日々の泡。

popholic diary

2021年6月12日~18日の話。

土曜日。朝から庭の枇杷を収穫。20年ほど前、何気なく庭の端に埋めた一粒の種。別に育てる気も無く放ったらかしにしてただけなのだがぐんぐん成長しもはや切ることも容易にできないぐらいになっていた。そんな枇杷の木に去年初めて少し実がついた。ほとんどを鳥につつかれ収穫できたのは10個ほど。で今年、見上げると実が鈴なりに!鳥につつかれる前にと収穫するとまぁこれが凄い量。ゆうに100個、いや200個はあろうかという立派な枇杷。脚立に登って大収穫祭。人生フルーツですな。

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午後はアマプラで韓国ドラマ「マイ・ディア・ミスター」6、7話を。7話の最後でやっとIUの笑顔が観れた。イ・ソンギュン演じる人生に諦め疲れた男ドンフンに思わず感情移入。しかしドンフンが巻き込まれていく会社内の権力争いの物語、IU演じるジアンのケン・ローチ的な貧困と社会の物語、ドンフンの兄弟たちの負け犬達の物語と濃厚な3つの物語が交差し互いに共鳴し合う。見応えあり!

夜はTVで「キングオブコントの会」。俺たちが好きだった、そして観たかった松本人志が帰ってきた!という感じ。最後の「管理人」コントには笑ったし唸った。映画にして欲しいぐらいだ。

日曜。大量収穫した枇杷を前に茫然。とりあえず形のいいものは生食用に。そして残りの半分をまずは砂糖水で煮てコンポートに。これは朝のヨーグルトと合わせて食べよう。そして一部を使って枇杷のゼリー。これは今日と明日のデザート。でさらに残りは枇杷ジャムに。砂糖とレモン汁といっしょにコトコト煮込む。これは毎朝のトースト用だ。

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そんな訳で半日、台所で枇杷と格闘。すっかり疲れた。我慢しきれず「マイ・ディア・ミスター」8話を。あぁジアンには幸せになって欲しい。とすっかりはまる。

月曜。ドンフンのように疲れ切って会社へ。

火曜。「大豆田とわ子と三人の元夫」最終回。まるで円環を描くようにチャーミングなラブコメディで最終回。でも1話に感じたそれとは違った味わい。カメラ目線でタイトルコールを決めるオープニングとエンディング(これ毎回最高だった!)、伊藤沙莉のナレーションと「フィクション」であることをことさらに強調する演出。そう、これは作り物の物語。でもそこに息づく登場人物たちの一挙手一投足、丁々発止のやり取り、役者たちの表情、物語の中に自分の人生を照らし合わせ、泣き、笑い、心を動かす。こんな時代だから、いやどんな時代にだって物語は必要で、それは経済や生活にとってはとるに足らないかもしれないけど、やっぱりかけがえのないとても大切なものだと思う。そんな物語が描いた人生賛歌。気持ちのいいドラマだった。しかし改めて松たか子が素晴らしかったなー。

木曜。タイムフリーでひたすらラジオを聴く日。円楽師匠ゲストの「伊集院光とらじおと」、珠玉の芸談水道橋博士さんゲストの「くにまるジャパン極」はタモリさんの数々の逸話を。「角田龍平の蛤御門のヘン」。ウーマナイザー話に爆笑。そしてNegiccoのKaedeさんがゲストに登場。音楽番組とは違う切り口でたのし。「アフター6ジャンクション」では吉田豪さんによる萩尾望都著「一度きりの大泉の話」を巡る話を。根深いなー。西森路代さんによる「日本のドラマ」話。先の「大豆田とわ子~」に渡辺あや脚本「今ここにある危機とぼくの好感度について」、安達奈緒子脚本「おかえりモネ」などについて。今、日本の社会について知るには腰の引けた報道よりも断然ドラマを観るべきだと思うな。Spotifyの配信番組小泉今日子の「ホントのコイズミさん」宮藤官九郎ゲスト回。「あまちゃん」裏話から勘三郎さんの話、「俺の家の話」の話などなど全部面白い!地に足付いたキョンキョンの対話は素晴らしいなー。

金曜。いろいろ精神的にハードなことがあってヘトヘト。仕事って大変だなーとかなんとか。でもまぁ明日は休みだ。

今週聴いた音楽

  • ムーンライダーズ トリビュート・アルバム 陽気な若き月影の騎士たち」
  • 「1959」Soggy Cheerios
  • 「丁酉目録」桶田知道
  • 「幸福」岡村靖幸
  • 「操」岡村靖幸
  • 「Youth-Original Soundtrack」Kaede
  • 「袖の汀」君島大空

