日々の泡。

popholic diary

2021年1月31日~2月6日の話

日曜日。休みが不規則な娘は仕事。娘を送り出しゆっくり新聞を読みながら、昨日買っておいた「塩あんパン」の朝食。午前中はいつものごとく妻と買い物。後はひたすらHDに溜まった録画番組を消化。「町山智浩アメリカを知るTV」から「相席食堂」「やすとものいたって真剣です。」などなど数週分を。でもうこれで夕方になっちゃう。

平日は仕事で手いっぱいになっちゃうから、土日にインプットの総てを持ってくると結局追いつかなくなる。

水曜日。人間ドックの結果がなかなかに悪かったので、再健診。予約もして朝8時から受け付けも済ませたのに2時間待ってレントゲンとって、さらに1時間待ってやっと病室。3時間以上かかってお医者さんと話すのはわずか5分程度。結局よくわからないってんでまた予約取ってCTスキャンを明日、その結果は2週間後ってもう…。大きな病院なのでしかたないが、まぁ疲れた。でもこんなにみんな病院に行ってるんだなぁ。もうなんちゅーか、ほんど(の人が)ビョーキ。

病院での待ち時間には鈴木慶一特集の「ミュージック・マガジン」誌を。15歳のころから「鈴木慶一になりたいボーイ」だった。慶一さんの偉大な足跡は今もなお続く。

YouTube水道橋博士さんと角田陽一郎さんの対談を。元TBSのプロデューサーである角田さんは同い年の50歳。彼もまた「鈴木慶一になりたいボーイ」だ。とても刺激的だし、素直に凄いと思う。でも「5億稼いだんですよ。でも11億使っちゃった」なんて話は5万、10万を稼ぐためにあくせく働くローカルメディアの営業マンである僕からしたら、ちょっともう想像つかないし、なんともいえない痛みも感じる。こうも差がつくもんかねと。でも、自分は自分なりに愚直にできることをやるしかない。出来ることがあるはずと信じて。


【角田陽一郎】×【水道橋博士】ZOOM対談 2021.1.26 アーカイブ

夜はカーネーションのトリオツアー@渋谷クアトロを配信で。ギター、ベース、ドラムのネイキッドなカーネーションカーネーションの音楽は自分の人生とあまりに密着しているから、何を聴いても何かを思い出す。冒頭の2曲。「やるせなく果てしなく」「OOH!BABY」は自分にとって忘れがたき2曲だ。「OOH!BABY」を毎日毎日聞いて、僕は転職を決意した。そして今の会社に入って「やるせなく果てしなく」とともに新しい一歩を踏み出した。あれから17年。いいこともいっぱいあったし、悪いこともあった。今もまだいいことと悪いことを行ったり来たりしながら踏ん張っている。50歳になった今、この2曲が流れてきた。それこそが自分にとってはメッセージだ。きっと新たなフェーズに入っていくのだろう。

「50歳を過ぎた時、人生の前半は全てフリであり伏線であることに気が付く。人生の後半は偶然の一致としか思えないオチが必然であり、伏線回収が続くのだから。」(水道橋博士

とか何とか言いながらぼんやりと日々は過ぎていく。

で土曜日。朝はハムレタストースト。細長く切ったハムを、マヨネーズ、わさび、少しの豆乳に気持ち多めのブラックペッパーといっしょに混ぜ合わせる。バターを塗ったトーストにそれを敷き詰めレタスを重ねて完成。平日の朝はトーストにジャム塗る程度なんだけど、土日ぐらいはちょっと工夫して美味しく食べたい。ということで金曜の夜はどう食べようかで頭がいっぱいなのだ。

午前中は「ナイツのちゃきちゃき大放送」を頭1時間聴いて、「角田龍平の蛤御門のヘン」をタイムフリーで聴く。これもここ最近の定番。

午後は近所の映画館へ。土井裕泰監督「花束みたいな恋をした」を観た。脚本は坂元裕二。若い男女の出会いと別れ。まるでもう一人の自分と出会ったように恋に落ちて、やがて生活といううすのろに押しつぶされていく二人。嫌な言い方をすれば特別な存在になれなかった凡庸な二人のありふれた恋愛話。でもそれはほとんどの人がそうだから、やっぱりどこか思い当たるとこがあって、心の端っこをチクリと刺す。サブカル野郎の心をくすぐる固有名詞をちりばめながら、Awesome City Clubに乗せて歌う恋愛あるある。早く言いたい~結局別れがち。趣味が合ったで盛り上がり、過ぎゆく時間の中ですれ違い離れていく。その凡庸さも愛おしく、まさに花束みたいな恋の話。なんてまぁそもそも恋愛については門外漢だし、もはや遥か昔のこと過ぎるけど、別れも含めていやはや美しく、眩しいね。

前半の有村架純ちゃんの可愛さは悶絶もの。しかし後半に進むにつれその可愛さがどんどん遠くに離れていくような切なさを生み、別の意味で悶絶してしまう。管田将暉もまた然り。二人とも素晴らしかった。

