日々の泡。

popholic diary

Baby,Please Knock My Door

さて、8月に見たライブのことなど。
「勝手にギンジンナイト@京都エポケカフェ」。出演は福岡史朗さん、大久保由希さん、河村博司さんに藤原マヒトさんというギンジンレコードの面々。まずは福岡史朗さんが登場。唯一無二のシンガーソングライター。無自覚のオリジナリティ。誰かのまねじゃなく、福岡さんが重ねてきた日々から生み出された音楽と表現。とにかく「いかしてる」としか言いようのない歌とギター。ギターの音一つ、歌声一発で一気に福岡ワールドが広がる。誰もがその歌を聴けば、「これ誰が歌ってるんだろう」って気になると思う。そしてすぐにファンになるだろう。いくら言葉を並べたててみても、その一音の饒舌さに敵わない。それだけ圧倒的な音なのだ。でライブは?最高に決まってんじゃん。
続いては河村博司さん。名前はそこ、ここで目にしてたけど、曲聴くのは初めて。ドラマチックでメロディアスな楽曲。観客を引き込む人懐っこく、熱いステージ。メロディフェチの僕には、どの曲もとても魅力的に響いたな。藤原マヒトさんもライブは初めて。80年代後半に出た藤原さんと鈴木惣一郎さんのバンド「エブリシング・プレイ」の1stアルバムは大好きで今でもたまに聴く。「休日」って曲がめちゃいい曲で。ってそれはまた別の話。で藤原さんのステージ。静かにゆっくりと曲の中に入っていけば、いつの間にか大きな物語の中にいるといった感じ。冷静さの中に激しさがある。
そして最後は我らが大久保由希さん。レムスイム「アンダースロウブルース」に衝撃を受け、初めてライブを観たのがもう5年ほど前になる。大久保さんのかっこいいギターと歌に大感激し、ライブ終わりにお声をかけたら気さくにいろいろとお話下さってまたまた大感激。それ以来の大ファン。7月に出たアルバム「大久保由希」はその堂々の名前タイトルが示すように、最新にして最高作。5年という月日、そこに重ねられてきた日々がしっかりと音に結実している。進化&深化した大久保由希、まさにその人の音楽。そしてライブ。ここにもまた積み重ねてきた日々の結晶があった。。「体内時計」ならぬ「体内グルーヴ」が湧き出るドかっこいいステージ。ギターをかき鳴らし歌う姿のかっこいいこと。なんだろな、あの歌の魅力は。エモーショナルに歌い上げるわけじゃないし、どっちかというと突き放したようなヴォーカルスタイル。媚びない魅力っつーのかな。アメコミのヒーローみたいな、ハードボイルドな歌。強くて男前、でもそれでいてどうしようもなく切なく胸に響く瞬間がある。そこがまたグッとくるんだ。ハードボイルドとユーモア、強さと弱さ。いい音楽って常に片面だけでなく相反する裏表的な両面が混じり合ってんだよね。それは音楽だけに限らず全ての芸術に言えると思うし、それこそが人間なんだろう。大久保由希さんの音楽もまたそうで、それは大久保由希さんその人自身なんだろうと思う。だからアルバムタイトル「大久保由希」ってのは正解だし、それしかないとすら言える。ま、とやかく言わずに聴けばいい。きっと「大久保由希」の魅力にとりつかれるはずだから。