日々の泡。

popholic diary

2001年ベストアルバムの話。

1.「Dire Morons TRIBUNE」 MOONRIDERS
ダントツの1位はやはりムーンライダーズ。結成25年にしてこの絶倫ぶり。最新作にして最高作、大傑作にして大問題作、 ポップもアヴァンギャルドもジャズも日本語のロックもトランスもパンクもプログレも風刺もひねくれも光も闇も、LOVEもWARも全部ひっくるめて、なおその先の地平にユーモアを持って進むこの怪物バンドにしびれにしびれた。

2.「Fine」 KIRINJI
出来すぎなところが難点なぐらいの出来すぎたアルバム。楽曲のクオリティ、隅々まで行き届いたサウンドプロダクション、独自のひねくれとユーモアに満ちた詩。間違いなく現在日本最高峰のポップメーカーである。もはや達郎とか越えてるよ、実際。

3.「Bugcity」 青山陽一
メジャー3作目にしてさらにそのルーツにディープに迫ったロッキンなアルバム。いきそでいかない癖のあるコード展開、時にまったりと時にざっくりと乾いた音色でうねるギターの心地よさ、そしてヴォーカルはさらに味わい深く響く。今、青山陽一を聞かないでどうする!ってことです。

4.「henry」 CHOCOLAT
ポップミュージックとはかくあるべしというアルバム。その切なくて、はかなくて、美しい響きは青春の輝きそのものである。そしてその輝きはショコラの歌声、息遣いにのって、青春が永遠ではないことを知ってしまったこの30男の胸を熱くしめつけるのだ。M-1「GOD・LOVE・BEAT」は名曲中の名曲。

5.「People」 小坂忠
Tinpan、佐橋佳幸のいい仕事ぶりはもちろん、なんたって歌がいい。歌が生きてるんだよ!これこそ、大人の仕事。これ聞いちゃったらスタイルだけの小便臭いソウルなんて聞けやしないよ。

6.「ドラマチック」クラムボン
タイトルに偽りなし。まさに「ドラマチック」なクラムボンの最高作が登場。原田郁子嬢のヴォーカルはさらに表現力が増しましたなぁ。

7.「Una Marcia」Instant Cytron
2001年はインスタントシトロンにとってはいい年だった。旧作がボーナストラックを加えて再発、外資系CD店でも軒並み大プッシュという状態でデビュー時からのファンとしては嬉しい限り。今作もインスタントシトロンらしい過剰なかわいさ満点。

8.「The Essence Of Pop-Self」ya-to-i
岡田徹山本精一伊藤俊治というツワモノたちがPOPという名のもとに繰り広げる数々の実験は刺激的だ。山本精一の描く心地よいメロディーにはまった。

9.「ママスタジヲママスタジヲママスタジヲ
ファーストアルバムらしい勢いに満ちたアルバム。楽曲も粒ぞろいだし、ニューウェーヴィーなギターが今や新鮮で心躍る。特にベーシスト杉村美奈嬢ヴォーカル曲が全部いい。今後の期待も込めての選出。

10.「The Marbletron Sessions」Nathalie Wise
M-1「残された海」にひどく感動した。こういう表現方法もあるんだなぁという感じで、その音楽の進化というか深化に。

<総評>
今年のベスト10選出はちょっと迷いましたねぇ。正直前半はあまりグッとくるアルバムに出会えなかったなぁという感じだったんですが、最終的には外さざる得なくなっちゃったアルバムも出てきてしまいました。2001年は割と保守的なCDの買い方をしたので(経済的な理由に負うところが大きいのがサラリーマンリスナーの辛いところでして・・)バラエティということでいえばあまりないし、もちょっといろいろ聞きたかったかなという感想もあるのですが・・。

一位のライダーズはもうスイマセンというとこで、もはやライダーズについては評価とかそういうの関係ないんで本当なら外すべきなのかもしれませんが、ここまで素晴らしいと、ね。KIRINJIはちょこちょこは聞いてたのですが、今作はほんと良く出来ていて唸っちゃいましたねぇ。青山陽一は派手さはないですが地に足つけて音楽と真っ当に対峙してる感じがいいです。その上でそこはかとなく漂うユーモアも良し。ショコラを入れたのがこのベストの肝。ホントに胸が締め付けられるような切なくて美しい名盤です。僕はこういう女の子の声が大好きなのです。ご飯軽く3杯はいけそうですよ。小坂忠は歌がいいんだよねぇ。佐橋佳幸のいい仕事ぶりもベストテン入りの理由です。クラムボンの「ドラマチック」は間違いなく彼らのベスト作でしょう。インスタントシトロンは期待しすぎな部分もあったのですが、もっともっと多くの人に聞いてもらいたいという思いも含めて入れました。それとこのアルバムに収められている「Space parade」という曲はホント素晴らしですよ。ya-to-iのポップ感と実験性、ママスタジヲの勢いとフレッシュさ、Nathalie Wiseの静寂の中に広がる音の深み、それぞれが印象的でした。

そんなわけでこれが2001年に僕が気に入った音楽。興味ももたれたらぜひ買って聞いてください。