日々の泡。

popholic diary

2000年ベストアルバムの話。

2000年アルバムベストテン

1.「HOPKINS CREEK」直枝政広
2.「Love,painful love」鈴木祥子
3.「ショック療法」クレイジー・ケン・バンド
4.「EQ」青山陽一
5.「Brain Park」松尾清憲
6.「Drops will kiss」福間未紗
7.「ライラックアパート一〇三」加藤千晶
8.「秋の十字架」ラフィータフィー
9.「LITTLE GANG OF THE UNIVERSEINSTANT CYTRON
10.「THE HEARTS」山下久美子

<総評>

という訳で、以上が2000年のベストテンです。

いや、2000年はもう99年以上に大豊作で10作に絞り込むのはほんと大変でした。
で、そんな中で1位に挙げたのはカーネーション直枝政広氏、キャリア16年にしての初ソロ作。シンガーソングライター的アルバムを想像していたが、聴いてみるとこれがもうマッドでセンチメンタルでロックな快作。40男の溢れるロック魂に30男の魂は震えたね。タフネスとロマンチシズムに満ちた音世界。孤独感と開放感を同時に感じさせる都市生活者のブルース。
2位は鈴木祥子がプロデュース、アレンジはもちろん全演奏をたった一人で行った入魂の一作。優れたソングライターであり、シンガーである彼女のアルバムは傑作が多いがついに決定打が出たという感じ。痛々しいまでに切実な唄が、ギターが、ドラムが 、生々しく迫ってくる。特に岡村靖幸の「イケナイコトカイ」のカヴァーはここ数年聴いた唄のなかでも最も心に響いた一曲である。
続いてのクレイジーケンバンドは最高にいかしたアルバム。「愛」と「叡智」とそしてなにより「ユーモア」があるのが最高なところ。おしゃれと下世話の絶妙なバランス、これぞ大人の音楽。
昨年に続いてランクインの青山陽一。ランクは落としたけど、前作をはるかに超える傑作。上半期では1位かな。彼にしか作り出せないグルーヴ感がたまらなく心地いい。味のあるギターとヴォーカルもますますいい調子で、この人にはほんと、ブレークして欲しい。
松尾清憲の13年ぶりのソロ作は、何はともあれ、メロディーが素晴らしい。ビートルズ直系のマジカルな美メロの数々。ポップの魔術師・松尾の才能が爆発した傑作。
で5位以下は、日々の泡ならではという感じの選出でしょ。
福間未紗加藤千晶インスタントシトロンはぜひとも聴いていただきたい。
福間のイノセントな歌声の持つ力は単なる癒しを超えている。
ティンパンアレー系のどこか懐かしくも心地よい楽曲を作る加藤千晶のソングライティング力は特筆もの。サウンドプロデュースのカーネーション・鳥羽修氏とのコンビネーションの良さも相まって、曲がいい、音がいい、心安らぐアルバム。
インスタントシトロンの久々のアルバムは9月に発売、販売元の解散から発売後わずか10日で廃盤、そして12月にあの長門芳郎氏率いるドリームウェルズレコードから再発という数奇な運命をたどったアルバム。ちなみに私は9月の初版分も12月の再発盤も買ってしまいましたが・・。「永遠の少年・少女へ。世界で一番かわいい音。」という帯のコピーに偽りなし。片岡知子嬢のウィスパーヴォイスに込められたポップ魂。過激なまでのかわいさに最敬礼。
忌野清志郎率いるラフィータフィーのアルバムがまた名曲ぞろいで最高。清志郎氏はロックスターである前に根っからのブルースマンなのだ。
最後は山下久美子のセルフカヴァーアルバム。ジャケットの彼女の穏やかな笑顔も素晴らしいが、デビュー20年で今もってというか、デビュー当時より新鮮でキュートな彼女の歌声には感激した。いい年のとりかたとはこういうことでしょうね。

でこうして10作あげましたが、2000年はほんといいアルバムが多くて、例えば「Tin Pan」Tin Pan、「ヘンリーの憂鬱」西村哲也、「Miss maki nomiya sings」野宮真貴、「ON THE BORDER」久保田麻琴、「Home Girl Journey」矢野顕子、「やさしい手」イノトモ、なんかも素晴らしいアルバムでした。
それとあえてベストテンにはいれませんでしたが、佐野元春の2枚組ベスト「The 20th Anniversary Edition」、鈴木博文の2枚組ライブ盤「HIROBUMI SUZUKI & GREAT SKIFFLE AUTREY」、ムーンライダーズのこれまた2枚組ライブ盤「a touch of fullmoon shows in the night」もよく聴いた。そうそうムーンライダーズといえば、久々のアルバム「Six musicians on their way to the last exit」も20世紀を締めくくるにふさわしい作品ですがムーンライダーズはもはや殿堂入りということでベストテンからは外しています。
そして忘れてはならないのが矢野顕子大貫妙子奥田民生宮沢和史鈴木慶一によるライブ「Beautiful Songs 」を収めた「Live Beautiful Songs」。7月に見たこのライブは一生の僕の宝物になるでしょう。大貫妙子の「横顔」、鈴木慶一の「Beautiful Beautiful Songs/ラ・ラ・ラ」など僕にとっては大切な、とても大切な音楽の一つになりました。

そんなわけで昨年同様、誰に頼まれたわけでもなくベストテンを挙げてみましたが、あくまで、これは僕個人のベストテン。音楽の聴き方、感じ方は人それぞれ。
でもこのベストテンが誰かと音楽との出会いのきっかけになるのなら、それ以上嬉しいことはありません。