日々の泡。

popholic diary

2025年4月5日~11日の話。

2025/4/5

8時起床。トーストと目玉焼きの朝食。朝からユナイテッドシネマまで。坂元裕二脚本。土井裕泰監督「片思い世界」観に行く。舞台挨拶中継付きの回。昨日のうちにチケットはとっていたが、観客は10人ほど。急ぐ必要もなかったかな。

古い一軒家に暮らす美咲、優花、さくらの3人。寄り添いあい、仲良く暮らす彼女たちにはある秘密があった。と、ここから先は書けない。ということで以下多少のネタバレあり。

映画の開始からある違和感は比較的早い段階で種明かしされる。同じく坂元裕二脚本の「1ST KISS」と同じく荒唐無稽なファンタジー設定ながら、映画は日常を描く。彼女たち3人が生きるのはまさに「片思い世界」。決して両想いになれない、通じ合えない世界だ。その世界の中で彼女たちはありふれた日常を暮らす。泣いたり笑ったりの日々を暮らし歳を重ねていく。そしてもう一方の世界。“彼女たちがいない”世界では残酷な現実に打ちのめされ、立ち止まっている人たちがいる。モノクロの世界に取り残され、死んだように生きている。決して重ならない彼女たちが過ごす日常と残された者たちの日常。決して交わらない世界。残された者たちもまた「片思い世界」に生きているのだ。決して両思いにならない、二つの片思い。だがその片思いが平行線だとしても隣り合わせにあって、その思いを感じられるとすれば、絶望の先の希望へと一歩踏み出せるんじゃないか。それでも人生は続く。その続いていく人生を生きるための物語だと思った。

映画の中にストリートミュージシャンの役で登場するのはムーンライダーズ。思えば彼らの音楽にはどこかあの世とこの世とを行ったり来たりするような感覚がある。物語に関わるわけではないけど、何かの象徴的に登場するバンド。彼らはむしろ3人が暮らす世界に存在してるのではないか。

3人を演じるには広瀬すず杉咲花、そして清原果耶。今を時めく人気実力ともに主演級の3人が揃い踏み。しっかりと受けの演技を見せる広瀬すず、そのルックスからいつもはしっかりものだったり思慮深い役が多い清原果耶は末っ子の奔放さを活き活きと演じている。で頭一つ飛び出てるのが杉咲花。ある種、物語の肝となる部分を圧倒的な演技力で見せ作品を一段上のステージへと持ち上げる。いやー杉咲花に涙のカツアゲされたなー。

ふと妄想したのはこの脚本で大林宣彦が撮ってたらなんてこと。思えば大林宣彦はSFな設定で生と死、片思いの世界を描いてきた作家だった。時にトリッキーにはみ出していく「A MOVE」として尾道で撮られた「片思い世界」観てみたいな。なんて妄想。

映画の上映に続いて舞台挨拶の生中継。なんとも凄い時代になったものだ。広瀬すずはさすがにスターのオーラ。堂々のセンターという感じ。じっくり考え遠慮気味に話す杉咲花、終始にこやかにお客さんに手を振る清原果耶と役の雰囲気がやっぱりそれぞれにある。

帰宅。昼は冷凍のハンバーグがあったのでレタスとチーズと一緒に食パンで挟んでハンバーガーに。思った通りの味。

TVerでドラマ「対岸の家事」を観る。専業主婦の詩穂が主人公。子育てを通じて見えてくるのは地獄の社会構造だ。彼女の隣人、仕事をしながら二人の子供を育てる礼子が追い詰められていく姿に胸を痛める。子供を産み、育てる。口先では推奨しながら、現実ではそれを行うものをギリギリと地獄まで追い詰めていく。そして自分もまたその地獄の社会構造を生み出す一つの要素なのだ。自分は子育てを終え、次は子供が子育てをする世代だ。自分もそれなりに子育てしたつもりだったが、妻の負担を考えればちっぽけなものだった。仕事ばかりで深夜の帰宅も多く、キャリアを捨て子育てしてくれた妻が居なければ成り立たなかった。もう遅いかもしれないがその責任をちゃんと取らなければならない。

NETFLIXで映画を一本。見損ねていた松本壮史監督「サマーフィルムにのって」を観る。映画部に所属する時代劇マニアのハダシ。映画部ではキラキラ恋愛映画に押され時代劇を撮りたいという思いがくすぶっている。思い描く時代劇の主人公にピッタリの凛太郎と出会ったことで、寄せ集めのメンバーとともに時代劇作りに奔走する。いやーこれは大層面白かった!少し不思議なSF要素があり青春ものでありダメなメンバー達が奮闘するがんばれベアーズ形式。でもなりよりフレッシュで画面をはみ出していくような勢いが眩しく楽しい。ハダシを演じる伊藤万理華が素晴らしい。猫背でがに股、仏頂面のヒロインらしからぬキャラクター。漫画のコマからコマへジャンプしていくような活き活きとした表情や動きが本当に素晴らしくて見事なコメディエンヌぶりに感服。ラストの殺陣の切れの良さも最高。彼女の親友ビート版役の河合優実の動きもまた良い。つくづく彼女の身体能力は素晴らしい。身体の動きでキャラクターを表現する力が飛びぬけている。まさに映画が好きになる映画。楽しくって最高だったな。

