日々の泡。

popholic diary

2003年5月の話。

2003/5/1~31

GW。とはいえカレンダー通りの休日。で3日は結局午前中休日出勤することに。ま、それでも1ヶ月無休で働いた去年に比べればちゃんと休めてるほう。
で2年ぶりに大学時代の友人達との飲み会に参加。大阪に出てとりあえずタワーで中野裕之監督のDVD「SONIC FOUR」、Ann Sally「day dream」、空気公団「こども」購入。そのまま本日の会場である肥後橋のインド料理屋へ。久々に食べる本格インド料理はうまし。カレーはどんなものでも大好き。学生のとき、学食や茶店でいつもカレーばっか食べてたから「おまえはキレンジャーか」とわかりやすい突っ込みを入れられたりしたもんだ。で久々の楽しい飲み会。学生時代から爆笑王だったI先輩のさらに磨きかかった爆笑王ぶりに全員大満足。料理はうまいし、トークも冴える。生きているってのはこういうことなんだな。

休日。久々に浜大津オーパまで自転車で。しかしここもオーパ撤退がきまってどうなっちゃうんだろ。浜大津駅という好立地にありながら閑散とした店内。数々のテナントが去っていき、ついに唯一人気店だったユニクロも撤退。全て駐車場代が高いというのが原因なんじゃないのか。でまだ撤退してないプラモ屋でフィギュア物色。ヴァニアルズーというシリーズでみうらじゅんの「うし」キャラフィギュア発見。早速購入。続いてヴィレッジヴァンガードをぶらぶら物色。ここでは「ドラえもんコミックティストフィギュア」なるものを発見。やっぱり購入。

ドラえもんコミックティストフィギュアがいい。文字通りアニメ版ではなく漫画それも「てんとう虫コミックス」版のドラえもんをフィギュア化。ご丁寧に第一巻ということで外箱も「てん虫」版仕様。今よりも相当ずんぐりむっくりしたスタイルの悪いドラえもんが忠実に再現されている。藤子F不二雄作品のフィギュアってドラえもんぐらいしか見ないんだがどっかで作ってないのかな?Fコレクションなんつってパーマン、キテレツ、ウメ星デンカ21エモンとかのフィギュアがあったら即買いだけどな。

子供の日。例年のごとく妻の実家へ。お祭りの日なので娘は姪ッこといっしょにはっぴ着て、神輿とともに町内練り歩き。数箇所の休憩所でお菓子がもらえるので帰ってきた頃には両手にいっぱいのお菓子抱えて。僕自身はあまりお祭りの思い出ってない。子供の頃から人の集まるところは苦手だったからな。

中野裕之監督のDVD「SONIC FOUR」。安藤政信村上淳桃生亜希子、そして麻生久美子主演によるショートフィルム。4人がノイズで作り出す音楽、中野裕之印のピースな映像。とかなんとか言っても麻生久美子の美しさよ!もう麻生久美子のキュートすぎる美しさだけでご飯3杯はいける。

北野武監督の新作「座頭市」。音楽はなんと鈴木慶一だとのこと。こりゃ、期待しちゃうな。

大阪出勤。会社帰りの梅田地下道。いつもは下見て歩いてるのだが、前見て行き交う人々を見てみる。平均32点。俺も含めて・・というところ。いや、なんで平均とってるんだかわからんし、何の平均なんだかわからないけど、平均32点だった。そんな夜。

休日。娘と同じマンションに住む娘の友達・キョウカちゃん連れて湖岸の公園へ。天気の良い穏やかな休日。二人を遊ばせて、一人コーヒー手にベンチに腰を下ろす。目の前に広がる琵琶湖、のんびりと進む遊覧船・ミシガンを眺めつつボケーっと。「生活」と「仕事」。自分にとっての正解はどこにあるのかな?

毎年恒例のシティボーイズライブ妻と見に行く。「シティボーイズミックスpresents NOTA恙無き限界ワルツ」。年に一回、このライブ観ることでなんか自分自身のモヤモヤがリセットされる感じ。今回も文句なしの爆笑。毎年書いてるけど、大竹まことはウマイ。きたろうの脱力ぶり、斎木の無意味にでかい存在感。実はちょっと泣きそうになった。多分、俺は死ぬときシティボーイズライブのことを思い出すんだろうななんて思って。俺の人生を美しくしたこの最良のステージのことを。で今回はYOUと五月女ケイ子が客演。この五月女ケイ子って人は要注意人物。イラストレーターとして最近売れっ子なんだけど、もっともっと注目されるだろう。こういう嗅覚には自信があるんだ。

久々に梅田の紀伊国屋のぞく。相変わらず人がいっぱい。本屋は大好きだけど人だかりの本屋は落ち着かない。それでもやはりでかいだけあって品揃えはさすが。買いそびれていた「笑芸人」のバックナンバーと慶應義塾大学佐藤雅彦研究室+中村至男「任意の点P」購入。それからロフトまで出てWAVEのぞく。もう10年以上前、大学生の頃、できたばっかりのロフトへ友人と行って、レコードショップ「WAVE」を覗いたときのショックは大きかったな。スゲー品揃え、こんなCD屋があるなんてと狂気乱舞したもんだ。ま、さすがにそんなインパクトは今や「ない」。基本的にCD屋の評価基準は「ムーンライダーズ」としている。「ムーンライダーズ」とワンコーナーあってそれぞれのソロもきっちりおさえてあればそこは僕にとっては優良店なのだ。当時のWAVEはまさに最優良店だったが、今や「・・・」。品揃えとして置いてるのか、「買うべし」という気迫とともに置いてるのかはその並べ方、見せ方でわかるもんだ。そんな訳でCD物色はやめて本を物色することに。こちらも当時に比べてパワーダウンしてるがそれでもなかなか楽し。手塚真「天才の息子」購入。