2021年1月24~30日の話

今週も更新。

だいたい日曜日の午前中は妻と一緒に買い物。もうこの習慣も10年以上か。たわいのない話をしながら近くのスーパーまで出向いて食材やら日用品を。二人揃って貧乏性だから割引品ばかりが籠の中に。でもまぁ何を高いと思って何を安いと思うのか、経済的な価値観が違う相手とは生活大変だろうな。

昼はトマト缶が半分残っていたのでミートソースのパスタを。ミンチをフライパンでちょっと焼き目つくぐらい焼いておいて、たまねぎと人参のみじん切りと合わせほぐしながら炒める。トマト缶と砂糖を投入し、かつケチャップも適当に入れ、これまたテキトーに塩・コショウやらバターを投入してしばし煮詰める。で茹であがったパスタと和えて出来上がり。

日曜の午後はアマプラで映画を一本。イ・チャンヒ監督「死体が消えた夜」を観る。完全犯罪を実行した大学教授のチナン。だが死んだはずの妻の死体が消えた。事件を追う刑事チュンシクはチナンを追い詰めるが死体の行方は…ってなミステリー。スペイン映画のリメイクだそうだが、独特の湿っぽさとノワール感。最後に一気にあらゆる謎をまくりあげる展開はザ・韓国映画って感じで面白かった。刑事を演じるのは「殺人の追憶」のキム・サンギョン。酒好きのダメ刑事に見せかけて、実は切れ者といういかにもキム・サンギョンが演じそうな刑事だけあってぴったりはまっている。

平日はなかなか書くことがない。仕事の話はあまり書きづらいのだが、一つだけ。

関わっている番組の立ち会い。ゲストは第24回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した滋賀県在住の小説家、茜灯里さん。この人がめっぽう面白かった。

東京大学理学部地球惑星物理学科、同農学部獣医学専攻卒業。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。博士(理学)、獣医師。

 ってこの経歴だけでもどうなってんの?って話なんだけど、掘り下げて話聞いてみるとさらにさらにとんでもなくって…詳しくはエフエム滋賀2/5(金)夜8時からの「Friday Relaxing Space“Go!Go!”」をお聴き下さい。

通勤中にタイムフリーで「電撃!杉作J太郎のドッキリないと5」を追いかける。「今夜決定!」の町編、寄り道、脱線の連続で一向に決まらないのが最高に可笑しい。

その他今週聴いたのはTOKYO FM山崎怜奈の誰かに話したかったこと。」NegiccoのKaedeさんゲスト回。Kaedeさんはもう4年ほど前になるが自分がプロデューサーとして作っていた深夜番組でNegicco特集をした時、わざわざradikoで聴いてリアルタイムでTweetしてくれたことがあってそれ以来もうすっかりファン。それにソロ作も見事に素晴らしく日本の女性ヴォーカリストでは一番好きかも。ラジオを愛する二人の会話、仲介役がジェーン・スーさんってのもいいね。そして山崎さん、ちゃんと「ラジオで」会話を成立させられるのは素晴らしい。ラジオでちゃんと話ができる人を探すって、特に地方だと本当に難しい。それなりの教育を受けて「喋れる」人はいる。でもアナウンスの能力とラジオパーソナリティの能力は必ずしも一致しない。「喋れる」と「話せる」はまた違うのだ。自分も以前はラジオ制作していたが、結局「人」なんだなーと感じている。特に日常に根ざした長尺の生ワイド番組は小手先の技術ではどうにもならないから。人として「話」が出来ることが大切。

坂本美雨のディアフレンズ」鈴木慶一さんゲスト回。矢野顕子の娘さんと慶一さんの会話ってそれだけでちょっと感動するな。ムーンライダーズ復活話も嬉しい。坂本美雨さんも素晴らしいラジオの喋り手。とにかく声の調子が良くて聴きやすいし、人に対してフラットで真っ当に会話をしてる感じに嫌みがない。

で慶一さんを特集した「ミュージックマガジン」。歩いていける近所のそこそこ大きな本屋には置いてない。しょうがないので車で3軒回ったがどこにも売ってない。我が町は県庁所在地でありながらもはやCDショップは無く、本屋も紀伊国屋が数年前に撤退し、なんというか雰囲気本屋あるいは本屋付きカフェになってから品揃えがとにかく…。ネトウヨ本を無自覚に積み上げてるのも辛い。

結局、慶一さんの新作アルバムと共にネット発注。明日届く予定。

野暮用があって半日休暇。役所に行ったついでに近くの人気とんかつ店で昼食。ラストオーダー直前の2時前だったので空いていて良かった。たまには贅沢ということで「ヒレカツ定食」を。ご飯・味噌汁おかわり自由で茶碗蒸しまでついてて1000円って十分リーズナブルだけど、普段営業回りなんかの時は500円、がんばって700円でランチ食ってるからね。サラリーマンは辛いぜ。しかし、ヒレカツ美味かったなー。

