日々の泡。

popholic diary

ビギナーズ

それでは今日は映画の話。先週観た一本。マイク・ミルズ監督「人生はビギナーズ」。妻を亡くし、癌を宣告され、75歳にして「自分はゲイだ。これからは人生を楽しみたい」とカミングアウトした父。戸惑いながらも父を看取った息子。父の死後、息子は、あるパーティーで出会った女性と恋に落ちる。人生に不器用で幸せに臆病な息子は、カミングアウト後、活き活きと人生を楽しみ切った父の姿を想いながら、自分自身を見つめなおすのだった…ってなお話。現在進行の恋の話と、ゲイとして存分に生きる父の暮らしが交差しながら描かれていく。人生を愉しむ。これがなかなか難しい。よくこんな例えがある。コップに半分の水。「まだ半分もある」と思うか、「もう半分しかない」と思うか。僕は完全に後者で、愉しむ前に憂いてしまう。でもわかってる。自分はただただ臆病なのだ。愉しみが無くなることを恐れて、愉しまなくなっているのだ。主人公もそんな男。でも彼は、父の姿を想い、その生き方を見つめることで、少しずつ変わっていく。人生のビギナーとしてもう一度人生を愉しむことに向かっていくのだ。とても静かで優しい映画だった。主人公も、その彼女も、父も、その恋人も、みんな優しくて繊細で、それゆえ生きるのが不器用になってしまう。彼らは人生と誠実に向き合い、自分の殻を破りゆっくりとだが確実に一歩を踏み出していく。その姿に勇気を貰ったな。そう、人生を愉しむことに憶病になってはいけない。そうだよな。
主人公を演じたユアン・マクレガーもこの映画でアカデミー助演男優賞を受賞した父親役のクリストファー・プラマーも本当に素晴らしくって最高なのだが、なんといっても主人公の恋人役のフランス人女優、メラニー・ロラン嬢にハートを鷲掴みにされたなー。もう最初に画面に出てきた瞬間から、目が釘付け。ずっと観ていたいって感じだったよ。

それと映画を観てて思ったのはやっぱり父のこと。いや、ゲイだったわけじゃないけどね。僕も父を亡くして数年経つ。変なもので亡くなってからの方が父の存在って大きくなっていくようだ。ふとした時に、父のことを考えていたりする。「あぁこんな時、父はどう乗り越えてきたのかなぁ」とか「あぁ、あの時、どんな想いでいたのかなぁ」なんて。やたら墓参りに行きたくなったり。変なものだな、ホントに。