慶應義塾大学佐藤雅彦研究室+中村至男「任意の点P」。レンズ付きの立体視の本。これがおもろい。昔、地理の教科書に山や町を上空から撮った立体視写真が載ってて授業も聞かずにそればっかり眺めてたことがあったけど、なんか単純に「出てきた、出てきた、立体的に見える」ってことだけでやたら嬉しくなる。ここに収められた立体図はなんて形容していいのかわからないけど、生理的にやたら心地好い「図形」。単純な線や点で描かれた図形は整理された本棚や機能的にデザインされた都市空間のように意味を超えて脳に直接くるような美しさが感じられる。

会社帰り、ふらふらとコンビニに寄り道。なんかすっきりしない日はシュークリームを一つ買って車中で食べることにしている。ここんとこ週に3回は喰ってるが・・。でなんかいいフィギュアでもないかと見渡すと「プリンプリン物語」フィギュアを発見。
ちょうど娘とこの前「プリンプリン」談義してたとこなのでお土産に買って帰る。「何がでるかな?」と開けてみると「花のアナウンサー」。娘も大喜びでよかったよかった。

Ann Sally「day dream」が良い。柔和な歌声。吉田美奈子のカヴァー「レインボーシーライン」が特に良い。抗し難い心地好さでずっとずっと聞いていたくなる。穏やかな今の季節にはぴったりです。

昔テープでよく聞いていた立花ハジメの「SHOOT」という曲が聞きたいなぁと思ってたところ、中古盤屋でその曲が収められたアルバム「BEAUTY & HAPPY」を発見したので即購入。「BEAUTY & HAPPY」ってタイトルが今、あえてイイじゃないですか。鈴木慶一作詞、アレンジに戸田誠司が参加した「SHOOT」がピコピコしててもうテッチーなノリでやはり最高。単純な言葉、恋の歌、グッドメロディ。小難しいことはイラナイ。

手塚真の「天才の息子」。若き日の手塚治虫のポートレイト。その横顔と向き合う父・手塚治虫に扮した手塚真。そして手塚ライクな「天才の息子」というタイポグラフィー。もうそれだけで僕にとって十分満足だ。手塚治虫が死んだのは僕が大学生になった年だったかな。一時期、図書館で手塚関係書ばかり読んでた。手塚の漫画を論じたものから、妻や娘が書いた人間・手塚について。手塚治虫はまぎれもない天才である。その残された莫大な量の作品。その「量」という圧倒的な事実を上回る「質」というメッセージ。で名実ともに「手塚チルドレン」な手塚真が初めて父について語ったこの本。天才・手塚の人間としての優しさがとても穏やかにかつクールに語られている。このクールさが実に良いところで、単に父としてではなく同じ表現者として、同じ人間としてのリスペクトが感じられて好感が持てる。にしてもこの手塚真や娘のるみ子が王道というよりむしろアンダーグラウンドサブカルチャーに深く関わってるとこがなんかおもしろい。ポップカルチャーサブカルチャーであった「漫画」を王道のエンターティメントに仕上げた手塚の子供たちがそういう方向に行ったのはなんか手塚の「コア」の部分を受け継いでるんだななんて思っちゃうな。手塚真についてはすごく印象に残ってることがあって、それは中学生の時だったかな、テレビで大林宣彦監督、薬師丸ひろこ主演の「迷」作「ねらわれた学園」が放送された時のこと。この映画に手塚真は役者として出演してるんだけど、映画の後、解説者の荻昌弘が「手塚真。彼はとても才能のある人なので、注目しておいてください」という旨のことを言っていてその言葉が凄く印象に残ってる。

手塚治虫絡みが続きますが、あの「手塚治虫ミニヴィネットアンソロジー」の第二弾がついに発売。造型師・香川雅彦の本物の芸術。コンビニで見つけて早速購入。わずか数センチの小さなフィギュアから発せられる限りなく広がる世界。「どろろ」なんて、凄いよ!

タワーレコードで「愛の逃亡者」渚ようこ、「OUT」種ともこ購入。種ともこの「OUT」一曲目「チャリンコ」がいい。グッドメロディ。ポップソングの王道。

久々に落語のCD「志の輔らくごのごらく」立川志の輔購入。カーステで聞きながら一人車中で爆笑。新作「はんどたおる」のバカバカしさ。日常の中にある「落語的」な話、その裏には綿密に計算され構成された笑いが。また古典「死神」の深み。一人喋り、なのにこの世界の広がり。ぐいぐいと引き込まれる。マンションの駐車場に車止めるも途中で聞くのやめることできず聞き込む。息を呑む「サゲ」。志の輔名人の至福の話芸に爆笑しつつも唸る。

百瀬博教「不良日記」購入。即読了。おもろ。自らを「不良」と名乗る「想い出に節度がない」詩人の半生は客観的に観るととてつもなく激しいものだけど、その激しさと反して本人の筆はいたって甘美でロマンティックである。「今」と「想い出」がロマンテックな融合を果たす。名著也。