日々の泡。

popholic diary

2001年11月の話。

2001/11/1~30

11月。相変わらずバタバタと時間だけが過ぎる。

久々の連休のはずが結局休日出勤。それも大阪出社。ちゃっちゃと仕事片付け折角だからと久々に梅田のタワーレコードへ。なんやかんやと買いたいCDはあるのだが、どうも踏ん切りつかず結局何も買わずに帰宅。なんだかパッとしない月の始まり。

長らく取り組んできたプロジェクトもラストスパート。T先輩や開発をお願いしている某大手電気メーカーの方々も滋賀に泊まりこんでの作業。で仕事後はやはり駅前で一杯ということになる。さすがに週明け月曜から飲むのはどうかとT先輩に「月曜ですよ・・まだ先は長いんですから」とやんわり断ろうとすると、別件でちょっと荒れ模様のT先輩に「なに?月曜はめし喰ったらあかんの?月曜やからってどういうこと?」といきなり絡まれ拉致される。

そんなこんなで金曜日、やっとプロジェクト一応の完了を迎える。良かった、良かった。で物流センター近くの花緑公園内にあるレストランで物流センターの皆さん、開発チームみんなで打ち上げ。用意された寄せ鍋は松茸もたっぷり入って絶品。こういう気持ちのいい酒宴はいい。料理もお酒もおいしく、珍しくビールもくいくい進む。でこのまま収まりつくわけもなく2次会として駅前のいつものラウンジへなだれ込む。焼酎の水割りをくいくいと行きながら飲めや歌えでこれまた楽し。ま、後半の一時間はほとんど寝てたが・・。で7時から始まった酒宴は2次会終了が夜中2時。7時間飲み続けてたわけだ。ま、たまにはいいじゃないか。なんつっても約5ヶ月に渡ってのプロジェクトも一応は無事完了したわけだしね。

でこれで翌土曜日も朝9時にはきっちり仕事開始してるんだから偉いでしょ。

日曜。今日は家族で朝から守山にある「アグリの郷」ってとこに行く。先着100名にもらえるフワフワ風船を娘ともらい、試供されたあさり汁をすすり、栗のジェラートを娘と味わい、100円の白菜を買う。そのまま近くの公園で遊んで日曜が過ぎた。

TBSの特番「人間とはなんだ」見る。人間の脳の話ってどうやったっておもしろくなるんだなぁ。多重人格者のVTRに「凄い・・、イッセー尾形みたいだ」なんて不謹慎なことをちょこちょこ考えつつも見入る。最後にやったがんに侵された6歳の女の子のVTRはもうどうしようもなく泣いた。娘を持つ親としては辛すぎるよ。最後に両親は弱りゆく娘に危険を伴う抗がん剤の投与を行うかこれ以上の延命治療を続けずに家に連れ帰るかの選択を迫られる。葛藤の末、両親は抗がん剤の投与を選ぶ。一体、どっちが娘にとっては幸せだったのだろう。もし自分がその両親ならどっちを選ぶだろう。今の僕の答えはこの両親とは逆の選択だ。だが、その状況になったらどうなるのかわからない。命には限りがあって、皆平等に死を迎える。いつかは知る悲しみ。その悲しみとどう向かい合い、受け止めていくのか。受け止められるのか。愛すべき人との別れはとても、とても辛い。だが目をそらすわけにはいかない。ちゃんと抱きしめてそのかけがえのない命の終わりを見届けるのだ。いつか君が/僕の前からいなくなるとしても/僕は生き続け/星は回り続ける。