2021年6月5日~11日の話。

土曜。朝からオジ散歩。radikoで「ミッドナイトダイバーシティ~ラジオ版カセットテープミュージック」聴きながら商店街の格安散髪屋へ。しかし随分白髪が増えた。もみあげなんか真っ白。よく言えば北大路欣也、悪く言えば河原さぶと言ったところだろうか。暑くなってきたので皆考えることが同じなのか、10人待ちだったのであきらめてそのまま近くの図書館へ。

吉田豪による前田五郎インタビューが載った「超・人間コク宝」とか気になる本をいくつか斜め読み。スージー鈴木さんによる近田春夫インタビュー聴きながら再び散歩。コロッケを買って帰宅し、昨日の残りのカレーといっしょに食べて、アマプラで韓国ドラマ「マイ・ディア・ミスター」4、5話を。重い展開ながら物語が動き出してきた感じ。我がアイドル、IUの名演に惹き込まれる。しかし時間的に休日に2話観るのが限界だな。

昨日の配信は途中からしか見られなかったので改めて水道橋博士さんの「アサヤン Vol.10 口伝・明石家さんまヒストリー」を。「人生の教科書」(by 水道橋博士)「明石家さんまヒストリー」をじっくり紐解いていく。エムカクさんによるもはや安定の明石家さんま語り。それにしても演者としてのエムカクさんの巧みさよ。よどみなく流れるような語りの根底には深すぎるさんま愛。そして驚愕の貴重映像の数々。「明石家さんまヒストリー」発刊をきっかけに河内屋菊水丸コレクションをはじめとするさらに秘蔵映像の数々がエムカクさんの下に。当時大好きで楽しみに見ていた「ヤングプラザ」の映像。島田紳助との丁々発止のやり取りを見ることができるとは!あと気になったのが「松尾伴内」伝説。たけし、さんまに仕えた寡黙すぎる怪芸人!

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日曜午後は家で映画。ライアン・クーグラー監督2013年作「フルートベール駅で」を観る。2009年、22歳の若さで無抵抗なまま警官により射殺された黒人青年オスカー・グラント。その日に至る彼の人生を描く。ある日突然、幕を下ろした彼の人生。黒人であるという一点だけで迫りくる死。2021年、今もまだ続くこの理不尽。いつかこのような映画を作らなくていい日が来るまで、こうして描き、語り続けなければならない。

嫌われ者の月曜。いつか好きになってあげたいけれど、なかなか好きになれない。

火曜の楽しみはドラマ「大豆田とわ子~」。軽妙洒脱なラブコメディな雰囲気で始まったドラマも、進んで行くにつれ、いや、もうこんなところまで辿りつくんだというところに。人生にIFはないけれど、時にIFを想い人生を再確認することもある。

水曜。午前中休みを取って朝から病院。血圧の調整。歳食うといろいろある。ついでに床屋にも行ってすっきり。今週はやたら天気がいい。午後は会社に出て営業仕事。

YouTube「街録Ch」水道橋博士さん前編、後編をチェック。水道橋博士さんは「僕の好きな先生」だ。自分は怠け者で、臆病者だけど、卑怯者にはなりたくない。そんな風に思い続けられるのは水道橋博士と言う先生が居てくれるからだ。

youtu.be

木曜。配信にて韓国ドラマ「元カレは天才詐欺師~38師機動隊~」とりあえず第一話を。邦題に偽りありながら面白いと評判のマ・ドンソク主演ドラマ。

金曜。朝ドラ「おかえりモネ」はじっくり丁寧に作っていて、そこが逆に朝ドラらしくなく新鮮。名作の予感。

金曜の夜ぐらいは会社帰りに映画でも観に行きたいところだが、なかなか観たい映画と時間が合わず。大人しく帰って、さっさと風呂に入りほっと一息。リンゴ酢のソーダ割りを飲みながらYouTubeで韓国音楽巡り。TWICEの新曲、軽くて洒落たアレンジが良い。

ということで今週聴いた音楽は

  • 「LILAC」IU
  • 「FRUITFUL」堀込泰行
  • 「夜明け日記」RIPLEY
  • 「Love poem」IU
  • 「BABY BABY」少女時代
  • 「Serenade」Sunwoojunga
  • 「Aquarium」Bronze
  • 「Taste of Love」TWICE

 

