日々の泡。

popholic diary

GOING HOME

朝からハードオフにプリンタとスキャナを持っていく。5年以上前に買ったやつなのでさすがに引き取りのみ。電気製品は儚いな。
で部屋でブライアン・ウィルソン「ラッキー・オールド・サン」(普遍的なポップスでありながらこの魂の昇華ぶり。素晴らしい!)聴きながら借りてる漫画いろいろ読み。
それから今日も映画一本。滋賀会館シネマホールでジェシカ・ユー監督「非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎」観る。
ヘンリー・ダーガー。1973年シカゴでひっそりと息を引き取った老人。彼は親類も友人もなく、病院の雑役夫として働き孤独の中で死んでいった。普通ならこれでお終い。誰の記憶にも残らず死んでいった一人の男。だが、彼が40年住んだアパートの部屋で驚くべきものが発見される。「非現実の王国で」と題された実に15000ページに及ぶ壮大な小説原稿と数百枚の挿絵。現実の世界では誰とも交わることのない孤独な老人だったが、小さなアパートの一室では壮大な妄想の世界を作り上げる創造主であった。
非現実の王国で」は「ヴィヴィアン・ガールズ」と名付けられた少女たちと邪悪な敵たちとの戦いの歴史を描く一大サーガ。コラージュやトレースなど様々な技法で妄想世界を表現した挿絵の狂気すれすれの美しさ。天使のような少女たち(ダーガーの描く少女たちの股間には小さなペニスがつけられている。一生涯孤独だった彼は少女と少年の違いを知らなかったからとも言われてるがそれもまた謎のまま)が舞う楽園と、邪悪さに満ちた凄惨な戦場。僕がダーガーのことを知ったのは3年ほど前。町山智浩氏のコラムで読んで興味を持った。本屋で画集を見つけて思わず見入ってしまったものだ。でこの映画は、そのダーガーの生涯を追ったドキュメンタリー。ダーガー(この名前もダーガーと発音するのかダージャーと発音するのか定かではない)の写真はたった3枚しか存在しない。とにかくミステリアスな存在。彼の“仕事”を発見したアパートの大家さんやアパートの住人たちへのインタビューをはじめとして彼の書き残した自伝などから彼の生涯を丁寧に拾い集めていく。だが何より素晴らしいのが挿入されるアニメーション。彼の描いたヴィヴィアン・ガールズたちが彼の絵そのままに命を吹き込まれるのだ。そしてナレーションはダコタ・ファニング。ダーガーの頭の中にはきっとこんな風に少女達が舞っていたのだろう。