日々の泡。

popholic diary

Bitter Rose

京都営業。駅付近ということもあり久々に電車で。
昼は京都の友人呼び出し、ランチ。いかにも京都といった路地を抜け、小さなとんかつ屋に入る。これまた京都な町屋作りの店で、2階の座敷に上がりその細長い部屋に入ると、ふと昔父方の祖母が住んでた借家を思い出す。祖母が死んだのは、僕が高校生になったばかりの時だったからもう20年近く前になる。祖母は死ぬまでずっと気ままな一人暮らしをしていた。玄関を開けるとすぐ土間があって、その奥の小さな部屋に祖母はテレビと向かい合って暮らしていた。たまに遊びに行くと、決まって冷えたサイダーを出してくれた。料理が苦手で、父曰く「お袋の味は、冷奴」だったそうだ。甘いものが好きで、祖母が家に泊まりに来る時は決まって母はおはぎを作った。この甘いもの好きは、祖母から父、父から僕に受け継がれている。そうそう、いつもポッキーを兄貴と僕にお土産として持ってきてくれたっけ。それは僕がもう中学生になっていても必ずポッキーだった。死ぬ1年ぐらい前かな、家に泊まりにきた祖母となんとなく話をしていて、女学生の時にピクニックに行った話を楽しそうにしてたのを思い出す。それと僕の顔をしげしげと眺め「あんさん、幸四郎に似といやすなぁ」と言ったのを覚えてる。
おっと、話が横道にそれた。友人と定食食べながら、そんなような想い出話やら、やっぱり京都がしっくりくるねぇとかなんとかとりとめの無い話。2階の座敷は僕たち二人だけだったので、すっかりほっこりしてしまう。それからまた路地を抜けてカウンターだけの喫茶店でコーヒー。特になんてことない話だが、たまにこうして会って話をすると元気になる。今日は天気がいい。京都の匂いをいっぱい吸って、古い路地を歩いてると、もうなんもかんも忘れて休日モード。ま、実際はそんなわけにも行かないので、友人と別れてお仕事。
で会社に戻って一仕事して、今日は合気道日なんだが、どうにもこうにもそんな気にならず、ま、たまにはいいやってんでサボっちゃう。そんな日もあるさ。
早めに会社出てブラブラ。今日はなんとなくいつもは通らない湖岸沿いの道を歩く。ゆっくり、のんびりと。夜空に浮かぶ三日月の前を飛行機が過ぎる。向こう岸に揺れる高層マンションの灯り。湖の上を風が抜け、僕の頬を撫でる。いつもの倍の時間をかけて、牛歩の歩みでの帰り道。不思議と穏やかな気持ちだ。
そんな気分になるのは、ディスクマンから聴こえるムーンライダーズ「P.W Babies Paperback」のせいかもしれない。いつになく穏やかな音で綴るWet Dreamlandの戦後昭和史。ちょっとノスタルジックで、少しビターな昭和への鎮魂歌。胸の奥の、そのずっと奥を刺激する歌。湖の上を抜ける風は、ほんの少し冷たく、僕の短い髪を揺らす。