2021年5月29日~6月4日の話。

土曜。朝一で近所の映画館へ。

クレイグ・ガレスピー監督「クルエラ」観てきた。「101匹わんちゃん」の悪役クルエラの若き日を描くストーリー。最高っ!めちゃくちゃ良かった!1970年代のロンドンを舞台に、ロックの名曲が響き渡り、いかしたファッションがスクリーンを彩る。エマ・ストーンがとにかくもう最高!「ジョーカー」と「万引き家族」と「パラサイト」と「ボヘミアンラプソディ」をミキサーにかけて煮詰めて、最高のロックとファッション、そして犬!をトッピング。ロックのリズムで流れるように進むストーリー、時にクールに、時に熱く、キメにキメまくるエマ・ストーン。抜群に魅力的なヴィランの誕生。いや、とにかくもうエマ・ストーン

散歩しながら角田龍平さんの「蛤御門のヘン」(5/26放送分)radikoタイムフリーで。ポッドキャスト時代からの盟友・香川照え先生とのコンビで、いつも以上にリラックスムードで言葉も滑らか。「逃げ恥婚」より「有村昆」。「クイズセーックス!」のバカバカしいまでの爆発力に爆笑。やはりラジオは面白い人の面白い話に尽きる。

帰ってチャーハンの昼食。なかなか思うような味に到達しない。

IU主演のドラマ「マイ・ディア・ミスター」をアマプラで。以前1話を観て、あまりのダークさにひるんでいたのだが、心を決めて2~3話を。スーパーアイドル、IUがその輝きを微塵も感じさせない暗い役を見事に演じる。

夜はNHKの「今ここにある危機とぼくの好感度について」。コロナにオリンピック、それに至る様々な(おかしな)事象を凝縮したような物語、その中をどう生き抜くべきか。現実は今もなお、出来の悪いブラックコメディーの真っただ中だ。2021年にこのようなドラマが作られていたことを記憶、記録しておきたい。

日曜。いつものごとく妻と買い物。昼はもやしたっぷりのラーメン。で配信で映画を一本。チョン・ダウォン監督「ガール・コップス」を観る。熱血刑事として活躍していたミヨンだったが結婚・出産を機に市民課の窓口に異動。息子と無職の夫を抱えながら平穏な日々を過ごしていたが、義妹である熱血刑事ジヘがその熱血ぶりから問題を起こし同じ窓口に一時的に配属。家でも職場でも衝突する2人だったが、ある日相談に訪れた若い女性に絡む事件を解決すべく手を組むことに…。脇役として数々の名演を見せてきたラ・ミランとモデル出身でスタイリッシュなイ・ソンギョンの凸凹コンビがW主演、さらに少女時代のスヨンがIT使いの達人である同僚を演じる。女性たちが連携して女性を救うという明確な意志を持った作品。やや過剰なコメディ演出が少々雑だが、それぞれの女性たちがもう我慢しないとばかりに大暴れ。アクションコメディというエンタメ路線ながら、その根底には韓国にも根深く存在する女性を蔑視するような社会構造の問題がある。

しかし油断したら一週間があっという間に過ぎ去る。数字に追われ焦るばかりで心を亡くす。いつまでたっても慣れないものだ。けどまぁ昔より図太くなったかな。

でそんな景気の悪い気持ちを晴らしてくれたのはRed VelvetのJOY、初のソロ作!グループではあまり感じなかったが、こんなにキュートで伸びやかな歌声だったの!?と嬉しい驚き。


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では今週聴いた音楽。

  • 「クルエラ」オリジナルサウンドトラック
  • 「ゴールデンベスト」PINK
  • 「Once upon a time」LOVELYZ
  • 「Aloha Oe」RossyPP
  • 「falling」ヘウレーカ
  • 「IN ANY WAY」大比良瑞希
  • 「不思議」星野源
  • 「アイミル」中村佳穂
  • 「Wekcome Back」ヒックスビル
  • 「MIS CAST」沢田研二
  • 「WAW」MAMAMOO
  • 「Hello」JOY

 

2021年5月22日~28日の話。

土曜。朝から散歩がてら大津アレックスシネマへ。

ロリアン・ゼレール監督「ファーザー」を観た。認知症の父と介護する娘。記憶が薄れ、揺らぎ、現実が歪んでいく父の視点で描かれる。一体何が本当なのか。場所や時間、記憶が瞬間瞬間で書き換えられていく中で疑心暗鬼になり、何もかもが信じられなくなる。なるほどそういうことかと思う。とても穏やかだった人が、歳をとり認知症の症状が出る中で周りの人を激しく傷つけることがある。自分もそのような場面に出くわしたことが幾度となくある。認知が壊れゆく恐怖と孤独。映画は観る者にその体験させる。消えていく記憶、不安の中に飲み込まれていく毎日。その仮想体験はあまりに強烈で、こんなにも孤独で心細くなるものなのかと恐怖すら感じた。胸が潰れるような想い。今まで介護する側の視点でしか見ていなかったが目から鱗というか、自分にとっても貴重な体験になった。観るべき映画。

