日々の泡。

popholic diary

1999年4月上旬の話。

1999/4/1

今日から四月。朝の電車が急に混み出す。しかしもう3年も同じ時間、同じ電車に乗り続けてるが乗り合わせてるメンバーも大分変わった。よく席の取り合いをしてた山科から乗ってくる小太りの男、長岡京で降りる白髪のおやじ、吊革を持つ指が細くてきれいだったスレンダーな女の子。今はどこにいったのか。すれ違うだけの人、どこかで出会い言葉を交わす人、友人になる人、知り合いなだけで終わる人、何となく気になる人、胸を焦がす人、愛し合う人、などなど。一生の間、一体何人の人と出会うのだろうか?とりあえず今日も地球は回ってるのだ。
会社帰りに梅田の新星堂ムーンライダーズ「最後の晩餐」再発盤購入。もちろん91年に出たオリジナル盤は発売日に買ってる。それにBOXセットも買ってる。つまりは3枚目なのだが、CDエクストラ仕様でボーナストラックとして黒田秀樹氏制作「ガラスの虹」の幻のプロモビデオがついてるとなれば買うしかないでしょう。メディアリンクさん、やることにくいよ。

1999/4/2

相変わらず仕事。先輩にHPリニューアルの相談。進んでないわけじゃないが、時間がなさすぎる。時間がないなんてことは物を作る人間としては言ってはいけないことだけど本当にないのだ。仕事、2~3ヶ月休んでHP作り、雑文書きに専念したいのだがそうもいかない。当分、日記の更新ストップしてリニューアル作業に専念しようかな。
で今日はなんだか一日、ひどくブルー。時々、こういう日がある。会社のトイレにしゃがみため息つく。このままうんこといっしょに流れていきたいなんて気分。胸にはなぜかぽっかり穴があいててやたら虚無感が襲ってくる。帰りも真っ直ぐ帰る気がせず梅田を意味なくうろうろ。地下道に響く靴音、目の前をすぎる人達の群。僕がこんな気持ちでいることを誰かにわかって欲しい。ふとビートニクスの「ちょっとツラインダ」という唄のフレーズを思い出す。
「きのうムネにポッカリ/アナがあいて/ちょっとツラインダ/こんな時/昔の恋人に会えたら/うれしい気分になれるかな/こんな時/昔の友達に会えたら/たのしい気分になれるかな/今/ムネにポッカリ/アナがあいて/ちょっとツラインダ」
この胸に空いた穴を埋める物は何なのか?はたしてこの穴が埋まる日はくるのだろうか?雨上がりのつめたい風が胸の穴に吹き抜けていった。

1999/4/3

土曜、仕事。昼休み後輩達と食事。今度結婚する後輩にいかに自分の時間がなくなるかをとくとくと説明。だいたい今こうして日記書いてるの深夜2時半ですよ。女房、子供が寝静まってからしか日記すら書けないんだから。
でさっさと仕事終わらしタワーレコードで寄り道。ムーンライダーズAOR」再発盤、これも例のごとくオリジナル、BOX盤と合わせて3枚目。真心ブラザーズ桜井秀俊氏のソロ「INTERIOR」、クラムボンのマキシシングル「はなればなれ」購入。それにしても不況のあおりでついついCD買うのもセーブしてしまう。独身ならあと3枚は余裕で買ってる。
大津に帰り妻の実家まで。今日は親戚集まっての食事会。大人になればこういう親戚付き合いなんてのもしなくちゃいけないのだ。娘は姪達といっしょになっておおはしゃぎ。一番のチビッコだがとりあえずついてまわってる。無邪気に遊ぶ子供達は何故こうもハッピーな波動を感じさせるのか。娘の一挙手一投足が俺の心をやわらかくしていく。

1999/4/4

昨日寝たのは結局夜中4時。自分の時間捻出するには睡眠時間削るしかないのだ。
で8時過ぎ、娘に起こされるが眠い。午前中は娘の相手しつつ頭はボーとしてる。
いつものごとく買い物行き、昼食作る。娘が昼寝の間、ビデオ見る。先週、関西テレビでやったトゥナイト解散の特番。最後の漫才は良かったなぁ。ちょっと泣きそうになったよ。それにしても今年に入ってなんかトゥナイトのことばっかり日記に書いてるような気がする。続いてテレビでこれまたトゥナイトの特番。
しかし娘も起きたし天気もいいので途中で出かけることに。三井寺まで自転車で行く。
桜はまだ満開とはいかないが暖かくなってきたしゆっくり境内を歩くのも気持ちがいいもんだ。2時間ばかり三井寺界隈で過ごし帰宅。「母と子のテレビタイム」見ながら娘と遊ぶ。石川ひとみも最終回か。ニャンチューが泣いていた。
シチューの夕食食べ、娘と風呂。風呂でてから寝るまでずっと娘とくっついてる。普段、娘が起きる前に家出て、帰ってきてももう寝てるか、起きてても1時間ぐらいしかいっしょに遊べないので休日は一日娘と遊んで俺をアピールする。娘の中で俺の優先順位はいかほどなのか?気になるところではある。

