日々の泡。

popholic diary

LIVE SERIES “VOLUME”SPECIAL TOUR「TIDE」 高野寛(1999年7月7日)

一言で言うと愛に満ち溢れたライブであった。
大阪はバナナホール高野寛初の単独弾き語りライブ。
定刻から5分程の遅れでライブはスタート。客電が落ちカリンバの音がどこからか響く。と後方から何やらざわめきが。振り向くとなんと高野氏、カリンバを手に後方ドアから登場。観客の間をすり抜けステージへ。そのまま1曲目「On and On」になだれ込む。そしてすぐにギター抱え「相変わらずさ」。挨拶代わりといった感じで「大阪は今年4回目~」なんてくすぐり交えた大阪バージョン。これで一気に場がなごむ。
で落ちついた感じで「弾き語りでやるのは初めて」と懐かしい「ベステンダンク」。
で早くも最新アルバム「Tide」の中でも名曲中の名曲「フルーツみたいな月の夜に」。ホール全体をギターの音と歌声が包む。思わず目を閉じその静かながら力強いグルーヴに身を委ねる。
「今日のライブは素晴らしい」この時点で確信した。
「Tide」からの曲中心にピアノの弾き語りなど交えライブは進む。で「テルミン」登場。「テルミン」ってのはなんとも説明しがたいのだけど触れないで音を出すなんともストレンジな楽器。楽器紹介しながら軽く「七夕」を弾いた後、テルミン弾き語りで名曲「いつの間にか晴れ」。スペイシーな音に会場全体がトリップするような感じだ。しかしテルミン弾き語りする人も珍しいよ。
そしてギター抱えここから一気にまくしたてる。「新しいカメラ」から「何も知らないで生まれて」「黒焦げ」とガンガン会場を乗せていく。「ほんとはみんな歌いたいんじゃないの!」と煽る、煽る。一気に会場爆発。ギターと歌声と手拍子だけでこのグルーヴ。高野寛のライブアーティストとしての実力を見せつけられる。
いつのまにか観客総立ち、コール&レスポンスも気持ちよく会場が一体化する。高野氏も「ほんとに最高だ!」と何度も言っていた。
ラストは「No word,No think」。このままずっとこのグルーヴに身を委ねていたいというのは観客全員の思いだったろう。
もちろん拍手なりやまず当然のアンコール。
高野氏の曲のなかで僕のフェイバリットである「夢の中であえるでしょう」。観客のコーラスの上を高野氏の歌声が気持ちよくのっかる。これぞ音楽のマジック。この気持ちよさを実感したのなら人々が争うことがいかにくだらないかがわかるだろう。
これまた名曲「All over,Starting over」からデビュー曲である「See You Again」へ。この曲でデビューした時の高野氏の印象は線の細い、ネオアコ少年って感じだったが今ここで歌っている氏にはミュージシャンとしての自信やタフネスさが感じられる。僕が言うのもおこがましいが氏の音楽家としての成長ぶりはずば抜けている。
ここで一旦終了だがもちろん拍手はなりやまず。2回目のアンコールは一曲目と同じ「On and On」。カリンバ手にマイクなしで歌われる歌がすっと心の中に入ってくる。
「仕事は明日もたくさんあるけど On and On ちょっとづつこなしていこう」世界はひどく悲しくて、日常ってやつはとんでもなくうすのろでいやになることもあるけど、音楽があれば生きていける。
一言で言うと「愛」に満ち溢れたライブでした。