日々の泡。

popholic diary

やわらかくて きもちいい風

日本映画には2種類の映画がある。「光石研」が出てる映画と出てない映画。書き忘れてたけど、映画「20世紀少年」は光石研が出てる映画だから。
それで今日も映画一本。滋賀会館シネマホールでタナダユキ監督「百万円と苦虫女」観る。
もうね、タイトルを「蒼井優」にしちゃっていいと思う。2時間スクリーンでひたすら「蒼井優」ちゃんを見続けられる幸せ。アルバイト生活を送る鈴子はとある事件をきっかけに家を出ることに。見知らぬ街で働いて百万円貯めては、また別の街に移り住む。そんな鈴子の運命やいかに!?ってなことなんだけど、淀みない語り口、そして蒼井優ちゃんの圧倒的な存在感と天才的な演技で魅せるんだ、これが。現時点での蒼井優、最高傑作でしょ。で観てて思ったのは、女性にはかなわんなーということ。なんでもかんでも男だから、女だからで分けられるもんじゃないとも思うが、確かにこの映画には女性の感性というか強さとか決断力とかがあるんだ。例えばラストシーン。えぇっ!こっちに賽を振るんだ。振っちゃうんだ!-と驚愕した。これは絶対、男にはできないと思う。俺ならラストのセリフ直前で終わらせて、クレジットに入っちゃうだろうな(映画観てないとわからない話してますが、気になる人は観てね)。そこが男の甘さというか。でもよくよく考えると、やっぱりこのラストで正解なんだよ。あのセリフがあって、あの蒼井優ちゃんがあって大正解なんだね。あれでグッと心に残る映画になるんだもの。恐るべしタナダユキ監督。で話は蒼井優ちゃんに戻るが、文句のつけようがない。だいたい演技が巧いなんてのは、一歩間違えたら鼻についちゃうもんなんだけど、その鼻につく感を微塵も感じさせない。もはや超・演技なのか。森山未来演じる恋人と初めてキスを交わすシーンの、キス後数秒の表情。横顔だけの数秒のシーン、そのちょっとした目の動きや頬の筋肉の緩みだとかで、見事に主人公である鈴子の心が和らぐ瞬間をスクリーンに投影するんだもんな。ゾワーっと鳥肌たった。タナダユキ-蒼井優、このコンビでガンガン映画作って欲しい。ちょっと「参りました」って気持ちになったな。
でこれ観た女子の方、7割は森山未来君に惚れるだろうな。であと3割はピエール瀧に惚れるはず。しかし何気にピエール瀧、日本映画に欠かせない個性派俳優になってんのな。邦画に於けるピエール瀧率グングン上がってるもん。あっ、それから、これは「光石研」が出てない映画ね。女・光石研と勝手に呼んでる安藤玉恵さんは出てるけど。