日曜はたいてい家族で買い物に行く。ジャスコとかマックスバリューなんていうスーパーマーケットへ。で数年来スーパーに通って気付いたことがあって、それは「ジャスコには美人妻はいない」ということである。いや、ジャスコじゃなくてもダイエーでもイズミヤでもいいのだが。なんつーか、こういう大衆的な場所には「美人妻」はいないのだ(きっぱり)。メスは自分の子孫を残すため、より強いオスを求める。強いオスの遺伝子を手に入れるためにメスは自らを飾りオスを惹きつけようとする。当然のことだ。でこの資本主義社会において男の強さとは?はっきり言って「金」である。美しい女の遺伝子は強さ、能力や才能(それは「お金」につながっていく)を持った遺伝子を求める。そしてその美しさで強い遺伝子をゲットするのだ。「一流の美女はギャラも一流」とはリリーフランキー氏の言葉だが、その通りなのである。「強い」男をゲットした「美人妻」はスーパーマーケットでは買い物なんかしない、いや食料品の買出しなんて行為はしてないはずだし、したとしてもデパートに行ってる、きっと。で休日家族揃ってジャスコで買い物をする。それはそれでニューファミリー的ななんつーか幸せな風景ではあるのだが、そこに登場する人々(自分含む)はやはりみもふたもない言い方をしてしまうと「ぶさいく」なのである。中身だとかそういうことは全く言ってなくて見た目だけだが、もう「ぶさいく」なんだな、これが。適度に「ぶさいく」な旦那にそれなりに「ぶさいく」な妻、かわいくも「ぶさいく」な子供。そんな「ぶさいく」ファミリーがいっぱいなのだ。で一番、きついなーと思うのは土曜の昼間とかゆるーい時間のスーパーのフードコートとか呼ばれる食堂街。下品な刺繍の入ったジーンズをはいた茶髪の旦那(Vシネマとか好きそうな)に「まだら狼」と呼ばれたプロレスラー・上田馬之助風の中途半端な金色の髪をした、赤いジャージ着た妻(化粧はしてない)、そしてこれまたプロレスラーがよくしてる「スポーツ刈りで後ろ髪を伸ばす」髪形をしたいかにも頭悪そうな子供、という家族が「すがき家」かなんかでラーメンすすってる姿を見るにつけ、このゆるーくてぶさいくな家族こそが「日本の象徴」なのだとちょっと悲しい気分になったりする。

東京からI先輩が来滋賀。某大手企業との仕事の立ち上げっつーことでまたしても野洲駅前で飲む。一次会、二次会とこれまたいつものように。もともと「年に数回飲む」ぐらいだったのに「月に一回飲む」から「月に二、三回飲む」になり「週に一回飲む」ようなとこからここんとこ「週に二、三回飲む」ようになってきた。どうもいかんなぁと思いつつもさらに数日後は営業のUさんがT先輩とともに来滋賀。行くしかないんだろうな。で駅前で一次会から二次会と今夜も深夜2時までコース。T先輩や後輩のI君と馬鹿話したり所長に「男の生きかた」とは、なんつー話を頂戴したり、20歳のキョウカちゃんにどきどきしたり、18番「さらば恋人」を熱唱したりしながら夜がふけていくのだ。

日曜、娘は同じマンションに住む「ゆうちゃん」と遊んでて、相手してくれないので、ぶらっとタワーレコードまで一人。小坂忠「People」、大貫妙子山弦のシングル「あなたを思うと」購入。

久々に大阪の本社へ。なんだかんだと仕事して、久々に来たんだからとKマネージャーやH先輩と飲む。「なんこつの唐揚げ」食べながらいろいろと話。で気付いたら11時過ぎ。ここから最終電車にのって家に辿り着いたら深夜1時前。そして明日もまた仕事なのだ。

タワーレコードでダブルポイントのキャンペーンが始まったので早速寄り道。バッファロードーター「I」、そしてムーンライダーズの様々な仕事をコンパイルした「ムーンライダーズのイイ仕事~ビクター編」「同~徳間ジャパン編」購入。

ムーンライダーズのイイ仕事」PANTAからダンプ松本までというムーンライダーズの仕事を選ばず、全力を尽くすイイ仕事ぶりに感動。そしてそんなムーンライダーズの莫大な仕事を丁寧に掘り起こし、冷静ながらその裏にライダーズに対する深い愛情が見え隠れする詳細なる解説をつけた企画・監修・選曲の素晴らしいチームにリスペクト。多少のミスプリントも大目に見ちゃうってもんだ。第二回、第三回の発売分も楽しみ。しかしその前に第一回発売分のポニーキャニオン編が数件大型CD店探すがどこにも置いてなくて未だ入手できず。また探しにいかなくちゃ。