1999/4/5

やたら眠い。春先はいつもこうだ。忙しそうなふりして一日適当に過ごす。それでなくても情緒不安定ぎみ、ストレスはためないように。
帰りの音楽、桜井秀俊「インテリア」。またまた当たり。ティンパンアレー系の心地よいサウンド。とりあえずメロディーが良い。基本中の基本だがこれが出来てない音楽のなんと多いことか。捨て曲なし。桜井氏にはぜひ布施明氏のプロデュースをして頂きたい。
で帰って明日からの出張準備して娘といっしょに寝る。

1999/4/6

例のごとく、5時おきで出張。群馬県中之条市からスタート。昼、得意先の社長に特上すし奢ってもらう。うれしい。仕事の話しつつ頭の中はすしのことしかなかった。で雨の中ちゃんと仕事して6時過ぎ終了。高崎のホテルまで車走らすが、土地勘ないうえに外は暗く雨。一体俺は今どこに?という状態でなんとか辿りつく。ホテル近くのとんかつ屋で夕食。今日は出張中には珍しく充実の食事。
ホテルでテレビ「さんま御殿」さんま師匠はいっこうに衰えない。おそるべし。引き続き「古畑任三郎」。三谷幸喜作品は細かいところまでキャスティングがちゃんとしてるからいい。今回で言えば栗田貫一とか。前にも書いたけどアリキリの石井氏の抜擢なんか見る目あるなぁと感心する。こういう全うなセンスのものが少なすぎるのが問題なのだが。例えば藤原紀香主演で型破りな女教師物とかってなんか安易に想像つくし、別に見なくてもだいたいわかるよっていう感じしない?でだらだらテレビ。爆笑問題もちゃんと自分達の位置に落ち着いちゃったなぁ。爆笑と浅草キッドでTHE MANZAI99なんてどうだろう。それぐらいのことしてくれないと笑えない。ネプチューンごときでは笑えないんだよ。はっきり言って。NHKで「高木ブーの今からはじめるウクレレ」高木氏の教え下手ぶりに注目。

1999/4/7

めざましテレビ速水けんたろうお兄さんゲスト。ついに解禁でこれから出まくるんだろうなぁ。それにしてもめざましテレビ、八木アナが抜けたときもショックだったが、4月から「えー知らないの」のコーナーなくなって湯原麻利絵ちゃんが見れなくなったのもきついなぁ。その上お天気の華ちゃんも抜けて一気にレベルダウンって感じ。軽部をやめさせりゃいいのに。
で群馬、埼玉まわり。「ビバリー~」またまたけんたろうお兄さん登場。サンケイグループたらい回しだな。「風俗とか行ってだんごが硬くなっちゃったとか言われませんか」「裏で子供ひっぱたいたりしませんか」「お母さんくどいたりしませんでした?」などむちゃな質問の数々におにいさん苦笑い。いやー、笑ったなぁ。
あゆみお姉さんもホリプロ入りしたようだしこれから出てくるんだろうなぁ。「夜もヒッパレ」とか出ちゃうのかな。新聞のテレビ欄に「宇多田ヒカルをあのだんごお姉さんが・・」なんてことになったらなんかいやだ。
仕事終え、中華レストラン、バーミヤンで食事。一人の夕食はつまんない。ホテル入ってテレビ。「バカ殿様」。研ナオコの顔の威力は凄まじいものがあるなぁ。続いてさんま師匠の特番。誰を相手にしても笑いを自分に振り込む笑いの巨人ぶりに脱帽。

1999/4/8

朝ゆっくりできたので「お母さんといっしょ」新キャラ、スプーは大丈夫か?新しいお姉さんちょっと期待外れだったなぁ。お兄さんもなんだか垢抜けねえなぁ、おい。
でそんなことより仕事。夜までサンドイッチ一つでなんとかこなす。今日の宿は飯能第一ホテル。出張3日目、さすがにテンション下がる。喜多方ラーメンの夕食もわびしい。
ホテルで今日もテレビ。「ものまね」横目に見るも仕込みらしきやたら盛り上がってる客が写されるたびになんかいやな気分になる。で今日もさんま師匠。「たけし、さんまの有名人が集まる店」。「笑い」に関してはもはや一線から退いているたけし氏であるが笑いの巨人さんまとの絡みはやはり最高。いまやたけしの「笑いの血」を騒がせることができるのはさんまだけなのだろう。それにしてもさすがビートたけし。僕が言うまでもないけど洞察力の鋭さ、深さは並じゃない。僕らが見てる部分ってのはビートたけし、いや北野武のほんの氷山の一角にすぎないのだなと感じる。ちょっとした一言が膨大な知識とすさまじいスピードで積み上げられた思考の上に成り立ってるのである。爆笑問題との絡みは見ててぞくぞくした。ビートたけし太田光の間に走る緊張感。わずか数分であったがこの瞬間を目撃できたことは大きい。

