日々の泡。

popholic diary

佇む痛み

今日は休日。やった。9月も20日過ぎてやっと夏休み。っつーか9月中にとらないと自然消滅してしまうという嫌がらせみたいな夏休みシステムなので。とにかく今日は穏やかな休日となる日。
7時過ぎに一度目を覚ますが二度寝。娘は学校、妻はバイトに出かけた後、8時半起床。トーストにハムを挟んでムシャムシャと朝食。ゆっくりと新聞を読む。京都にでも出かけたいとこだが、あいにく給料日前で小遣いがもうない。とにかく金が全然ないんだ。俺の未来に投資しろ!
そういうことなので自転車に乗って路地裏散策。空はいい感じの青。風が心地よい。暑からず、寒からずのいい気候だ。そのまま図書館に行ってあれこれ本手にしてはパラパラと眺める。和田夏十さんの本が貸し出し中だったのでショーケンの自伝借りてくる。商店街の肉屋で揚げたてのコロッケ1ヶ30円を3ヶ購入。頼んでから揚げてくれるのでホント揚げたて。家に帰るとちょうどお昼。ちりめんじゃことネギを入れた出汁巻きを作って、買ってきたコロッケと冷ごはんの昼食。なんでもないけど美味しい。そして映画を一本。タダ券が一枚あったのが役に立つね。滋賀会館シネマホールでポール・トーマス・アンダーソン監督「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」観る。
1898年カリフォルニアから物語は始まる。石油を採掘して一山当てようと狙う男・ダニエル・プレインヴューの一代記。金と権力に見入られ、その為ならどんな手も使う男は、石油王にまで登り詰める。たっぷり2時間半越えでこの強烈な男が描かれる。一つの柱となる息子との愛憎劇。複雑な男の心情、そして救われぬ顛末にグッとくる。家族の絆さえも悪魔に売り渡したかのように見える男だが、その実、誰よりもそれを求めていたのではないか。腹違いの弟(になりすました男)とのシーン。抑えきれぬ激情に、にじみ出る悲しみ。金と引き換えに失っていくもの。憎悪を積み重ね、男は孤独な怪物になっていく。そしてもう一本の柱、彼に騙された宗教家との確執。数々の前振りの後、ラストの大爆発。すべてを手に入れたはずの彼に残ったものは。荒野に吹きあがる火柱のごとく、すべての感情が燃え上がるラストの凄味。その一言の深みにやられる。主演、ダニエル・デイ=ルイスの圧倒的な演技。歴史に残る名演ってもんでしょ。