日々の泡。

popholic diary

2021年2月21日~26日の話

日曜。妻と観劇。MONO公演「アユタヤ」。舞台は17世紀前半のシャムロ(タイ)、アユタヤにあったという日本人町で繰り広げられる物語。無自覚の差別心やちょっとした悪意が生むデマやきな臭い陰謀論。史劇でありながらそこで描かれるのは今僕らが暮らす現在の問題。まるでTwitterのタイムラインのような風景。ただそれを大上段に構えるのではなく、MONOらしい半径数メートルの、隣人たちの物語として描く。そうすることで未来に希望を託す。世界はひどく殺伐としている。でもこの大きな世界は顔が見える僕と君の連なりなはず。「隣人の親切」が世界にまで広がれば…。その甘すぎる理想が今はとても大切だと思う。なんというかMONOの芝居は信用できる。

百貨店で買い物して帰ろうなどと言っていたが、人の多さに恐れをなしまっすぐ帰宅して、駅前のスーパーで割引の寿司を購入して夕食。そんなもんだ。

月曜。昨日に増して暖かな一日。明日祝日で休みなのでどこか気が楽。夜、斉藤由貴のセルフカバーアルバム「水響曲」を聴く。1986~87年、斉藤由貴に熱烈に恋していた。きっちり2年間。1988年には全く関心なくなっていたのが自分でもよくわからない。でも1986~87年はもう斉藤由貴の熱狂の中にいた。朝ドラ「はね駒」を毎朝録画し、彼女のグラビアが掲載された雑誌(たしかMOMOKOだ)を大事に引き出しに隠していた。自意識過剰な思春期だったからファンだということを家族にばれないようにしてたなー。「ホットカルピス」のCMに悶絶してたよ。

アルバム聴いてたらすっかり気持ちが86~87年に。当時ファンだったがアルバムまでは買ってなかったのでspotifyでアルバム一枚ずつ聴きながら寝る。

火曜。祝日。「おちゃやん」起床。ウインナーとキャベツを炒めてホットドック風トーストの朝食。で朝から映画。歩いて大津アレックスシネマまで。

まずはキム・ヨンフン監督「藁にもすがる獣たち」。ロッカーに置き忘れられた大金が入ったバッグを巡る欲望渦巻くサスペンス。「金」が原因で追い詰められる男たち、女たち…並行して描かれるそれぞれの物語がやがて一本の線で結ばれる。曽根圭介による小説を原作に、韓国お馴染みの名優たちが10億ウォンを目指し死闘を繰り広げるバトルロワイヤル。いやー劇的に面白かった!バラバラだった時系列やそれぞれの関係性が中盤になってカチッとはまったかと思うと、そこからの怒涛の展開!欲望を前にトチ狂っていく人々の群れ。凶暴すぎるチョン・ドヨンが最高!キュートで色っぽくて極悪。最近はわりと暗い役が多かったので痛快なチョン・ドヨンが楽しい。笑った時にきゅっと鼻の上に皺がいくのが凄く魅力的でかわいいんだよね。いつになく間抜けなチョン・ウソン、いつになくいかついチョン・マンシク、そしていつものペ・ソンウ!やりすぎ極悪描写も含め、面白かったなー。

続いては今泉力哉監督「あの頃。」。原作は劔樹人による自伝的コミックエッセイ。ハロプロに魅せられた仲間たちとの「あの頃。」。究極の片想いにして、純度100%の「好き」を共有しあう仲間たちとの日々。ずっと「好き」を描いてきた今泉監督の「好き」な人々への敬意。愛すべき「あの頃。」の物語だ。「好き」という気持ちが全てで「好き」が生活に明かりを灯す。傍から見たらバカみたいだとしても「好き」を持つ人は美しい。仲間たちとの馬鹿で間抜けな最高で最低な日々。「今が一番楽しい」はかけがえのない「あの頃。」にリボンをかけるような言葉であり想いだと感じた。主演は松坂桃李。ちょっと頼りないけど穏やかで優しい人柄が滲み出ていてさすが信頼と実績の松坂桃李!そして本年の映画MVPほぼ確定の仲野太賀がこれまた素晴らしい。さらに今を時めく若葉竜也など役者陣もみな良かった。

ということで本日の2本立て、どちらも大満足。顔馴染みのアレックスシネマ支配人さんと立ち話。どっちも最高に面白いんだけど、客入りが…とのこと。確かに祝日だというのに「藁にもすがる獣たち」に至っては客2人だけだったもんな。滋賀県人は映画嫌いか?文化不毛地帯感が悔しい。

水曜。朝から病院へ。人間ドックで引っかかっていた肺の影は、CTスキャンの結果全く異状なし。だったけど別の部分に気になるとこありとのことで呼吸器科科 から内分泌科 へ。問診の末、また来週採血へ。ま、50にもなればいろんなとこにガタがくる。病院から戻ってすぐに会社へ。なんだか疲れた1日。

木曜。営業で近江八幡へ行ったので昼は「初雪食堂」へ。名物のメンチカツが食べたかったのだが、メニューに無い!聞いたらメンチカツはやめましただって。なんでだよー。でアジフライ定食。ま、これはこれで美味しいのだけど。

金曜。朝から雨。今日は久々に大阪営業。人身事故で電車激遅れ。2時間ほどかけて大阪まで。車中ではラジオクラウドで町山さんの「たまむすび/アメリカ流れ者」。映画「ミナリ」観たい!お気に入りの女優さんハン・イェリも出てるし。それから「TOKYO SPEAKEASY」水道橋博士さんと劔樹人さんの回。絶賛炎上中ということもありジェンダー話から映画「あの頃。」話。ジェンダー話では杉作J太郎さんの名前も。杉作さんの女性に対する言動については実は僕もお手本にしている。ジェンダーだとかポリコレだとか言ってしまうとちょっと堅くなっちゃうが、男とか女とか関係なく、ただ人として敬意を持って接する。それが根底にあれば女性蔑視なんてありえないのだ。杉作さんは年齢や性別などに惑わされない、人に対する敬意があるんだよね。

radikoで「伊集院光とラジオと」の斉藤由貴さんゲスト回。銀色夏生作の「AXIA」はホント凄い曲だね。斉藤由貴しかあそこまで歌えないと思う。なんというかデビュー時からどこか「底知れない」感じがあって、絶対掴まえられないような魅力がある。だからこそ86~87年にあれだけ熱狂したんだな。

営業仕事こなして、「松のや」で遅めの昼食にかつ丼。たまにかつ丼、無性に食べたくなる。

で帰りの車内ではひたすら杉作さんの「ドッキリないと5」。2時間半、オンエア曲「シクラメンのかおり」だけ。オリジナルからカバーとひたすら「シクラメンのかおり」ってクレイジーだな。でもこれがちゃんと聴けるし、面白い。これこそが「選曲」だよ。レコード会社のおススメ商品並べて、選曲だなんてほうがホントはどうかしてんだよな。なにがナウヒッツだよ。サンプル盤しか聴いてない奴が選曲なんて出来るわけねーんだから。とついつい熱く思っちゃう。