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そんなこんなでやっと週末。布団の中で元PSY・SのボーカルCHAKAさんのYouTubeを。一人語りでPSY・S話をしていて、貴重な話の数々にすっかり目が冴えた。そのままたまらずPSY・Sの1stAL「Different View」を。1985年5月リリース。当時リアルタイムで聴いて、本当に感激した。懐かしく新しく、とにかくこんなに好きだと思える音楽があるんだと恋するように聴いたよ。PSY・Sのこの1stと2nd「PIC・NIC」は人生で最も聴いたアルバムの1、2かもしれない。「PIC・NIC」なんて当時文字通りカセットテープが伸びるまで聴いた。今も年に何回かは絶対聴いている現役で大好きなアルバム。

土曜。朝食は卵トースト。昔大津駅前のスーパーにあったパン屋で売っていた卵トーストが大好きだった。厚手に切った食パンにハムを一枚と茹で卵とマヨネーズを和えたのをたっぷり乗せて焼き上げたパン。もう10年近く前にそのパン屋は閉店したのだけど、今でも時折モーレツに食べたくなる。で作ろうと思うんだけどいかんせん茹で卵を作るとこからだと時間がかかるのでついつい億劫に。ということで今日は半熟気味に作ったスクランブルエッグを食パンにハムを一枚敷いた上に乗せ、マヨネーズとコショウをたっぷりかけてトースト。簡易版卵トーストということで。

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午前中は「ナイツのちゃきちゃき大放送」やタイムフリーで「角田龍平の蛤御門のヘン」を聴きながらのんびり。

午後から我慢しきれず映画を観に京都へ。ウ・ミノ監督「KCIA 南山の部長たち」を。1979年、大統領直属の諜報機関、中央情報部(KCIA)のキム・ギュヒョン部長がパク・チョンヒ大統領を射殺した。歴史の点と点を大胆なフィクションという線で結ぶ実話ベースの物語。絶対的な権力を握り独裁的に国民を抑えつける大統領に、かっては志を同じくし共にクーデターによって政権を奪ったキム部長は何を思い、凶行に及んだのか。権力争いの果てか、それとも…。実に見応えのある政治ドラマ。同い年の大スター、イ・ビョンホンが苦悩する中央情報部長を激シブに演じ切り、イ・ソンミン、クァク・ドウォンなどお馴染みの名優陣ががっちり脇を固める。林の中を追われるクァク・ドウォン、ヘリコプターを見送るしかないイ・ビョンホンなどの一連のショットなど、まるで楷書で描いたように秩序があり美しいカメラワークも素晴らしい。

夕飯は手羽元と大根の煮物。酒とみりん、醤油に砂糖で煮りゃなんでも美味しくなるんだよ。

2021年1月23日の話

どこまで続くかわからないが、週に一度はブログ更新を。

では今週のまとめ日記。朝8時スタートになった2010年の「ゲゲゲの女房」から朝ドラを観て出勤するという生活スタイル。いい作品、ダメな作品あるが、主演女優がいかに魅力的かも大きな要素で、その意味では杉咲花ちゃん主演の「おちょやん」は最高。でも今週はとにかく若葉竜也週であった。今泉力哉監督の「愛がなんだ」などいまや日本映画界では売れっ子俳優だけど、ここで一気にお茶の間人気爆発だろうな。穏やかな雰囲気を持ちつつ、ちょっと憂いがあって一本筋の通ったしなやかな強さを感じる。その上、色気があるしね。高橋一生田中圭中村倫也といった流れに続く注目の俳優、2021年の顔になるだろう。

仕事はまぁなかなか世知辛い。コロナ禍における営業仕事の困難さが身に沁みる…。ま、いい話もあれば悪い話もある。

でそんな疲れた気分を吹っ飛ばしてくれるのが、南海放送杉作J太郎のドッキリないと5」。何せ週5日の放送なのでタイムフリーで聴いてもなかなか追いつかないが、時間があったら聴いている。まさに唯一無二の「今夜決定!シリーズ」が面白い。今夜決定!悪役編で山田吾一が出てくるなんて最高。「今、世界中で山田吾一の話をしてるのはこの番組だけですよぉ」って山田吾一だけじゃなく毎日、全編、世界中でこの番組だけのトーク。オープニング曲が大泉滉「UFO音頭」って、独特にもほどがあるなー。ちなみにこの日記を書いてる今、リアルタイムで聴いているが「今夜決定!民芸品」ってどんなテーマや。だるまについて語っちゃってるよ。やはりラジオは面白い人の面白い話が最強!

それにしても毎日聞くべきものが多くて大変。今週他に聴いてたのは、真冬のサイキックミーティングとして北野誠竹内義和ゲストの「角田龍平 蛤御門のヘン」。「アフター6ジャンクション」西寺郷太ゲストによる船山基紀特集、髙木完「TOKYO M.A.A.D SPIN」小西康陽野宮真貴ゲスト回、「たまむすび」町山さんの「アメリカ流れ者」(「KCIA 南山の部長たち」紹介)、「ビバリー昼ズ」のオープニングトークポッドキャストで。