30分のインターバルを経て、もう一本。

堀貴秀監督「JUNK HEAD」観た。噂に違わぬ狂気の映像。脳内に広がる壮大な宇宙がストップモーションアニメで描かれる。スゲーもんを観た!という映画体験。しかし人口生命体<マリガン>の何とも言えないぬめっとした生々しさ、その×××感にゾワっとする。「愛のコリーダ」観た後だから余計に。

家に帰って水道橋博士さんのイベント「アサヤンVol.7 怪人・寺門ジモン一代記」視聴。浅草キッド著「お笑い男の星座2」において「自称最強!寺門ジモン」として描かれ、当時まだ一般的には「ダチョウ倶楽部」の顔の濃いうるさい男ぐらいの認識でノーマークだったその人物が、とてつもないポテンシャルを持った真の変わり者、奇人中の奇人であることが白昼の下にさらされた。以降、解禁された奇人ぶりはTVなどを通じて広く知られることになるのだが、それでもまだまだ足りない。そんなもんじゃないと、寺門ジモンの奇人・狂人ぶりを定点観測し続ける博士さんが数々のエピソードを本人にあたっていく。「藝人春秋」の中でも白眉にして眉唾ものの話を、事も無げに肯定していく寺門ジモン氏。「9歳まで鉄棒に足の指でぶら下がることが出来た」などなどの信じがたいエピソードのオンパレード。しかしなぜか謎の説得力で「この話は真実なのだ!」と最終的には軍門ならぬ寺門に下らざる得ない。そしてサブストーリーとして語られるのは「お笑いウルトラクイズ」をはじめとした昭和バラエティ史。ダチョウ倶楽部たけし軍団としてその現場を実体験してきた帰還兵である二人に加え、指揮官あるいは衛生兵として現場の二人を見ていた高須Dによる昭和バラエティ戦史。伝説の「お笑いウルトラクイズ/バス吊り下げアップダウンクイズ」映像は当時リアルタイムでも観ていたが、改めてそのとんでもない映像に殴られる。オープニングタイトル、「男達のメロディー」に重なる寺門ジモン映像の数々。ライブを観終わり最後にもう一度見ると違った印象になる。激しい波の中を沈みゆくバス、そこに集う男たちの姿に重なる「運が悪けりゃ死ぬだけさ~」のフレーズが全ての伏線を回収。なぜか感動している自分がいた。


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日曜。いつものごとく妻と買い物。昼はこの前作って冷凍しておいたミートソースでパスタ。期せずして「マルコポロリ」では「ダチョウ倶楽部」の特集。博士さんに次ぐ寺門ジモンウォッチャー、東野幸治が時に空回る寺門ジモンをニヤニヤしながら転がす。おもしろい。

アマプラでファン・ジョンミン兄貴と少女時代のユナ主演の韓国ドラマ「HUSH」、とりあえず第一話を。ドラマまで見始めてしまうといよいよ時間が足りないと思いつつ。

「大豆田とわ子~」。出たよ、オダギリジョー!いかにもオダギリジョーと思わせてのあのキャラクター。おもしろいな

西森路代+ハン・トンヒョン「韓国映画・ドラマわたしたちのおしゃべりの記録 2014~2020」読了。「パラサイト」「はちどり」「82年生まれキム・ジヨン」といったここ数年の韓国映画やドラマを肴に繰り広げられる二人のおしゃべり。国の成熟とともに「大きな物語」から「小さな物語」を描きはじめた韓国、そしてその逆を行く日本。「パラサイト」「キム・ジヨン」の評価については、自分には欠けていた視点で、それは中年男性である自分自身が持つ無自覚な加害性に通じるものなのかと思ったり。おしゃべりをしながら、自分の考えや見方が修正や補完され整理されていく。二人のおしゃべりによってぼんやりと感じていたことが整理され、自分の中に入ってくるという感覚。とても気づきの多い一冊。そしてまた韓国映画が好きになる。