1999/4/9

最終日。そつなく仕事こなしさっさと終了。大宮で車返して新幹線で東京まで。少し時間あったので八重洲ブックセンター覗く。小林信彦「コラムは誘う」購入。大丸の地下でおにぎりとコロッケ買って新幹線に。結局、京都までの数時間で「コラムは誘う」読了。中学2年の時、氏の「日本の喜劇人」を読んで僕は笑いを論ずるということに興味をもったのだ。僕は笑いも好きだが、笑いについて書かれた文章ってのがやたら好きなのだ。でもちろん、このポップ中毒日記で笑いについていろいろ書いたりしてるのは氏の絶品コラムのまねごと(影響を感じさせないぐらいの低レベルであることは自覚してるが)なのだ。氏のビリーワイルダーの未公開映画について語ったかと思えば管野美穂の魅力までをも語るという守備範囲の広さにフットワークの軽さ、膨大な知識と抜群の記憶力そして徹底的に冷静な視線を持ちつつ、時として熱狂することを辞さないポップ中毒者ぶりはリスペクトあるのみ。
で大津帰って久々に娘と対面。風呂にいっしょに入り、寝かしつける。妻とさんま師匠のすごさについて語り合いつつ寝る。

1999/4/10

7時半起き。車検の予約してるのでちょっと早起き。妻と娘はまだ寝てるので一人、いり卵とご飯の朝食。冷やご飯をしょうゆたっぷりかけた炒り卵で食べるのが昔から大好き。ジャーがあるにもかかわらず前の晩、どんぶりによそってあえて冷やご飯にしたりしてたもんだ。
であいにくの雨だが車検のコバックまで車持ち込む。雨だと行動範囲が狭まる。代車で買い物。地域振興券持ってくが結局使わず。
後はマギー司郎ゲストの「いろもん」、妻がいつのまにか録画してた「ドリフ大爆笑」ビデオ見る。娘が昼寝してるうちに部屋の片づけ。溢れかえるCDに本や雑誌。もう収納の限界。どうしても物が捨てられないのだ。しかし子供が成長すれば俺はこの部屋から追い出される運命にある。かといって今後、部屋数の多い家を手に入れられる可能性はかなり低い。どうすればいいのだ。
で夕方、車取りに行く。一日車検はあっと言う間だがこのあっと言う間に10万近い金が飛ぶんだからたまらない。車なんて金かかるばっかりだが、ないと買い物すらできないからなぁ。
今日も娘と風呂入り、寝かしつけテレビで「らせん」。後半の展開が早急すぎたように感じるが限られた時間の中ではしかたないのかな。なんかよーわからんとは妻の弁。確かに。

1999/4/11

朝からチケット買いに娘とパルコまで。みうらじゅんいとうせいこうザ・スライドショーイン大阪。楽しみだ。
で娘と自転車で春の日差しの中、湖岸をうろうろして帰る。でごはん食べて、別にやることもないので結局また家族3人で湖岸を散歩。荒れ放題の庭をなんとか手入れしようとホームセンターで苗なんかを物色。春になるといつもそんなこと言ってるような気がする。夏にはやっぱり庭は荒れ放題になってるのだが。
そのままパルコでぶらぶら。地域振興券で娘のためにキティちゃんのお風呂用イスを買ってかえる。
帰ってテレビ。衛星で「お母さんといっしょ」「英語で遊ぼう」「いないいないばぁ」合同のコンサート見る。「いないいないばぁ」ってダリエこと濱田理恵が曲書いてんだなぁ。でもあゆみお姉さんやっぱちょっとフェロモン出てる。

