日々の泡。

popholic diary

そして僕は途方に暮れる

降りそうで降らない雨。結局、会社出たところで激しい雨。目の前を走り去っていくバス。次のバスまで30分。ズボンの裾を濡らしながら歩く。
で今日は映画を一本。ジョエル&イーサン・コーエン監督「ノーカントリー」観る。
80年代のテキサスが舞台。偶然大金を手にした男・モス。そして消えた大金を取り戻すために雇われた殺し屋シガー。そして二人を追う老保安官ベル。3人の男が織りなす無常の世界-ってなお話。最初から最後までしっかりと見せられた。映画観た!って気分。完璧な映画だと思えたな。抑制の利いた映像、緊張感を保ちつつも淡々と見せていく語り口が逆に怖い。愚かなる人間、この無常の世界を映画は俯瞰で捉える。ひたすらやるせない空気が漂う。とにかくハビエル・バルデム演じる殺し屋シガーが強烈。ユーモアを持たない男、狂気の世界に重く沈んだ目が心底怖い。最初から最後まで一貫して不気味にも程がある存在感。観てる間、何回もヤバイヨ、ヤバイヨーと心の中の出川が叫んでたね。で観終わった後、俺たち人間は何やってんだろう…てへんな気持ちが残る。この映画にはゴロゴロ死体が転がってる。でもこれは映画。完全に狂ってるとしか思えない殺し屋も映画の登場人物だ。彼はどうやっても僕らを殺すことはできない。新聞を拡げる、テレビのニュースを眺める。こっちのほうがよっぽど狂ってる。なす術もなく、ただその現実にため息をつくしかない保安官・ベル。この狂った世界を前に、途方に暮れるだけなのだ。