水道橋博士さんのイベント「アサヤンvol.8 近田春夫の電撃的東京」も視聴。近田春夫という人物を認識したのはジューシーフルーツ「ジョニーはご機嫌ななめ」が最初。小学4年の時、ラジオで聞いて一発で好きになった曲。小4の頃には自分のポケットラジオを常に持ち歩いているようなラジオっ子だったから。そしてザ・ぼんち「恋のぼんちシート」。でそれから数年、中学生になって本格的に音楽を聴き始めてからはムーンライダーズにはまり、PINKやパール兄弟といった近田さんに近い位置にいたミュージシャンの音楽も熱心に聴いていたものの、近田さんの作品に触れることはなかった。で高校生の時にプレジデントBPM。今も「LIVE JACK」というテレビ番組にタイニーパンクス(藤原ヒロシ高木完)なんかと一緒に出た時のビデオは持っている。細野さんを迎えた「COME★BACK」とかね。大学時代にはビブラトーンズに遡ったり、小西康陽さん曲目当てだったけどキョンキョンの「KOIZUMI IN THE HOUSE」なんかもよく聞いたな。でここ数年は杉作J太郎さんの番組でよくかかるので、改めて初期作をSpotifyで聴いて今更ながらはまっている。でライブは「近田春夫自伝・調子悪くてあたりまえ」をテキストに近田さんの歴史に博士が切り込んでいく。内田裕也に見いだされ歩みだす音楽道。「理屈抜きで理屈好き」な上に、圧倒的なセンスと演奏力、そして抜群の音楽的嗅覚で様々なスタイルをものにしていくまさに天才。音楽家としてだけでなくタレントとして芸能界をかぶりつきの舞台袖からも観察。「はっぴぃえんど」を源流として語られることが多い「日本ロック史」だが、ここには今まであまり語られてこなかったもう一つの日本ロック史がある。それは近田春夫が歩いてきた道のり、存在そのもののことである!観察眼と実体験で語られる近田春夫史こそが日本ロック史なのだ!いや、面白かった!

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 しかし週一ペースで開催されているこのイベント「アサヤン」を視聴し感じることは、歴史を知り、学ぶことの大切さだ。それが例え寺門ジモン氏の眉唾エピソードだとしても徹底的に本人や関係者にあたり、発言を引き出し、裏をとり、事実を浮かびあがらせ、そして真実を見抜く力を養う。これは「卑怯者にならない為のレッスン」だと思う。事実、真実をないがしろにし歴史を踏みにじり、意図的に歪めた果てには何がある。言葉を軽んじ、そのくせでかい声を上げてウソをまくしたてる。例えばあのクソみたいなリコール運動。そこに集った人たち。罪の擦り付け合いに責任逃れ。卑怯者の振る舞いそのものではないか。卑怯者にならない為に何をすべきか。「アサヤン」はその一つの答えなんだと思う。それをエンタメとして圧倒的な濃度とペースでやりきる。笑いながら、その凄まじいまでの執念と信念に畏怖の念すら抱く。本当に凄いことだと思う。

で今週聴いた音楽

  • 「ミッドナイト・ピアニスト」近田春夫&ビブラトーンズ
  • 「バイブラ・ロック」近田春夫&ビブラトーンズ
  • 「電撃的東京」近田春夫&ハルヲフォン
  • 「Drink!」ジューシー・フルーツ
  • 「六本木島」パール兄弟
  • 「KOIZUMI IN THE HOUSE」小泉今日子
  • 「Lyrical 2」Sweden Laundry
  • 「Across The Great Divede」天野なつ
  • 「ゆめ」Lamp
  • 「Tanks and Children Vol​​​​​.​​​​​14」直枝政広
  • 「ミーティン」大なり><小なり
  • 「White」大橋トリオ
  • 「In Dreams」猪野秀史
  • 「The Things That I Love」Motte
  • 「Love Buds」さとうもか
  • 「THE OTHER SIDE OF THE MOON」GWSN

あとここ数週間聴き続けているというか動画見続けているんがOH MY GIRL「Dun Dun Dance」。いや、もう最高。際限なく見ちゃうので一日5回までと決めている。OH MY GIRLは2015年デビューの中堅グループ。普通なら勢いのある新人グループに追いやられ、そろそろ魔の7年目も見え始め徐々にフェードアウトなんてことが多い時期だが、ここにきてヒット連発で存在感も増しというか、もうノリにノッテいる状態。こうなったら強い。ステージに自信が溢れていて見てて単純に元気出る。


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2021年5月15日~21日の話。

土曜。朝一で自転車に乗って映画館へ。

松居大悟監督「くれなずめ」を観た。高校時代の仲間たちが披露宴の余興を行うべく再会。披露宴と二次会の間、懐かしい友人たちと過ごす束の間の時間。そして交差する様々な気持ち達。特大級の映画的飛躍がありながら日常に根差した愛すべき映画。かけがえのない過ぎ去りし日々を想う。時折ふと思い出す今はもう会わなくなった友達や若くして亡くなった先輩。思い出されるのはたいした場面ではなく、ちょっとした会話の一部や一瞬の感情、そのほとんどはくだらないの中に在る。ふと思い出す胸の奥に生き続けている人々。観終わって優しい気持ちになった。

