日々の泡。

popholic diary

ゴッホの糸杉

さて、まずは昨日の日記。
朝、新聞広げて広川太一郎さん死去の報に驚く。ちょうど数日前会社で「空飛ぶモンティパイソン」の話してたとこだったので。広川太一郎さんと言えば僕らの世代(70年前後生まれ)はやはり「Mr.Boo」。広川太一郎&ツービートが吹き替えしたゴールデン洋画劇場版の「Mr.Boo」の衝撃。早口でダジャレ連発のでたらめ極まりない最高な吹き替え。当時、小学生だったが広川太一郎って名前はしっかりインプットされた。ご冥福をお祈りします。合掌しちゃったりなんかして、このー。
で午後から電車乗って京都の実家へ。一周忌は先月済ませてるけど、今日は父の命日。お墓に行って手を合わせる。もう一年か。僕は相変わらずだけど。父と最後に食べたロールケーキを皆で食べる。甘すぎないクリームがたっぷり入ってて、ケーキはしっとりやわらか。美味しい。このケーキ食べる度に父のことを思い出すんだろうな。
で夕方、阪急電車で烏丸まで出て、地下鉄に乗り換え二条城前。ライブだ、ライブ。「METROTRON RECORDS tidings of spring tour」@拾得。出演は西村哲也さん率いるCLOCKWORK PORK PIE HATSそしてMio Fouだ!一年ほど前、西村さんに「Mio Fou呼んでくださいよ!」と無理なお願いをしたときは、実現してほしいと思いつつ、やっぱりどこか夢のような話だった。が今日ここにそれが実現!もう西村さんには足向けて寝れません。いや、ほんと。
でまずはCLOCKWORK PORK PIE HATS。赤白のボーダーシャツに帽子、メガネの西村さん。「ウォーリーを探せ」みたいっすねとけいすけ君。ロック界のウォーリー。なかなか見つからないんだよ、なんて。全国の音楽ファンには早く見つけて欲しいもんだ。でCLOCKWORK PORK PIE HATS、もうライブの度に進化してて嬉しくなる。大前さんのキーボード、中島さんのべース、五十川さんのドラム、各メンバーの音がどんどん主張し始めてる。闇雲に主張してるわけではない。なんつってもテクニシャン揃いのバンド、出るとこ抑えるとこのバランスがいいし、なによりも曲を生かす主張の仕方なのだ。西村さんの曲ではあるんだが、もはやCLOCKWORK PORK PIE HATSというバンドの曲として成長してる。そこに感動したな。特に「幸せな人生」からのハードロッキンな展開は最高だった。楽曲がCLOCKWORK PORK PIE HATSの音で怪物化してる。まだまだ追いかけたいバンド。今日初めて聴く人もファンになったんじゃないだろうか。次回のライブも来てね!と西村会からのお願い。
でいよいよMio Fou。ピアノの前に美尾さん、ステージ中央に博文さん。たった二人で音が奏でられる。独特の緊張感が生まれる。キャンバスに絵具を叩きつけるように音が重なっていく。
Mio Fouのアルバムを最初に聴いたのは88年。徳間WAXでCD化された時。オリジナルが発表された84年はまだMio Fouは知らなかった。美尾さんが在籍したリアルフィッシュのファーストが出たのが84年の12月で、それが僕のポップ中毒の始まりだから。美尾洋乃さんは、告白してしまうと当時僕のアイドルだった。美尾さんの声は凄くキュートで大好きだった。リアルフィッシュやShi-Shonenでのコーラス。ほんと好きだったなぁ。Shi-Shonenの「5回目のキス」のコーラスなんて最高で、今でも聞くと幸せな気持ちになる。もちろんヴァイオリンも。80年代半ばから後半、聴いてたレコードのストリングスはほとんどが美尾さん(と武川さんと渡辺等さん)のものだった。そして博文さんについては言うまでもないでしょう。だって僕は高校生の時、「鈴木博文」になりたいって思ってた奴だぜ。
その二人が、今、目の前にいる。大好きな拾得のステージに。博文さんはアコースティックギターエレキベース、美尾さんはピアノにヴァイオリン。それぞれのヴォーカル曲にインスト。ファーストアルバムの曲とそれから23年後に出たセカンドアルバムからの曲。どれもがどこにもない誰にも似てない曲。さっき「キャンバスに絵具を叩きつけるような」と書いたが、まるで絵画の中に入ってしまったかのよう。ロック印象派。リアルが幻想の中に溶けていく。二人の音は優しく支えあってるなんてもんじゃない。緊張感を保ち、時に挑発しあい、時に驚くほど美しく混ざり合う。息をするのを忘れてしまうぐらい、音が迫ってくる。本編ラスト「PIERROT LE FOU」。美尾さんのヴァイオリンと博文さんの歌。隙間だらけの音のはずなのに、これ以上足すものはない。湾岸の風をまとったMio Fouの音楽。20年目にしてその本物に触れる。
そしてアンコールは西村さんが参加。西村さんの「悲しみのキトュン」が見事にMio Fouの世界にはまる。これは絶品だった。
いや、またまたいいライブ。それにしても拾得の階段から博文さんが降りてきた瞬間はめちゃ感激したなぁ。
で今日の日記は、特にないです…。