聴きたい音楽やラジオ、読みたい本・文章が多すぎて時間が足りない。仕事してる場合かっ!とすら思う。

で今週観始めたドラマは岡田惠和脚本、高畑充希主演「にじいろカルテ」。高畑充希ちゃんはとても好きな女優さんなんだけど、どうも(僕と)作品との相性が悪くなかなか見続けられていたドラマがない。今作はどうかな。岡田惠和さんの前シーズン作「姉ちゃんの恋人」が良かったのでちょっと期待。

昨日から始まったのは宮藤官九郎脚本、長瀬智也主演「俺の家の話」。うわーもういきなり面白いな。長瀬智也のレスラーっぷりにいきなり掴まれる。そして物語は父と息子、そして介護問題に。ここ数年、世界の映画やドラマを観ているとシスターフッドと呼ばれる女性たちの共闘の物語、女性の生き辛さを指摘しそこからの脱却をテーマにした作品が多かったが、それと合わせ鏡のように男性達が陥る「男性」性の問題、強すぎる父に縛られ、その呪縛から逃れられない男性達を描くものも多かったように思う。「WAVES」なんてそのまんまだし、「ハニーボーイ」「フランクおじさん」なんかもそうだった。だいたいトランプなんて人はまさにそうで、強すぎる父の下で育ち、負けを認めることすらできなくなってしまった男だ。これからクドカンが父と息子の物語をどう描いていくのかもうめちゃくちゃ興味深いし楽しみ!

あと西田敏行演じる父の“怪しい”後妻の名前が「さくら」って!「後妻のさくら」と言えば関西人ならピンとくるぜ。そこまでやって委員会!?

後妻に限らず、年配の有名人にくっついてる若い秘書とか大概怪しいよねぇなんて。完全に頭に浮かんでるんだけど書くのは自粛…。

で今日、土曜日。朝ご飯は8枚切りの食パンをトーストして、マヨネーズとマスタードを塗ってスクランブルエッグとハムを挟んだ休日の定番食。

しかし土曜日の関西の番組は最悪だ。陰謀論にはまる芸人が訳知り顔で吠え、維新がらみのプロパガンダが激しい朝のニュース系番組はもはや見る気も起きない。今田耕司の下世話でわちゃわちゃしたお昼の番組は好きだったが、某辛坊が出るようになって観られなくなった。

ということで録画していた昨晩の「町山智浩アメリカの今を知るテレビ」を。この視点が少しでも関西のテレビに有れば、状況はかなり変わるだろうに。

今日は雨だし、京都・大阪への映画遠征は自粛中なので家でゆっくり。娘は仕事、妻は実家の手伝いでいないので、きつねうどんの昼食をとりつつTVにYouTube流してダラダラと。韓国のMBCが上げているKARAのデビューから解散までのステージをまとめた動画を見直す。2010年~2012年頃の輝き方が凄い。そしてもうこの5人が揃うことは決してないと思うとマジで泣けてくる。輝きが眩しい程、その影は黒くなる。なんてセンチメンタルな気分に。


KARA Special ★Since 'Break it' to 'CUPID'★ (1h 42m Stage Compilation)

アマゾンプライムで映画を一本。イ・ソックン監督「君の結婚式」を観る。高校三年の夏に出会ったスンヒとウヨン。10年に渡るすれ違いのラブストーリー。主演はお気に入りの女優パク・ボヨン。お互い惹かれながらちょっとしたタイミングですれ違い続ける二人。ほろ苦くも爽やかさが残る作品。

それから昨晩、TwitterのTLで流れてて気になった韓国映画を特集した「新・日本男児と中居」をTVerで。韓国映画にはまると語りたくなるんだよね。僕も韓国映画観始めて凡そ20年。ものすごくわかるなー。ナカデミー男優賞、ファン・ジョンミンには納得。うーん韓国映画の話はいずれまたたっぷり書こう。とにかく今もって見続けているし、好きすぎる。

夕食にスパイスカレーを作る。初挑戦。様々なレシピを調べて、まずは基本のチキンカレーを。みじん切りにしたタマネギを飴色になるまでじっくり弱火で炒めて、すりおろしのしょうがとにんにくを加えさらに炒め、クミン、コリアンダーターメリックにチリパウダーを投入。じっくり混ぜ合わせたところにトマト缶。水分を飛ばしたところであらかじめヨーグルトとガラムマサラに漬けていた鶏肉を加え炒める。ある程度炒まったところに牛乳とお湯を加えて、塩と醤油でなんとなく味を整えつつ煮込む。で出来あがったところで妻と娘、帰宅。皆で食べてみる。

なんとか形になったが味はまァそこそこ。トマト缶を入れてからの水分飛ばしがちょっと弱かったか、鶏肉は別に焼きを入れといた方が良かったか、塩加減であれで良かったかなど反省しつつ。

でも娘からは「美味しかった」と一言。また作ろう。

 

2021年1月16日の話

週末ぐらいは日記も。

土曜日。7時半起床。ご飯と炒り卵の朝食。フライパンにサラダ油を多めに熱して、溶いた卵をざっと入れる。油を含んで卵がぶわっと膨らんだところで、少し混ぜて半熟のまま皿に移す。醤油を数滴たらし出来あがり。これを白ご飯と一緒に食べると実に美味しい。