夜は賞味期限切れのトマト缶があったのでスパイスカレーを。不味くはないが、特別美味くもない。

夜はNHKのドラマ「地震のあとで」観る。村上春樹原作。1話は信頼と実績の岡田将生主演。震災の後、妻が失踪する。残された夫はその理由がわからないまま、後輩に依頼された「届け物」をするため北海道へ。なんとも不思議で変な物語。主人公が働くオーディオ店の客が細馬宏通先生だったのは驚いた。北海道で出会う謎の女を演じた唐田えりかが良かった。現実味の無い存在感が彼女にあっていた。

2025/4/6

8時起床。昨日のうちに準備しておいたサラダチキンでホットサンドの朝食。妻と買い物。何もかもが高くなったなー。いつも行ってる某スーパーではなかなか手が出ず、結局少し遠い激安スーパーへ。

昼は昨日使いきれなかったトマト缶を使ってミートソースのスパゲティ。

NETFLIXでドラマ「アドレセンス」3、4話を。容疑者である13歳の少年ジェイミーと彼の裁判に必要な報告書を作成すべく心理療法士のブリオニーが対面する。二人の息詰まる攻防を1時間ノンストップの長回しで。それにしてもジェイミーを演じる子役、凄まじい演技力。子供でもなく大人でもない、そのどちらもの悪いところが小さな体の中で渦巻きバランスを崩しては爆発する。その揺れては寄せる感情の起伏をノンストップで演じ切る。凄い!

最終話はジェイミーの家族の一日。誕生日を迎えた父、祝おうとする妻と娘。だが心無い嫌がらせを受け1日が壊れていく。ワンカメの長回しで家の中、車の中、ホームセンターへ行ってまた家に帰ってくるまでを追い、その中で家族それぞれの揺れる心情、絆を描く。矯正施設にいる息子からの電話。罪を認め罰を受けようとする息子。それを受けての父の表情。くーっ皆どえらい演技力。

2025/4/7

録画してた藤子F不二雄短編ドラマ「換身」を観る。のんの演技はやっぱり面白いなー。どこかアセクシャルな感じがあって、性別を越えて人間そのものの面白さがある。

TVerで「ボクらの時代」。「片思い世界」の3人。ついついチェックしてしまった。若いながらも10代から活躍し3人とも朝ドラ主演経験者でキャリア十分。ふと漏れる3人の演技論。この前、春日太一の役者インタビュー本を読んだとこなので俄然興味ある。(役が)掴めないままに終わってしまったことがある。などという話はなかなか聞けない。若手実力派俳優たちの現在進行形の「演技論」を読んでみたい。

2025/4/8

爆笑問題が出た「おしゃべり007」をTVerで。なんだかんだで一番好きな漫才コンビ爆笑問題。もう十分ベテランでネタなんかしなくても構わない位置に居ながら、ネタを作り続け、しっかりネタ合わせし、練習してはいつまでたっても上手くならないとラジオで反省する。権威を振りかざし女性を食い物にすることなんかなく、部屋にこもり、本を読み、地方のラジオを聴き、ドラマをチェックする、そんな太田さんはやっぱり信用できる。田中さんのナチュラルな狂人ぶりも最高。あとサプライズ登場の「鮫島くん」懐かしい!

2025/4/9

BS朝ドラ再放送「チョッちゃん」を楽しく観ている。学校の先生役で中原理恵。人様のルックスについておっさんが言及すべきではないと思うのだが、すいません、一言だけ。美しい!

NHK+でドラマ「しあわせは食べて寝て待て」2話。薬膳を描くドラマだが、ドラマそのものが薬膳のよう。観ている間、少し時間がゆっくりと流れるよう。いいね。

2025/4/10

ドラマ「対岸の家事」2話もまたなかなかにシビア。男もまた地獄の社会構造の中にいる。

2025/4/11

仕事で大阪へ。上司とともに某所にて超がつく大物と面談。住む世界が違い過ぎて笑ってしまう。どっと疲れて滋賀へ。せせこましく仕事。俺にはこっちがお似合いだ。

NHK+で「カムカムエブリバディ」今週分をまとめ観る。今一番心安らぐ時間かもしれない。物語も佳境に入ってきて過去のわだかまりやこんがらがった想いがゆっくりとほどけていく。観ていて温かな気持ちになる。

金曜の夜ぐらいは夜更かししてゆっくり過ごしたいが、あいにく明日はイベント仕事。早起きしなきゃならないので早々に寝る。

しかし今週の日記もかなり薄味。猫のチャ坊の写真でも貼っておこう。