日々の泡。

popholic diary

2003年1月の話。

2003/1/1~31

そんなわけで2003年。例年のごとく朝からフジの演芸番組。正月は漫才に限るね。でお雑煮食べて、娘にお年玉。今のところ、お年玉といっても彼女にとってはかわいい絵のかいてある「ポチ袋」のほうが大切で中身は小銭で十分。かわいいもんだね。

でまた例年のごとく、家族で京都の実家へ。まずは近所の祖母の家に挨拶。今年は珍しく兄貴が帰っており、娘におもちゃ買ってやるってんで「トイザらス」まで。何でも買ってやるぞと言われた娘、ハム太郎のゲームとシルバニアファミリーのセット買ってもらって大喜び。親としてはありがたいものでやんす。子供の頃、こういう太っ腹な叔父さんがいると嬉しかったもんだ。で後は実家でお節やおやつつまんでダーラダラ。夜はみんなですき焼き。なかなか家では食べられないからな。ここぞとばかり喰う。

夜、テレビで「きらきらアフロ」の特番見る。前から見たかったんだけど滋賀じゃネットしてないんだよねぇ。パペポを終えた鶴瓶が、相方にオセロ松嶋を選択したそのセンスにやはりプロデューサーとしての鶴瓶の才能に驚く。このコンビはおもろだ。で今日は実家に一泊。

翌日も朝からお節に雑煮。叔父の家に挨拶に行って、帰宅。次は即、妻の実家へ。これまた例年のパターン。例年ならここで鍋なんだが、今年は「久々にすき焼きにしたでぇ」ということですき焼き2連ちゃん。ま、好きだから苦にはならないけどね。また、出された肉がいい肉でうまいんだ。で食べ過ぎる。帰宅後、ふと体重計にのると、昨年グッと痩せたにも関わらず、この年末・年始でほぼ元に。恐ろしいもんだ。それを知った妻にひどく怒られ、もう何も喰うなとまで言われる。

翌日は通常なら近江神宮まで初詣に行くとこだが、あいにくの雨で中止。家でテレビみながらダーラダラ。休みがないとないで辛いが、休みがあったらあったで結構やることないんだな。まぁ、やりたいことがないわけでもないんだが、家族がいると皆を放って一人で動き回る自由さもないのが辛かったりする。ね、世の中のお父さん方、そうでしょ。

娘といっしょに志村けんの「バカ殿」見る。娘はなぜかボブサップに大喜び。例の「うれしい~なぁ」ダンスを志村から伝授されるボブサップに爆笑していた。この人は知性とユーモアが感じられるとこが人気なんだろうな。

そんなわけで特に何をするわけでもなく、休みは終了し仕事開始。今年は働かないぞと年始から決意。この2年ほど、散々働いたからなぁ。今年は「中学20年生」がコンセプトなので自分にとっての「おもろ」に情熱と時間をかけたいのだ。

とはいえ、そこはこの真面目な性格ゆえやっぱり働いてしまう。身体ってのは正直なもんで一日0.5キロづつ痩せていき、一週間でまた正月前の体重に。その上連休に合わせて風邪をひいてしまい、高熱で寝込む。折角の連休にタイミング良すぎて嫌になるよ。

布団の中で「ABC新人漫才コンクール」。どうも、レベル落ちてるように思うな。優勝はシュールなコントの「チョップリン」。うーん、個人的には該当者無しだけどね。しかしあの町田康が審査員勤めてるのは時代を感じるなぁ。バンドブーム~インディーズブーム時代に青春を過ごした僕らには作家・町田康というよりパンクロッカー・町田町蔵のイメージのほうが強いもんなぁ。まだA5版サイズでばりばりのサブカル誌だったころの「宝島」なんかに載ってた町田は当時既に伝説のパンクロッカーという扱いで、パンクは好みじゃない僕でも町田=パンクという図式がすり込まれたもんだ。

相変わらず仕事をこなし、会社帰りには本屋に立ち寄る。全く、絵に描いたような平凡さ。日記をかくことによって知るのは、いかに自分が退屈な毎日を過ごしてるかだ。で本屋では吉田豪氏による松本人志インタビューが掲載された「relax」誌購入。ブックオフにも寄って古本を物色。竹中平蔵佐藤雅彦「経済ってそういうことだったのか会議」、山田太一異人たちとの夏」購入。ブックオフ店内放送で「あのねのね」の清水国明氏によるブックオフのPRが10分置きぐらいに流れるんだけど、それがもう実に「魂が入って」なくて笑える。「私もブックオフの会員なんですよぉ。安くて便利で最高!」みたいな内容なんだが、「アウトドア」「キャンピングカー生活」しか思い浮かばない清水氏がブックオフの会員とはとても思えない。