食べながら朝ドラ「おちょやん」を。土曜は一週間のまとめなので別に観る必要もないのだが、もう習慣になっている。杉咲花ちゃんのぱぁっと輝く笑顔を観ていると元気になるな。鼻が丸くてかわいい。最近気づいたんだが、好きなタイプは「鼻が丸い」だ。しかしレッドウォリアーズのシャケの娘が朝ドラ主演とは。俺も歳をとったもんだ。でおちょやんの厳しい師匠役で若村麻由美さん。彼女のデビューも朝ドラで、僕が高校生の頃。「はっさい先生」好きだったなー。今も変わらず本当にお美しい。

朝から映画。しばしは京都、大阪への映画遠征は自粛。ただありがたいことに徒歩圏内に2館映画館がある。ということでブラブラ歩いて大津アレックスシネマへ。ドキュメンタリー映画「スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち」を。スタンドウーマンたちが文字通り「ガラスの天井」を突き破っていく物語。元々女性たちが中心となって切り開いていった「映画」という文化。その「映画」が儲かるということがわかり男たちが奪い取っていったという歴史を知る。

映画を観終わり商店街でコロッケを買って帰り、コロッケサンドの昼食。8枚切りの食パンを2枚トーストしてバターとマスタードを。千切りのキャベツにマヨネーズ、買ってきたコロッケを2個並べてとんかつソースを少々。トーストで挟んで半分に切って出来あがり。牛乳と一緒に食べる。美味しい。

YouTubeにUPされた水道橋博士さんと町山智浩さんの対談を一気観。高校生の頃、愛読していた「宝島」。その中で三留まゆみさんなんかが書いてた映画紹介のページが好きだった。鈴木慶一さんや戸川純さんなどが映画を紹介する「このビデオを見ろ」もよく覚えている。そんなページを作っていたのが町山さん。そう思えば10代の頃から町山さんの影響を受けていたんだな。

そんな町山さんと昨日のブログでも書いたように多大なる影響を受けている博士さんの対談。自己愛、自我が強い者に自己愛が弱く自我を持たない者が依存していく。自己実現のために政治をする者。権力者の太鼓持ちと化した編集者や自分の力に酔いプロパガンダに勤しむテレビマン…二人が何に怒り、何を許せないと思っているのか。深く深く共感する。

アマプラで公開時見損ねていた沖田修一監督「モリがいる場所」を。自宅の庭をじっと観察して過ごす老画家の1日。唐突なドリフ演出など柔らかなユーモアが楽しい。

晩ご飯はカキフライ。カキを片栗粉と塩水で洗って水気をきり、お酒を少々ふりかけ数分。再度水気を切り、卵と小麦粉、水を混ぜたバッター液にくぐらせ、パン粉をふんわりと纏わせる。10分ほど寝かしてなじませたところで、170度の油に投入。1~2分たったら裏返して、あとは様子を見ながらいい感じにきつね色になったところで引き揚げる。上手くできた。が貝類が苦手な娘は手をつけることも無く…、まったく。

 

「日々の泡。」の始まり の話

昨年末にUPしたエムカクさんの「明石家さんまヒストリー」の書評が、思わぬことで水道橋博士さんに取り上げていただき、ほぼ休眠状態だったこのブログも多くの人に訪れていただいた。

せっかく読んでいただいたのに開店休業状態というのもアレなのでちょっとこのブログの始まりについて書いてみようと思う。

自分がネットに文章を初めてUPしたころのことを少し振り返ってみる。

昔々1995年のこと。大学を卒業し、大阪の問屋で働き始めて2年目。大学時代の友人たちと自費で雑誌を作った。まぁ遊びなんだけど、自分の結婚式の2次会で友人たちに配ろうという目論見で10数名の友人たちに声をかけ、好きな音楽アルバムについて原稿を書いてもらった。「OFF!」というタイトルをつけて100部ほど作ったかな。

以前から文章を書くには嫌いじゃなかったし、子供のころから本や雑誌が好きだったので編集者ごっこがなんとも楽しく、なんとかもう一回作れないものかと友人たちから原稿集めたりもしたものの、仕事に追われるままなんとなくずるずると時間ばかりが過ぎていった。ちょうどその頃インターネットが普及し始め、当時勤めていた会社に数台ネットができるPCが導入された。お昼休みにそのPCに陣取りネットサーフィン(懐かしい言葉だな)する中で出会ったのが水道橋博士さんのHPだった。すっかりはまって浅草キッドの漫才台本や博士さんの日記をむさぼるように読んだ。ほんと文字通り更新を心待ちにして端から端までむさぼるように読んだ。

そこでふと思った「そうだ僕もHPを作ろう。雑誌ごっこが一人でできるじゃないか。」そして98年、見よう見まねで作った個人HPが「OFF!!音楽と笑いの日々」

で、そこにUPすべく日記を書き始めた。それが「日々の泡」と題した日記の始まり。

正直、仕事は面白くなかった。どう考えても不向きな営業仕事でストレスたまりまくってたこともあり、ストレス発散とばかりに、仕事の愚痴から好きな音楽やお笑いについてを書いてはUPした。まぁ今読んだら、お前何様なんだよという感じで書いていて恥ずかしいことこの上ないのだが…。

