日々の泡。

popholic diary

Buffalo

昨日の政風会の余韻も覚めやらずというか覚ましたくない。そんな雨の一日。ではまず9日の「月世界ナオエ」から行きましょうか。
三宮まで出るのは久しぶりだな。ルミナリエと重なって街は大賑わい。いかがわしい歓楽街を抜け、昭和の匂いがする通りに面した、一際目立つ看板のビルにたどり着く。今日の会場は「月世界」。直枝さんのソロライブ会場としては出来すぎだな。果たして客は集まるのか?なんて心配は無駄だったようだ。開場を前に既に長い列が出来てる。「関西でも(ソロライブ)やってくれよぉおい」とは長らく西日本各地の直枝ファンの合言葉だったわけだが、ついに来たんだねこの日が。皆がみな、餌を目の前にした野良犬みたいな目してる。そして開場。月世界は元々キャバレーだった場所。ゴージャスなシャンデリアの下に半円形のステージ。それを取り囲むようにソファが並んでいる。フカフカのソファに腰をおろす。異空間。実にいい感じ。いや、このソファなら何時間でも観てられるな。拾得のイスとは大違い(いや、あれはあれで嫌いじゃないけど)。まずはナオエ君グッズを買いこんで、アルコール飲んで直枝さんの登場を待つ。
客電がすっと消え、最初の一音がなる瞬間が好きだ。ジェットコースターが今まさに滑り落ちようとする瞬間みたいな気持ち。一曲目は「幻想列車」。あぁ、これしかないと思ってた。前日8日の日記のタイトルに僕は「幻想列車」とつけた。長い音楽の旅。直枝さんと行く月世界旅行。まずは幻想列車に飛び乗るのが正解。
少し懐かしい曲、新しい曲、バンドの曲、ソロの曲、政風会の曲…(ま、セットリストは他で見てくださいね)。直枝さんの曲は、僕にとって人生のサウンドトラックだからな。耳から入ってきた一曲、一曲が頭ん中、指の先、胸の奥、いろんなとこを揺さぶって日々の泡を浮かび上がらせる。激しくかき鳴らされるギター、甘く優しく響くギター、繊細に宇宙を紡ぐギター…一本のギターが様々な表情を見せ月世界を包む。そして何もかもをさらけ出すような唄。なんだよ。たまんねーな。回るミラーボールの下で歌われた「ハリウッド・スキャンダル」(郷ひろみのカヴァー)ですら、たまらなく色っぽくてなんだか切ない直枝節だ。僕の/何か一つを/信じてほしい…「The End of Summer」で一部終了。
いやいや既にお腹一杯ですよ。でもまだ入るぜ。
2部のスタートはピアノ(!)で。少したどたどしいピアノが逆にグッとくる「Sweet Baby」。くぅ胸に去来する俺のSweet Babyたち…なんつって。これ、モテる奴には絶対書けないラヴソングだと思う。そして続く「ホリディ」(!)。これには驚いたな。苛立ちと憂鬱とボンクラに塗りつぶされた夏の記憶。笑えて泣ける直枝「政太郎」が書いた名曲だ。そしてまたギターを手に。ここから先はもう好きな曲、なんて簡単に片付けられない曲が続く。ファーストからずっとリアルタイムで聴いてんだ。くそ憂鬱な部屋の隅で、孤独に押しつぶされそうな夜の地下道で、笑っちゃうぐらい切ない月の下で…。客観的になんかなれる訳ない。だから今もずっと聴き続けてる。「宇宙の柳、たましいの下着」。それがこれ。本編ラスト「Angel」。最高の一曲。CDでもライブでも何回も聴いたけど、今夜の演奏は格別。ロック史上に残る名演。これ以上ないほどに剥き出し。俺、多分死ぬ時この演奏を思い出す。
アンコール、ラストは「Buffalo」。そうだな、まだ旅は終わんねーな。月世界から帰ってきた先にもずっと続いてやがる。幻想列車から降りてもBuffaloみたいに歩くしかないね。今までよりずっと辛い道のりだとしても。でもなんか大丈夫だって思ってる。
ほら、やっぱり全然ライブレポになってない。結局自分のことしか書いてないや。でもこれが僕の聴き方なんだな。でこうして恥ずかしい言葉でさらけ出す。自分が出来る唯一の方法だから。音楽に感謝してる。本気で。
で明日は政風会編です。これまた凄かったんだから!