で自転車で近江大橋を越えて隣町の映画館へ。普段あまり行くことのない映画館だけど、県外移動自粛中の為。

続いては今泉力哉監督「街の上で」を観た。下北沢を舞台に古着屋で働く青を取り巻く人々の群像劇。といっても大きな物語があるわけではなく、街の上で日々起こっているであろう小さな日常が描かれる。街と文化、そこに集う人々。日々の営み、そこにあるちょっとした可笑しみや愛しい瞬間。決して映画にならないような、零れ落ちていく日常。それが愛を持って切り取られていく。映画館にいる自分たちと地続きでありながら、とてつもなく豊かで愛らしい。映画らしくないけど映画としか言えない映画。こういう作品に出合うと映画好きでよかったなと心底思う。映画を好きになる映画。大傑作!コントのような小さな出来事がちょっとづつ絡み合いながらじわじわと沁み込んでくる感じがシティボーイズショーをふと思い出したな。俳優陣が皆いい。若葉竜也の佇まい、街への馴染み具合は本当に素晴らしい。ずっと観ていられる。130分、いい時間を過ごせたな。あっ、後、入江陽さんの音楽も最高。

で再び自転車で橋を渡り、30分かけて帰宅。いい映画を観られて今日は大満足。

日曜。朝からマンションの管理組合総会。このマンションに住み始めて早25年。当時新築で、自分も含めてほとんどが若い夫婦だった。同じぐらいのタイミングで子供が生まれて、その子たちも今はみな社会人。内は一人っ子だったから同じマンションに同世代の子たちがいて赤ちゃんの頃から兄弟姉妹みたいにして成長していけたのはとても良かった。今も娘は同じマンションの子とは親友で休日などはしょっちゅう遊んでいる。

午後からアマプラで映画を一本、チョ・グニョン監督「王の預言書」。腐った権力に庶民たちが立ち向かう話をこうして繰り返し様々な形で映画として語り継いでいく。韓国映画人の根底にある気骨みたいなものを感じる。

朝ドラ「おかえりモネ」始まる。名作「透明なゆりかご」の安達奈緒子脚本、清原果耶主演コンビということで期待も大。さわやかだけどどこか憂いのある清原果耶ちゃんは間違いなく未来の大女優。楽しみ。

「大豆田とわ子と」なにこれ、スゲー展開に。予想のはるか上を行くツイストぶりに翻弄されつつ、こりゃ来週以降も見逃せない。

松田龍平石橋静河のシーンに見入る。石橋凌目線で観たら相当グッとくる。人気ロッカーだった石橋凌松田優作初監督作で俳優デビュー。松田優作の死後、其の遺志を受け継ぎ一時歌手を辞めてまでも俳優業にまい進しハリウッドデビューまで果たす。そして今、松田優作の息子と自分の娘が対峙して素晴らしい演技を見せている。これを星座と呼ばずして何と呼ぶのか。

連日の雨、雨、雨。

radikoで角田龍平さんの「蛤御門のヘン」ゲストは竹内先生。プロレス特集と言いつつ、エヴァンゲリオン小柳ルミ子理論から始まり、脱線に次ぐ脱線で楽し。そして語られる87年ジャイアント馬場とラジャ・ライオンの異種格闘技戦。自ら繰り出したキックでふらつくラジャ・ライオンについてまるでつい最近の話題のように語るお二人。で続けて聴いた「東京ポッド許可局」。いいとも新司会者論、これまた楽し。そして25歳だったコーナーでパキスタンと話題からなんとラジャ・ライオンの話題に。ここでもまたつい最近の話題のように87年ジャイアント馬場異種格闘技戦でふらつくラジャ・ライオンについて嬉々として語られる。2021年にまさかのラジャ・ライオン被りに笑った。いや、確かにあの試合、僕もリアルタイムで観ていた。何週も前から煽りに煽り、ついに訪れた対戦。そのあまりのズンドコぶりに日本中がずっこけた。自ら繰り出したキックでふらつくラジャ・ライオンの姿は多くの視聴者の胸に刻まれたのだった。

金曜、仕事帰りにアレックスシネマ」で大島渚監督「愛のコリーダ」を観た。小学生の頃からそのタイトルは知っていたし、問題作だとは聞いていたが50歳にして初見。ヤベーもんを観たというか、観てはいけないものを観たというか、凄まじい作品。とめどない欲望と人間の業。エロスか、芸術か、いやそんな論争は不毛である。愛と欲望の向こう側にまで行きついた時、人はどうなるのか。何もかもを受け入れる男、藤竜也の色気と藤勃也のハッスルぶりに熱に浮かされそう。

しかし「愛のコリーダ」観た後に朝ドラ「おかえりモネ」に登場する藤竜也をどう見たらいいのか。そのうち×××出すんじゃないかとハラハラしちゃいそうだな。とにかくなんて凄まじく素晴らしい俳優さんなのか!