で一番古い1998年1月の日記を読んでみた。

1998.1.1
朝から
爆笑ヒットパレード」をチェック。
爆笑問題は見れなかったが浅草キッドの漫才と何年かぶりに遭遇。

という一文から始まる。面白いことに「浅草キッド」の話から日記が始まっているのだ。

日記を書き始めたこと、HPを作ったことは浅草キッド水道橋博士さんの影響であることは間違いないし、そのモノの見方や行動にこの先もずっと影響を受け続けることになる。

で紆余曲折あって2003年、僕は地元滋賀のラジオ局に転職し新たな生活が始まる。時代はHPからブログの時代へ。ここはてなブログの前身、はてなダイアリーに日記を移行したのが2004年10月31日のこと。つまりはこのブログ「日々の泡」である。それから2010年ごろまではほぼ毎日日記を書いてUPしている。自分でもよくまぁあんなに書いてたなと思う。文章とは面白いもので書けば書くほど調子が出てきて、もう何でも書けちゃうなんて気分になってくる。まぁ面白いぐらいに書くことができた。

で2010年半ばから日記は途絶えだす。この頃、僕は営業から念願の制作に異動になり、自分自身がディレクターとして番組を制作することになる。ブログ以外に表現する場ができたのと同時に作る立場になって急にブログで文章を発表することが怖くなってしまったのだ。それと2009年10月から始めたTwitterも大きい。短い言葉に慣れてしまってすっかり長文を書くことができなくなってしまった。

であっという間に10年。仕事は紆余曲折あり制作~営業の異動を繰り返し今はさえない営業マンとして相変わらず音楽を聴き、映画を観、本を読んだりラジオを聴いたりして暮らしている。

そして2020年12月13日、読み終えたエムカクさん「明石家さんまヒストリー」の書評を久しぶりにブログにUPした。

その4日後、2020年12月17日10時29分。Twitterに一通のDMが届く。

明石家さんまヒストリー」の書評を引用したいという内容、そしてそのDMの送り主の名前に僕は腰を抜かすことになる。

その送り主の名前は、僕がこうして文章を書くきっかけとなった「水道橋博士(小野正芳)」さんだったのだ!

 

 

2020年に観た映画の話 の続き

さて、2020年に観た映画の話 の続きです。

改めてMYベスト10の感想を自分のTweetから抜き出してまとめてみた。こんな感じです。

 

① 「はちどり」 (監督/キム・ボラ)

1994年、ソウル。14歳のウニが過ごす日々を描く。家と学校、自分を中心にした半径1kmの世界。この理不尽で窮屈な世界のことは世代も性別も国も違うけど僕もよく知っている。14歳だったことがあるから。
カメラは揺れ動くウニの心に寄り添い、彼女が観る世界を映す。少し風変りな塾の女性教師と出会い、彼女は自分自身の痛みの意味を知る。そして父や母、兄、姉、友人など自分以外の人にもまた世界があり痛みがあることを知るのだ。
14歳の長くて短い時間の中で、誰かと出会い、小さな事件をいくつも体験し、ウニは成長していく。半径1kmの世界、理不尽で窮屈な世界の外に、本当の世界があること知る。ラストシーンのウニの表情、眼差し。彼女は成長し、世界の見え方が変わっているということがはっきりとわかる。
キム・ボラ監督、これが長編一作目!主人公に寄り添いながら、主人公以外の人々にもまた世界があるということがちょっとしたシーンでわかり、主人公がそこに触れ、心が動いていく様が見える。素晴らしい演出。ラストシーンの力強い美しさ。2作目、3作目が既に楽しみ。
左利きのウニと左利きの女性教師ヨンジ。トランポリンで跳ねる姿と気持ちを持てあまし家の中でドスンドスンと跳ねようとする姿。小さなシーンを丁寧に積み重ね、主人公の世界が揺れながら拡がっていく様を見せる。噂にたがわぬ傑作。キム・ボラ監督恐るべし。

 

② 「ブックスマート 卒業前夜のパーティデビュー」 (監督/オリヴィア・ワイルド

モリーとエイミーは親友同士。高校生活のすべてを勉強に捧げた二人が青春を取り戻すべく卒業式前夜パーティーデビューすることに。ってな青春コメディ。いやーもう最高!楽しくってパワフルでこっちも元気になった!
勉強一筋だった二人がパーティに参加すべくドタバタな展開になっていくのだが、その中で今まで軽蔑していたクラスメイト達のことを知り、それぞれの事情に触れ、より広い世界への一歩を豪快に踏み出していく。まさに「ブレックファストクラブ」なグッとくる青春映画。
主人公二人の掛け合いが楽しいし、まわりの珍妙なるクラスメイト達も最高!人種やセクシュアリティの描き方が多様で新しく、かつバカバカしく笑えてとてつもなくパワフル、でも青春ど真ん中でグッとくる。彼女らの行く末をずっと観ていたくなる。大好きな映画が1本増えた。

 