1999/4/12

仕事。花粉症で目がやたら痒い。で目、掻いてる内に仕事終了。
帰りの音楽、ムーンライダーズAOR」。ネット上では「AORを認めるか、否か」という議論が盛り上がってる。発売当初、ちょっと薄味だなぁって感じでお気に入りにはならなかったアルバムなのだけど、最近これはライダーズにとって一つのターニングポイントであるアルバムなんだというふうに思いだした。このアルバム以降、ライダーズはもうなんでも有り状態、つまりはもうなにやってもライダーズという風になったのではないか。とりあえず「ダイナマイトとクールガイ」はライダーズ屈指の名曲。ノイジーなハーモニカの音にはいつもしびれる。
で帰ってテレビ。「ロマンス」見る。高校生の頃、つかこうへいの小説が大好きだった。傷つけられる側、傷つける側両方の痛みがこれでもかと描かれ、いやな方向、いやな方向に転がっていくストーリーの海に溺れるのがたまらなく癖になってしまうのである。でそんな中、一番泣いたのが「青春~父さんの恋物語」という本。つか作品には二人の水泳選手の男同士の純愛を描いた話が数バージョンあるのだけど「ロマンス」同様これもそのうちの一つ。これはもう痛いのなんの。高校2年の時だったか通学の阪急電車の中でラストシーンのあたり読んでて思わずボロボロと泣いてしまった記憶がある。そんな訳で一応チェック。後、清水ミチコ松村邦洋ビバリーの二人が出てるのもチェックポイントか。しかし宮沢りえ、久々に見たけど確かにきれいだが昔の輝きはなくなったなぁ。「とんねるずのみなさんのおかげです」に出てた頃なんて、ほんと怖い物なしって感じだった。「サンタフェ」がピークだったかなぁ。でも「サンタフェ」ってものすごい衝撃だったけど実はほとんどの男は「・・・思ったより勃たなかったなぁ」ってのが正直な感想なんじゃないのか。隠されてるがゆえに沸き立つ妄想こそが男を奮い立たせるってのはあるでしょう。「サンタフェ」以前に彼女が例のふんどし写真とかで振りまいてたフェロモンから世の男達は多大な妄想を描いていた。最終的に脱ぐはずがないという前提であったからこその妄想。それがいきなり、あなたスッポンポンでっせ。しかし残念ながら私も雑誌なんかで数枚写真見たけど、そのボディーは妄想には及ばなかったのだ。若くて魅力的なアイドルが脱いだからとてそれが即、男達を猿状態にさせるエロに成り得るかといえば決してそうではないのである。男ってエロに関しては多分に繊細なものなのさ。って誰に言ってるのか、俺は。

1999/4/13

今日は鼻水が止まらない。昼休み、ちょっと外出ただけでぐじゅぐじゅ。たまらん。
帰りに今度結婚する後輩に再度、結婚の大変さを説く。今回は「いかに嫁はんは怖いか」をテーマに地下鉄の数分間びびらせる。
で梅田の本屋で前から買おうと思ってた松野大介「芸人失格」が文庫になってたので購入。合わせて三谷幸喜「俺はその夜多くのことを学んだ」も。
帰りの音楽、高野寛「Rain or Shine」。この人のことはテントレーベルのオーデションに合格したときからずっと見てきてるがこれほど成長度の高い人はいない。YMOチルドレンは数多くいるがこの人ほど様々のものを吸収しそれを咀嚼し自らの音楽性を高めてきた人はいない。ギタリストであるからだろうか、決して頭でっかちなものではなく肉体を持って表現されているのも魅力だ。5月に出る予定の新譜が楽しみ。
帰って「古畑任三郎」。モロ諸岡、梅野泰靖など三谷組の役者さん達で安心して見れる。特にモロ諸岡氏は昔、NHKの演芸番組で一人コント見て以来ファンなので北野武監督「キッズリターン」以降、役者として注目されはじめたのは単純に嬉しい。願わくは関西でもコントの公演、もしくはビデオだしてもらいたい。

1999/4/14

働けど、働けど売り上げは伸びず。まったく、それでなくてもやる気ないのにこんな状態じゃどうしようもないな。
帰りの音楽、中谷美紀「植物連鎖」。世界のサカモト、いい仕事してますねぇ。

1999/4/15

しかし野村沙知代浅香光代の喧嘩っていつまでやってんだ。新聞のテレビ覧見てるだけでもやたらいろんな人が参戦してる。世の中にこれぐらいどうでもいいことってのがあるだろうか。そのうちハンセンとかブッチャーとか参戦するんじゃないだろうな。新春ダイナマイトシリーズじゃないんだから。
で今日も仕事。売り上げどん詰まりで課内もなんかなげやりな雰囲気。こうして日記上ではやる気なしとか色々書いてるが実は結構、気を遣いつつ真面目に働いてるので胃が痛い。来週の健康診断が心配だ。
帰りの音楽ピカデリーサーカス。今、僕が求めてるのはまさにこういう音、こういう世界観。なんだかかっこいいばっかりのR&Bな音にはもううんざり。音楽のマジックを感じたいのだ。