日々の泡。

popholic diary

サニー

今日も映画の話。カン・ヒョンチョル監督「サニー永遠の仲間たち」。主人公は42歳の主婦・ナミ。夫と娘、不自由のない暮らし。繰り返す日々、どこか満たされない気持ち。ある日、入院する母の見舞いに行った病院で高校時代の親友・チュナと偶然に再会。末期癌に侵され、余命いくばくもないチュナ。「昔の仲間にもう一度会いたい…」というチュナの為、ナミは高校時代の仲間、かって“サニー”と名乗った仲良しグループの面々を探し始める…。映画は2011年の現在と、彼女たちの高校時代1986年を交差させながら進んでいく。
笑って、泣いて、泣いて、笑った。あーもう抱きしめたくなるほどに愛おしい映画になった。ある種ベタな展開ながらも、現在と過去が見事に交差するその語り口、時に漫画的なやり過ぎな演出もその間の良さ、絶妙の緩急で嫌味にならず、むしろ好感を持てる。友情、初恋、若さとバカさ、明るくて楽しくて時に痛い、甘酸っぱい高校時代。対比される25年の歳月がすぎた現在は決して順風満帆とは言い難いほろ苦さに満ちている。それでもメンバーは再会していく中で、もう一度「自分が主役の人生」を歩み始める。国、性別は違えど、完全に同世代の彼女たちの現在と過去の姿に胸をギュッと掴まれた。観てる間中、まさに笑って泣いて、泣いて笑ったよ。
現在と高校時代、もちろん演じる女優さんは違うんだけど、顔が似てるとかを越えて、あぁこの子の現在の姿はこうに決まってるよっていうぐらいのはまり方。同一人物としか思えない。7人のメンバー、過去と現在全部の女優さんが最高!高校時代のナミを演じるシム・ウンギョンちゃんの初々しくも垢ぬけない高校生っぷりは最高にかわいいし、そのコメディエンヌとしての才能には驚いた。グループのリーダー、姉御肌のチュナの高校時代を演じるカン・ソナ嬢の男前な凛とした美しさ。かっこいい飛び蹴り姿に惚れた。そして謎めいた美少女スジを演じるミン・ヒョリン嬢の本気の美少女っぷりも凄い!
高校時代なんてついこの前だったような気もするが、もう20年以上も前の話。あの頃は、まー僕の場合は友達もいなくてただただくすぶってるような毎日だった。僕にとってはその少し後、大学時代がまさに青春だったな。それはやはり仲間たちの存在が大きい。とても話が合って理解しあえる仲間と出会えたことは僕にとって大きな喜びだった。毎日毎日顔合わせてるのに、よくあれだけ笑えたもんだ。くだらない冗談を飛ばし合いながらも刺激し合っていっしょに成長していった。仲間たちを笑わせるのが大好きだったし、笑わせられるのが大好きだった。今はなかなか会えないけど、いつも気にしてるし、たまに会うとやっぱり笑わせたいって思う。それぞれがそれぞれの道を歩みながら、傷ついたり、辛苦を舐めたりもしてるだろう。それでも会うとあの頃に戻れる。
過去と地続きに現在はある。それはまた現在の地続きに未来があるってことだ。単なるノスタルジーではなく、過去は時に現在を応援してくれる。あの頃があるから、今もこうして生きていられる。いつか今の俺が未来の俺を応援する日が来るかな。そうなるためにも、精一杯今を生きるのだ。
なんてな。
しかし韓国映画、恐るべし。これだけの脚本、演出、さらに役者陣。その層の厚さには感動すら覚える。「サニー永遠の仲間たち」。生涯の映画ベストテンにランクインである。

あーもうこの予告編観るだけで泣けてくるぜ!とにかく全ての元・少年少女は必見!