備忘録的にこの1週間で聴いた音楽を記しておく。

2021年5月8日~14日の話。

土曜。8時起床。朝ドラまとめ観つつ卵サンドの朝食。「ナイツのちゃきちゃき大放送」1時間ばかり聞いて、天気もいいのでオジ散歩。続いては角田さんの「蛤御門のヘン」花房観音さんゲスト回聴きながら。帰宅し昼食はナポリタン作って。「ロンハー」「相席食堂」などHD消化。
映画を一本。ユン・ヨジョンさんアカデミー賞受賞記念ということで、配信で、ユン・ヨジョンさん主演「バッカスレディ」を。社会から零れ落ちていく人々の物語。救いのないラストが切ない。

夕飯はスパイスカレーを作る。もう数回目になるのでだいぶ手馴れてきた。まずまずといったところ。これはもう数こなして見つけていくしかない。

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日曜はいつものごとく妻と買い物に行って、後はひたすらHD消化。「アメリカの今を知るテレビ」「いたって真剣です」「ガキ使」などなど。全然おっつかない。

録画していたNHK「ストーリーズ~事件の涙」観る。バス停で殺されたホームレスの女性の話。胸が潰れるような、苦しさが迫る自己責任という言葉の罪。彼女の姿が、未来の自分と重なる。でもそんな風にはまるで考えられない人も多いのだろう。だからこその事件であり、それが今この国を覆っている。自己責任という言葉の罪。悲しくてやりきれない気分になる。

営業で大阪まで。こんなご時世なので車で。車中ではradikoでいつものごとく杉作さんの「ファニーナイト」。癒しのひと時。しかし慣れない場所の運転は疲れる。今はナビがあるから気持ち的には楽だが、サラリーマンなりたての頃は出張なんかにいくと地図片手になれない道を走って迷って大変だったな。当時はスマホも携帯すらもなかった時代。カセットテープいっぱい持って出張に出てたな。公衆電話見つけて会社に報告とかよくやってたもんだ。

ドラマ「大豆田とわ子~」。ここにきてツイスト入ってくる感じ。先が読めんね。

今日は県内外回り。営業は辛いぜ。車中では水道橋博士さんゲストの「くにまるジャパン極」を。「藝人春秋」「アサヤン」などの話。ちょうど「小野神社」の近くを通ったのでお参り。パワースポットかどうかは知らないが。

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韻を踏む行動。これも博士さんの影響。仕上げに会社帰り本屋で「サンデー毎日」博士さんが寄稿された「芸人の流儀でエライ人を斬る」を読む。権力者に尻尾を振って、庶民を恫喝する側に回る芸人が多くなった。ここ数年関西に暮らしていて大阪制作のテレビ番組などを観るとそれはとても顕著だ。土、日のニュース系バラエティなどはもはや危険水域を大幅に超えていると感じる。尻尾を振るどころかケツをなめる勢いで権力者にすり寄る芸人たち。恥ずかしくないのかと心から思う。

朝ドラ「おちょやん」最終回。ここ数年の朝ドラではベストか。童顔の杉咲花ちゃんであるが酸いも甘いも越えた人間としての成長をしっかりと表現していて素晴らしい。ちゃんと歳を重ねた一人の人間に見えた。決してきれいごとだけじゃない人生を正面から描いて、恩讐の彼方に辿り着くとてもいい最終回だった。

金曜。一日テレワーク。集中力を維持するのが大変。昼ごはん作りで気分転換。じゃことシソの和風チャーハン。

家にいる時間や移動中はもっぱらradikoやラジオクラウド。毎週レギュラー的に聴いているのは「ファニーナイト」「蛤御門のヘン」「東京ポッド許可局」、「たまむすび」町山さんの「アメリカ流れ者」、「ビバリー昼ズ」オープニングトーク、「アトロク」のムービーウォッチメンや気になるネタの回。時間があればプチ鹿島さんの「キックス」を。会社では基本自社の番組が流れているし、自分が営業として関わっている番組は確認も兼ねて聴いてる。制作に未練がないとは言わない、やっぱり自社の番組なんかは自分ならこうするなという聴き方をしてしまう。悩める中間管理職。ちょっとツラインダといったところ。