体調はなかなか戻らないがそれでもそれなりに働いて土曜を迎える。ちょっと早めに仕事切り上げパルコに寄り道。いつものごとくタワーと紀伊国屋。タワーでクリンゴン「9」、OVERROCKET「POPMUSIC」、Sunaga t Experience「NO REASON NO RHYME」購入。そして「松本人志誌上一人ごっつ」という特集の「Cut」誌購入。ほんとこんなのばっかし買ってていいのか。

久々、大阪。仕事後、友人Mとタワーで待ち合わせて一杯。年末にMプロデュースの元、作ったコンピレーションCDを受け取る。大学時代のギター部の面々に呼びかけ大学時代の思い出の曲を一曲あげてもらいそれを集めて作ったコンピ盤。タイトルは「when the world was young」。このタイトル僕がつけたんだけど、実はリアルフィッシュというバンドが87年に出したアルバムタイトルのパクリ。去年、忘年会のとき、みなに配ったんだけどあいにく僕は仕事で出席できなかったので、やっと入手。ジャケットとかCDの表面とかデザインしたんだけど、遊びとはいえちゃんと印刷されて形になるとなかなかどうしていい感じ。CD自体も僕が選曲したフェアグランドアトラクションの「パーフェクト」から始まって、フォーク、ヘビメタ、ジャズとそれぞれ選者の顔が浮かんでおもしろい。こういう遊びはこれからもやっていきたいなぁ。

クリンゴン「9」がいい。以前にライブを観て一発で気に入ったバンド。初期の原田真二っぽい感じのピアノロックでコンポーザーでもある木村ひさしの弾く饒舌なピアノにぐいぐい引き込まれる。この人はソングライターとしてもっともっと仕事したらいいと思う。もし僕がプロデューサーなら、かって松田聖子ユーミンや細野さんの楽曲を歌ったように、声のいいかわいい女の子に、若くて才能のあるソングライターの楽曲を歌わせて一枚アルバムを作りたい。このクリングンの木村ひさしやインスタントシトロンの長瀬五郎、空気公団の山崎ゆかりや櫛引彩香なんかが作家の候補だな。

花輪和一刑務所の中」読了。実に味わい深い作品。銃刀法違反で3年間刑務所暮らしをした筆者がそのなんとも不思議な世界を淡々とユーモラスに描く。もちろん刑務所なんて望んで入るとこじゃないけど、なんかこれ読んでるとこういう暮らしも「有り」なのかな、なんつって思っちゃう。山崎努主演の映画もぜひ見たいもんだ。しかし前読んだ見沢知廉「囚人狂時代」のハードコアさとはだいぶ違って、罪の内容にもよるもんなんだなと思う。あっちは殺人だもんなぁ。

「Cut」誌の「松本人志誌上一人ごっつ」が凄いことになってる。特に「写真を説明しよう」における松本人志の天才ぶりは笑いを超えて感動の域まで達している。「松本人志がいた」ということだけでもこの時代のお笑い史は十分かもしれない。

土曜の会社帰りはいつものごとくパルコに寄り道。タワーでHOW「Melody」、FUDGE「Light Fantastic」購入。紀伊国屋では河出書房のムック「総特集・江口寿史」購入。

もはや買うスピードに聴いたり、読んだりするスピードが追っつかない。それ以上に片付けるスピードも追っつかない。棚からはみだしたCDや本はもはや修復不能。聴きたいCDが自分でも探せないというひどい状況。

ひょんなことからウクレレ入手。エレキ、フォーク、クラシック各種ギターにギタレレ、ウクレレとたいして弾けもしない癖に。でもギターってみてるだけで嬉しくなるねぇ。楽器ってのはホント、ロマンティックなものだと思う。

時々、胸にぽっかりと穴があいてしまうことがある。満たされない想いは胸の奥でいつでも青白い炎となって燃え続けていたけど、その火種すら朽ち落ちてしまったようだ。
ブラックホールみたいにぽっかりと空いた穴、そのすすけた深い穴の淵で、今にも吸い込まれそうになりながら、なんとか夜をやり過ごす。煩悩と妄想にからまってこのまま地獄に落ちていけたらずっと楽かもしれない。全てをあきらめてしまえるほど大人ではないし、全てを脱ぎ捨てられるほど若くはない。誰かに何かを伝えたいのに、誰にも何も伝わらない。キーボードに叩きつけられた言葉は、誰の心にも刺さらないまま、冬の空に消えていく。そう、昭和のいる・こいる師匠も言っていた「そんなもんだよ、しょうがない」と。