③ 「私をくいとめて」 (監督/大九明子

まず最初に言わせて。大傑作!めちゃくちゃ面白かった!気ままなおひとりさま生活を送るみつ子が、恋をして…という自問自答映画。最初は恋愛メインの話かと思いきや中盤から一気に深いところに突っ込んで行く。ここまで斬り込んで行くんだというぐらい
社会の中で生きていく上で人は様々な鎧を身につけていかざるをえない。その苦しみや悲しみをどう乗り越えていくか。どう解放されていくかを実に映画的な表現で描いていく。その「映画的」な見せ方がPOPに突き抜けていて楽しく、この見せ方こそが最良にして最善と思える
主演はのん。全編出ずっぱりで80%は一人芝居、それもほぼドアップ。でもうこれが最高!主演女優賞とらなかったら嘘でしょ的名演。桂枝雀ばりの緊張と緩和。心の中を描く映画だが、これはもう心のアクション映画だ。
外と内の間にある「玄関」が象徴的に描かれているのは監督・大九明子×原作・綿矢りさの傑作「勝手にふるえてろ」を想起させるし、親友役の橋本愛とのシーンでは「あまちゃん」が浮かぶし、吉住のTHE W優勝も必然としか思えなくなる。全部のパズルがピタッとはまる感じがある。
とにかく女優のんの代表作来た!という感じで、なんでこんな凄い天才女優を使えないんでいたんだとここ数年のエンタメ業界を叱りつけたくなる。これからもうがんがんに演技してもらいたい。

 

④ 「ストーリー・オブ・マイライフ 私の若草物語」 (監督/グレタ・ガーウィグ

4姉妹が織りなす小さな喜びや悲しみ、夢と希望、挫折や後悔…積み重ねっていく出来事と過ぎ去りし日々。古典を原作としながら、今を描く新鮮さと瑞々しさ、躍動感があってとっても素敵な映画だったなー。
物語の主人公、原作者、そして監督自身が重なる鮮やかなラストが素晴らしい!ファンタスティック!と映画館で叫びたくなった。その見事なラストで最上級の活き活きとした今を生きる映画になった。グレタ・ガーウィグ監督のもとに集まったシアーシャ・ローナン、フローレンス・ピュー、エマ・ワトソン、そしてエリザ・スカンレンという最強の座組もいい!

 

⑤ 「燃ゆる女の肖像」 (監督/セリーヌ・シアマ)

18世紀フランス。望まぬ結婚を控える貴族の娘と彼女の肖像画を描く女性画家。二人が恋に落ち愛に生きた数日を描く。なんという気高さ、名画の品格。完璧なまでに美しい映画。
格調高くクラシカルでありながら女たちが寄り添い共闘する現代的なテーマもしっかりある。映画史的にも重要な作品として残り続けるだろう。ハッとするほどに美しいショットの数々が目に、心に焼き付く。
見る/見られる関係が反転し、二人は恋に落ちる。決して結ばれることのない愛の結末とその余韻。愛と芸術の関係、その深さを叩きつけるラストの畳みかけが凄い。完全に打ちのめされました。

 

⑥  「パラサイト 半地下の家族」 (監督/ポン・ジュノ

かなりハードルが上がっている状態で観たのだが、観終わってみればそのハードルすらはるか下の方に霞んで見える。こんなところにまで連れて行かれるんだと放心状態。ちょっともう別物というか、でもこれ紛れもなく「映画」なんだよなぁ。
「面白い」と言っても様々な「面白い」があるわけだがそのどれもに当てはまる「面白い」に溢れている。でもちろんそれだけで済まされる訳はなく、圧倒的な力でとんでもない場所まで放り投げられる。観終わって周りを見渡せば今まで観たことも無い景色が広がっていた
ソン・ガンホのあの表情が頭から離れない。とにかく大袈裟に聞こえるかもしれないが、映画の到達点を観てしまった。という感じだ。

 

⑦ 「WAVES」 (監督/トレイ・エドワード・シュルツ)

レスリング部のエリート選手タイラーは恵まれた家庭に美しい恋人、何不自由ない生活を送っている。だが厳格な父親との軋轢、そのちょっとした綻びから大きな悲劇を生む。とここまでが前半。後半は妹エミリーが主人公となり再生の物語が始まる。傑作。
色彩、音楽、そして画面のサイズ。主人公たちの心の動きが映画全体を使って描かれる。なんて繊細で美しい映画なのか。ちょっとしたことで真っ逆さまに落ちていくタイラー。自らを責めながらやがてまた立ち上がろうとするエミリー。忘れがたき映画、忘れがたき人々。
エミリーを演じたテイラー・ラッセルが本当に素晴らしかった。彼女のことをずっとずっと観ていたいと思った。

 

