉恵が素晴らしかったなー。そうそう音楽もいい。あの音楽にちょっと救われたとこもあったな。

夢売るふたり」話をもう少し。自慰シーンや生理用品を下着に着けるシーンなんかをはじめ、これは男には絶対撮れない、これを挟み込む発想は男からは生まれないと思った。こういう映画観るともう絶対女性にはかなわないと思う。本能的に本質を判っているというか。男は学習しなきゃ判らないから

夢売るふたり」西川監督はとても繊細に小さな感情の動きを見ると同時に、完全に俯瞰で冷静に物語全体のうねりを見てる。登場人物一人一人をケアしながらもどこか突き放している。否定もしなければ、同情もしない。許す、許さないでもない。あのラストは観終わってからジワジワくる。

夢売るふたり」絶妙かつ役者に手厳しいキャスティング。田中麗奈をあの役に、とかなかなか意地悪と言うか。田中麗奈が西川監督と再び仕事したいですか?のアンケートに「10年後ぐらいに、役者として力つけてから」としてたの読んでウワーて思った。そこも含めて西川監督、怖いなー。なんて。

西川美和監督の「夢売るふたり」。もう付け足すことないね。どんだけ呟いてんだ。上でも書いてるけど、こういう映画を観ると、女性って一体…なんて思ってしまう。本質を直感で見抜いちゃってるからなぁ。虚と実がいつのまにか反転していく、人間と言う危い存在をしれっと描いちゃうんだ。

で次は内田けんじ監督の「鍵泥棒のメソッド」。

内田けんじ監督、待望の新作「鍵泥棒のメソッド」観てきた。最高っ!完璧っ!以上。いやほんと、好きだわぁ、内田監督作品。美しい数学の問題のような脚本。それでいてまさに「胸キュン」な「ラブコメディ」で観終わった後の爽快感たるや、もう!

鍵泥棒のメソッド」。これまたむちゃな設定で広がっていく大風呂敷が、もう完璧に回収されていく気持ちよさ。その回収のされ方が実にキュートで嬉しくなる。アレっ?と違和感を覚えるところに、ちゃんと意味があって、その丁寧な積み重ねが物語を進めていく。気持ちよすぎる。

鍵泥棒のメソッド」。緻密で計算されつくしたストーリー展開のおもしろさだけでなく、ある種普遍的な「恋」の話にもなっている。ポップでキュートなラブコメディとして楽しめる。中学生とかに観てほしい。絶対、「映画」を大好きになるだろう

鍵泥棒のメソッド」。香川照之、巧すぎる。で、その巧すぎるとこを逆手にとっての役なんだよなぁ。いいキャスティング。堺雅人のダメっぷりも内田監督との前作「アフタースクール」以上で可笑しい。そして広末涼子の見た目のかわいさが映画をポップでキュートなラブコメにしている

鍵泥棒のメソッド」、ポップでキュートで胸キュン。音楽の好みもそうだが、僕はやっぱりPOPなのが好きだなぁ。最近はますますその傾向が強い。複雑さや難解さすらもストーンとポップに表現する。その柔らかな強さに惹かれる。

こちらも語りつくしてるな。内田監督の伏線〜回収の語り口の巧みさは言うまでもない。例えば前作「アフタースクール」はその伏線〜回収がメインのようなとこがあったが、今作はあくまでそれは話の為の手段で、本筋はそこじゃないとこが素晴らしいと思う。そこで語られるのは「Boy meets Girl」であり、「恋の魔法」でありといった手垢のついた古典的なテーマ、「ラブストーリー」なのだ。でも全てのポップソングがラブソングであるように、それは普遍的で永遠のテーマでもある。その古典的なテーマである「ラブストーリー」を、手垢のついてない新鮮な手法でポップでキュートに描いてる。あぁもう「好きだなぁ、こういうの」としか言えない。