日々の泡。

popholic diary

「Demagogue」創刊記念 Live Demagogue #1の話。

ライター・吉原聖洋氏が放つ新雑誌「Demagogue(デマゴーグ)」がついに創刊。
そんなわけでその創刊記念ライブに行って来た。滋賀在住の私にとっては東京でのライブはかなりきついものがあるのだが、行かないわけにはいかない 。何しろ吉原氏と深いつながりにある凄いミュージシャンがぞくぞく登場するってんだから。
で12月3日、出張とうまく絡めて東京行きの電車賃をうかした私は、会場である渋谷オンエアイーストに向かった。で開場の30分ほど前に到着。日、間違えたかな?と思うぐらい人がいなくて一瞬焦る。が開場時間にはちゃんと人が集まってきた。若干、年齢層は高め。そうか、今日は平日。みんな仕事終わりで会場にってパターンだから集まり遅くなった訳か。納得。30分ばかりおしてやっと開場。オンエアイーストは思ったより広い。
で早速ライブはスタート。まず登場は新人・Over Rocket。コンピューターに向かって何やらこちょこちょしてる男性2人にきれいな顔で唄う女性が一人。「今時の音楽」という言い方はちょっと愛がないかな。かっこいい音だけどちょっとユーモア不足かなってのが感想。

で次にふらっと現れたのが青山陽一。本人も「ほとんど飛び入り状態」と言っていたが、そんな感じでエレキ一本で軽く2曲。癖のあるメロディーライン、艶のある歌声。
渋い。

で次に登場は松尾清憲。おもむろにピアノを弾いて唄いだしたのが、なんとあの超がつく名曲「愛しのロージー」。氏には特別思い入れ深いって訳でもないんだけど、この曲は何回聞いてもいい。ふとこの曲を最初に聞いた中学時代を思い出す。この曲のPVで林家三平みたいな髪型をして丸い眼鏡をかけた氏を見た時、「絵に描いたような『ポップ面』だなぁ、この人。」と思ったもんだ。こうして生で歌声聞くの初めてだけど声が凄く魅力的だ。「ピカデリーサーカス」のアルバム聴いて再認識したんだけど、この人の声には「ロックなフェロモン」が溢れてる。生唄聴いて確信した。で数曲唄ったところで早くも鈴木慶一登場。そう、かって松尾氏が在籍したバンド・シネマの唯一のアルバムをプロデュースしたのが慶一氏。で二人で唄うはそのシネマのデビュー曲で慶一氏作曲の「君のプリズナー」。いや、まさか99年にこの曲、ライブで聴くとは思わなかった。この時点で今日のライブは伝説になるなと思ったね。

で松尾氏退場で次のステージは鈴木慶一アコースティックギターで弾き語るは「Sweet Bitter Candy」。つかみはOKというところか。で何やら機材が運び込まれ慶一氏がギターをエレキに替える。ここからはsuzuki k1>>7.5ccだ。これが凄かった。この世とあの世を行ったり来たりするようなサウンドをバックに慶一氏の鬼気迫るパフォーマンスが炸裂。ヒステリックに雄叫びをあげるエレキギター、緻密だけれど野蛮な音楽。鈴木慶一の狂気に触れる一瞬。圧巻。まじで鳥肌たった。ダークサイド・オブ・鈴木慶一というかミュージシャン鈴木慶一のヤクザな一面を見せつけられたような気がした。で余韻を引きずりながら、ラストはピアノ弾き語りで「犬の帰宅」。とんでもないライブだよ、こりゃ。

で慶一御大に紹介され登場は森脇松平。アコギ弾き語りでざくっと。初めて聴いたが素直ないい曲。ストレートさが逆に新鮮って感じか。

で次はスペシャルシークレットゲスト。やはり、この人か、佐野元春の登場である。グルーヴァーズのリズム隊とKyon、そしてギターに伊藤銀次(!)をひきつれて、いきなり「コンプリケーションシェイクダウン」。パブロックヴァージョンって感じで一気に。待ってましたという訳で会場も一気にヒートアップ。いや、しかしこんな間近で佐野さん見れるなんて、やっぱ滋賀から出てきて良かった。銀次氏のギターもかっこいい!わずか3曲、疾風のように現れ疾風のように去っていったがまさにスペシャルなステージ。いかしたロックンロールを奏でるいかしたおっさん。

でお次はサエキけんぞう。ある意味今回のライブの目玉だった。軽妙な語りで「最近の若者は精子の数が減ってるらしいですよ・・・」とケーシー高峯風の軽い医学系下ネタに導かれてテクノサウンドが響く。精子の動きを模倣した振り付けで唄い踊る何とも言えんステージングは、さしずめ「お笑いスター誕生」なら「サエキけんぞう(テクノ漫談)」と紹介されるだろう。で次は駅員風の帽子をかぶりどこから入手したのか切符切りを手にゲンズブールドラムンベースなカヴァー。楽屋で作ったのであろう切符に見立てた紙切れをポケットから出しては散蒔く、これまた何とも言えんパフォーマンス。
しかし細身の身体に白いタートルネックとスーツ、四角い眼鏡に帽子。「テクノ横山やすし」と呼びたい。である意味「やっさん」より危ないステージは評価がくっきりわかれるとこだろうが、私は大好きだ。最高だよ、あんた。即、ソロアルバム作って欲しい。絶対、買う。しかし私の後ろで見てた人がふと漏らした「さっきの元春が台無しだよ・・」の言葉には笑った。

でトリに登場はPANTA。エレキスタイルで貫禄のステージ。実は氏の音楽に触れるのは初めてなのだが、さすが日本ロック史を生き抜いてきた男。その音と言葉にガツンとくらわされた。で鈴木慶一再登場でPANTAとともに「P.K.O」と名乗ってのステージ。しかしこの二人、年齢的には僕よりむしろ僕の両親に近いのだがここまでやるか。エレキを抱えシャウトするロッカー鈴木慶一もかっこいいなぁ。慶一氏は日本を代表する「ロックボーカリスト」であるというのは僕の説なのだが、改めて強くそう思った。で最後は「くれない埠頭」PANTAヴァージョン。渋すぎ。また鳥肌立っちゃったよ。

で吉原編集長の無言の呼び込みで全員がステージ上に登場。青山、松尾、サエキ、銀次に元春、慶一、PANTAがズラーっと並ぶ姿は壮観の一言(創刊だけに、とか言ったりして)。「編集長の強い要望で・・」とPANTAを中心に唄われたのはジョンレノン「Starting Over」。カンペを手にまるで知らない歌を唄うようにマイクに向かってはステージをきょろきょろする佐野氏。独特のユーモアに裏打ちされた細かい芸風がやたらおかしい。でも佐野、慶一両氏が同じステージに立ってる姿見れるなんて思いも寄らなかった。どちらも大ファンなだけにもう感動である。曲終わりで佐野氏とPANTA氏ががっちり握手してたのも印象的だった。で曲が終わり4時間近くに渡り行われたこのライブも終了。もうお腹いっぱいである。こんな素晴らしい夜を過ごせたことを神に感謝。素晴らしいライブだった。ほんとに。