⑧ 「カセットテープダイアリーズ」(監督/グリンダ・チャーダ

1987年イギリスのルートンで暮らすパキスタン移民の少年ジャベド。閉鎖的な街、父との確執、毎日を悶々と過ごす彼。そんな中出会ったのはカセットテープから流れてくるブルース・スプリングスティーンだった!一言、最高っ!大好き!
音楽との出会いが少年の人生を変えていく。音楽の力が彼の背中を押す。扉が一つ、また一つと開いていく。そしてその過程で彼は大人になっていく。自分の人生を生きていくことで、自分以外の誰かにも人生があることを知る。
映画「はちどり」では主人公の少女は塾の先生と出会う。自分のことを理解してくれる存在を知り、大きな世界への一歩を踏み出す。ジェベドが出会うのはブルース・スプリングスティーン。まるで自分のことが歌われているように感じ、閉じた世界の外にある大きな世界へ一歩踏み出すのだ。
音楽が世界を変えることは出来ないかもしれないけれど、音楽が誰かの人生を変えることは出来る。これは断言できる。ジャベドと同じ1987年に16歳だった僕も、身を持ってそれを経験しているからだ。物の見方、考え方、生きる指針。カセットテープから流れてくる音楽が導いてくれた。
なんていうと大袈裟かもしれないけど、何かを好きになるってこういうことだし、何かを好きになったことがある人ならわかるはず。映画「カセットテープダイアリーズ」はある意味、音楽好きあるあるなのだ。愛すべきあるある!そう早く言いたい。音楽あるある言うよ。音楽に人生変えられる!
でもう一つ。映画の中で主人公は酷い差別にさらされる。街には分断が起こり、ヘイトが横行している。それにNoを叩きつけるのもまた音楽なのだ。決して簡単なことじゃないし、勇気のいることだけれど、声を上げることの大切さを映画は示唆する。

 

⑨ 「ジョジョ・ラビット」 (監督/タイカ・ワイティティ

第二次世界大戦下のドイツ。10歳の少年ジョジョは空想の友人・ヒトラーとともに兵士を目指す。そんな彼が家で出会ったのは母により匿われていたユダヤ人の少女だった。なんと愛らしく、悲しく、そして気高いコメディなのか。素晴らしかった!
戦争のさなか、ナチスに憧れる靴紐も結べない少年ジョジョユダヤ人少女との出会い、そして戦争の狂気の中で大人になっていく。事象だけを追えば重く苦しい話なのだが、映画は愛らしくユーモアに溢れ、力強くその先へと進む。抱きしめたくなるような映画。心底感動した。
主人公の少年が実にかわいらしく物語を健気に引っ張っていく。母親役のスカーレット・ヨハンソンは過去最高にチャーミング。またサム・ロックウェルが凄まじい存在感をみせる。そして監督、脚本、ヒトラー役を務めるタイカ・ワイティティ監督!天才かよ

 

⑩ 「アルプススタンドのはしの方」 (監督/城定秀夫)

瑞々しく清々しく気持ちの良い映画だった。舞台の真ん中で輝けなかった若者の中にある輝くものを優しく見つめ、舞台の真ん中で輝く人への敬意もある。青春映画のはしの方でありながらど真ん中。この先、多くの人に愛されるであろう作品。
自分はアルプススタンドにすら行かなかったクチで、人生の3分の2、いや4分の3を過ぎて「そんなもんだよ、しょうがない(©昭和のいる・こいる)」が身に沁みついてしまっている身だけども、もう一度送りバントぐらいはという心情になったな。

 

 

2020年に観た映画の話

といいことで2020年のMYベスト映画は…

①はちどり
②ブックスマート
③私をくいとめて
④ストーリー・オブ・マイライフ
⑤燃ゆる女の肖像
⑥パラサイト 半地下の家族
WAVES
⑧カセットテープダイアリーズ
ジョジョ・ラビット
⑩アルプススタンドのはしの方

ってな感じに。

上位5作は全て女性監督による女性を描く映画となった。

ここ数年、女性をめぐる問題は自戒も含めて自分の中でも大きなテーマになっている。それは映画を観ることで浮かび、考え、自分の中に広がってきたことで2020年もまたそこに言及する作品に関心を持ったし、惹かれた。

いかに女性たちが不条理な現実の中でもがき苦しんできたか。そしていかに男性たちがそこに気づかず(あるいは意識的に)不条理を強いてきたか。「いい加減、その足をどけろよ!」という女性たちの意思表示にはっと気づき、過去の自分の振る舞いや行いを恥じ大いに反省もしている。

で、もちろん上に挙げた作品はそれだけじゃない。そのような社会の現実を背景に、主人公や主人公を取り巻く登場人物たちが、時にぶつかり、共闘し、一歩を踏み出していく。他者の人生を知り、自らの人生を生きていこうとする力強い意志が一筋の光となり希望となる。そんな物語達に強く惹かれた。そしてそんな物語達を生みだしたのが女性監督だった。

しかし2020年は改めて映画館という空間が自分にとっていかに大切だったかを思い知った。暗闇の中で、他者の人生を疑似体験し、その人生に想いを馳せる。それによって自分の人生はより豊かに深く拡がっていく。

映画館に行けない間は配信でも多くの作品を観たが、やはりあの映画館が持つ深い闇とスクリーンに映える光にはかなわない。映画館に自分は随分救われていたんだなと再認識をした一年だった。自分は映画館で観る映画が好きなんだな--それがよくわかった。