日々の泡。

popholic diary

溜め息の橋

山田太一ドラマ「ありふれた奇跡」、観てるうちになんかおもしろくなってきたな。山田節全開の会話から生まれるグルーヴが癖になる。
で今日は金曜だ。営業車走らせ外回り。多少の成果もあって、遅めの昼食はコメダ珈琲で。前から食べたかったミニカツサンド。ミニといっても十分なボリューム。キャベツの千切りに揚げたてカツ、中濃ソースにマヨネーズ。美味い!かぶりついては、指についたソースを舐めとる。ささやかな幸せ。それにしても昼下がりのコメダ珈琲、“持て余し気味”の奥さん達でいっぱいだ。タバコの煙の間から下品な笑い声が響く。21世紀のある日の午後。
そんな訳で昨日の続き。黒沢清監督「トウキョウソナタ」観た。
トウキョウに暮らす4人家族。父はリストラにあい求職中。だがそのことを家族に言えないでいる。母は今日も疲れた顔で“母”をこなしている。長男はアメリカ軍に入隊、次男はこっそりピアノ教室に通う。小さな綻びはやがて家族を飲みこんでいく。誰もが行き場を失い、闇の中で叫び声を上げる。時にアイロニカルに、時にユーモラスに映し出されるありふれた家族の悲喜劇ファンタジー。観てる間中、いろんな感情がわさわさ揺れていた。うーむ、さすが世界のクロサワ。物語と演出、画、それぞれが呼応しあってジワジワと観客を飲みこんでいく手腕はお見事。バラバラになった家族。それぞれがドン詰まりの行き止まりの果てで、戻ってきた先はやっぱり家族だったという皮肉。だがそれが救いでもある。窓から差し込む光。Life goes on。強さなんてものじゃない。その弱さ、脆さがあるから生きていくのだ。かなりグッときたな。しかし、もがけばもがくほど落ちていく父の情けなく滑稽な姿は、いつ失業してもおかしくない中年男としてはある種リアルなホラーであり、こっちまで冷汗が出てくるよう。また香川照之が巧いんだ。去年観てたら間違いなく主演男優賞だったな。もちろん小泉今日子も素晴らしかった。疲れた主婦役がここまではまるとは。名女優っすね。あと井川遥がいい。なんだろう、彼女のこの1年ぐらいの美人度の上がりっぷり。はっきり言って「癒し系」とか言われてた頃は、まるっきりなーんも思わんかったが、ここにきてCMとかに出てきても見とれちゃうもんな。俺コンランキング赤丸急上昇っすよ。