日々の泡。

popholic diary

RAINY DAYS AND MONDAYS

今日も雨。でバスで通勤。なんか雨の中、歩く気力がない。
仕事も覇気がない感じでグダグダと。もうとっとと帰る。
真っ直ぐ帰宅。…とはいかないのがダメ親父たるゆえん。真っ直ぐ、滋賀会館シネマホールへ。
緒方明監督「いつか読書する日」観る。秀作なり。50歳になる男と女。牛乳配達とスーパーのレジ打ちを仕事に、何もない孤独な暮らしを続ける平凡な女。病気で余命いくばくもない妻を介護しながら役所で働くこれまた平凡な男。坂道の多い、小さな町にひっそりと暮らす二人。二人は密かな想いを胸に、30年以上も互いに目さえ合わすことなく別々の人生を生きている。不器用な二人の歯車は、もうすっかり錆びきって動くことのないように思えた。が静かにゆっくりと歯車が動き始める-。ってな話。上質のメロドラマ。大人の物語に見えて、実はこれは大人の中にいる少年と少女の淡い物語だと僕は思った。冷静を装ってみても、忘れたふりしてみても、人を想う気持ちってのはもうどうすることもできないぐらいに揺れてしまう。カバンの中で牛乳瓶が揺れてぶつかり合うかすかな音。そんな風に二人の想いが揺れてぶつかってかすかな音をたてる。大袈裟にロマンティックに描いてないところがいい。地に足をつけて、生活といううすのろを真っ向に生きる大人の男と女。ヒーロー、ヒロインとは程遠いありふれた二人が、ちょっとづつ不器用に視線を交わす。秀作なり。で主演の二人、田中裕子(素晴らしい演技、貫禄)と岸部一徳がもうね、いいに決まってるよね。岸部一徳のあの声のトーンが、たまらなく好き。岸部シローじゃこうはいかない。それと大好きな曲「雨の日と月曜日は」がいいとこで流れるのにグッときた。それもカーペンターズじゃなくってポール・ウィリアムスのヴァージョンが!切なさ2割増のポール・ウィリアムスのしわがれた声に泣きそうになる。