で金曜夜は映画を一本。配信で60年東宝作品「ガス人間第一号」を。以前、後藤ひろひとさんによる舞台版はTV中継で観ていたが映画見るのは初めて。若き八千草薫さんの美しさ、そしてガス人間の悲しさよ。

 

 

2021年5月2日~7日の話。

土曜の夜はドラマを2本。渡辺あや脚本×(信頼と実績の)松坂桃李主演「今ここにある危機とぼくの好感度について」。コメディの中に芯をつく言葉あり。続いては実力派若手俳優がずらっと揃う「コントが始まる」。有村架純いいね。

日曜。朝から車で実家へ。墓参りして、施設に入っている祖母と面会。といってもこのご時世なのでガラス越しに数分。大柄な祖母だったが、100歳を越えここんとこ入退院を繰り返していたこともあって随分小さくなった。言葉でのコミュニケーションはもはや難しいのだけど、彼女の生きた100年についてもっと聞いておくべきだった。

月曜。朝からひたすら庭木の伐採。放っておくとすぐ伸びる。雑草の勢いもすごい。植物の生命力たるや。夕方、買い物がてら妻の実家へ。仕事終わりの娘も呼びご飯。いつもならこの季節はお祭りがあって、義兄夫婦や義姉一家も集まってにぎやかに過ごしていたが、昨年・今年とお祭りも中止で寂しいGW。それでも80にしてスマホデビューの義母にいろいろ教えたりしながらの楽しい食卓。

火曜。今日も朝から庭木の伐採の続き。早々に終了。天気もいいので近所をオジ散歩。ポッドキャストで町山さんの「アメリカ流れ者」、radikoで杉作さんの「ファニーナイト」など聴きながら。
午後からアマプラで映画を一本。廣木隆一監督「ここは退屈迎えに来て」を。何者にもなれなかった者たちの群像劇。まぶしかった青春の残像に囚われその後の人生に虚しさを覚える登場人物たち。でも誰も迎えに来てはくれないのだ。そこから出ていくには自分の足で歩くしかない。ひどく退屈で、ひどく空しくて、果てしないないまでにやるせないけれど、そこにしか人生はない。ある種、残酷な話なのだがとても良かった。

水曜。GW最終日は雨。朝から妻と買い物に行って1袋9円のそばで昼食。
午後から今日もアマプラで映画を一本。キム・ジウン監督、ソン・ガンホ主演の2000年作「反則王」を観る。さえない銀行員が、反則を得意とする覆面レスラーにってなコメディー。若きソン・ガンホの軽妙さと、かなり本格的なプロレスシーンが楽しい。パク・ソンウン、シン・ハギョンといった今や大スターがちょい役で。
続いて配信で水道橋博士主宰のイベント「アサヤン 阿佐ヶ谷ヤング洋品店」Vol.6。義太夫語り「たけし軍団伝」。あの頃の「たけし軍団」。映像からあふれ出る多幸感たるや。確かにあの頃のたけし軍団はアイドルだった。義太夫さんによる「たけし軍団」話は今後もぜひ聞きたいし、あの頃のたけし軍団狂騒曲はいつか映画にして欲しい。

金曜。仕事帰りに映画を一本。大津アレックスシネマで大島渚監督「戦場のメリークリスマス(4K修復版)」を。中学生の頃、テレビで見て以来だからもはやほぼ初見。改めてこんな映画だったのかと驚愕。愛について、日本という国について、個人と集団について…様々なテーマを内包した歪で複雑な映画。しかし翻弄されつつ最終的には心の中で拍手を送った。個人であることより、集団のルールを重んじ、やがて集団の論理に飲み込まれ、集団であることが全てになる。セリアズと出会い、足元が揺らぐヨノイ。それに対しハラは集団の中での自分の位置・力に十分に自覚的で、集団を冷静かつ客観的に観ているように感じた。個人など最初から無いのだという前提にいるからこその視点。野蛮で暴力的に振舞うことにさえ自覚的であるが、それでもローレンスとの対話の中で彼本来の人間性が顔を出す。もし戦争という異常な状況でなければ彼は少々野暮だがただ気のいい親切な男だったかもしれない。クリスマスの夜、酔っぱらった、あるいは酔っぱらったという自己演出を施したハラの振る舞い、あの表情。やがて戦争が終わり、あのラストシーン。たけし、最高!「世界のキタノ」の最初の一歩が完璧に刻まれた名演!素晴らしい!
それともう一つ。収容所の捕虜たちの姿が、今現在の自分たち、コロナ禍という状況でクソみたいな政権に囚われ首根っこを掴まれた自分たちの姿に見えた。