小坂忠「People」、バッファロードーター「I」良い。小坂忠は実に渋い大人のソウルアルバム。TinPanももちろんいい仕事してるが、このアルバムの成功は佐橋佳幸の力に依るところが大きいのではなんて思うがどうだろう。とバッファロードーターは車で聞いてて思わず「・・かっこいいぜ」と唸っちゃった。ギターがかっこいい、これがロックの基本だ。

日曜、祖父の13回忌っつーことで京都の実家へ。南無阿弥陀仏を唱えるといつも思い出すのが、高校時代古文の先生が「南無阿弥陀仏の意味を説明する時に言った「南無阿弥陀仏の南無は阿弥陀仏をたたえる、なんつーか掛け声みたいなものですね。つまり<ビバ!阿弥陀仏>という意味です」って話。その「ビバ!阿弥陀仏」っつーフレーズがなんだかおかしくて、お坊さんが「南無阿弥陀仏」と言う度に心の中で「ビバ!阿弥陀仏」と訳してしまう。で通り一遍のご供養が済み、みなで食事。中学の先生をしてるいとこ(僕の母の姉の息子)が甥っ子(僕の妻の姉の息子)の担任だという事実を知ってびっくり。当のいとこもびっくりしてた。「知ってるも何も、学級委員してもらってるんや」とのこと。いや、いや世間は狭いねぇ。

宇多田ヒカルの新曲「traveling」をラジオで聞いて、初めて宇多田ヒカルいいと思った。今までは若いのに、そつなくてうまいなぁぐらいにしか思ってなかったんだけど。その声質とサウンドからR&Bの歌姫(これって嫌な表現だよなぁ)みたいな扱いだけど、この人はポップソングの書き手として優秀だなぁと思う。自分のことを歌うシンガーソングライターというより、ストーリーテラーとしてのソングライター。うまく言えないけど、この曲を聴いて、宇多田ヒカルって実は種ともこなんかに近いんじゃないかと思ったよ。種ともこという音楽家を知ってる人どれだけいるかわからないけど、素晴らしい才能をもったソングライターで、どうしてこんなに過小評価されてるのか私には全く理解できない。CD見つけたら一度聞いてみてください。ほんとにこの人、いい曲書くんだよ。

休前日、またもタワーへ寄り道。ダブルポイントキャンペーンはまだやってるってんで真心ブラザーズのラストアルバム「夢の日々」、キリンジ「Fine」、竹村延和feat.アキツユコ「魔法のことば」購入。ついでに紀伊国屋手塚治虫「マコとルミとチイ」購入。

年に一度の矢野顕子さとがえるコンサートへ。例年のように妻と妻の友人Kさんと、今回はKさんの旦那さんもいっしょに。アンソニージャクソン、クリフアーモンドとの最強のトリオはやはり完璧だった。今回はいつもは弾き語りで歌われる「スーパーフォークソング」や「さよなら」なんて曲も3人による強力なバンドサウンドとなっていて、もうその演奏力の圧倒的な高さに打ちのめされた。矢野顕子というミュージシャンのパブリックイメージは「あったかい」「やさしい」というものがあると思うんだが、そんなもんじゃないよ。ロックの新しい地平を開拓するとんでもなく先鋭的なサウンドリエーターでありプレイヤーである。このステージの矢野顕子は例えばコーネリアスバッファロードーターが新しいアルバムでやっていること(やろうとしたこと)をもっと高次元で強力な演奏力でもって実現している。ニューロックの孤高の音楽家矢野顕子。若い人に今の矢野顕子をもっともっと聞いてもらいたい。

11月30日はこの「OFF!音楽と笑いの日々」3回目の誕生日。もはやライフワーク。というか日常を垂れ流してるだけみたいなとこもありますが・・。でもこのHPが僕という人間を最も表してくれていると思う。どれだけ続くかわかりませんが、やり続けることに意味があると信じてこれからもやっていこうとここに宣言します。