日々の泡。

popholic diary

幸せな人生

金曜。夏から疲れ引きずったまま気持ちのモヤモヤがどうにも晴れない。で今日は午後から会社サボる。ま、2年前の代休、それも一日分を半休で消化してんだから文句もねーだろう。
空にはうすぼんやりした雲。時間が止まったかのような団地を横目に緩やかな坂を登る。ベランダに干し柿。電線に張った蜘蛛の巣。誰かが捨てたタバコの吸殻から弱々しい煙が昇ってる。JRと地下鉄を乗り継ぎ京都にとりあえず出る。急にラーメンが食べたくなったので、昼はラーメン。ま、休んだところで別にどこかに行くあてがあるわけでもない。あ、また映画館に来てる。
松尾スズキ監督「クワイエットルームにようこそ」観る。今週4本目、尻上がりにいい作品と出会う。これは、また実に素晴らしい作品だった。頭からお尻までずっと揺さぶられた。ど真ん中にグッときた。なんて志の高い映画なんだ。ヘビーでビターな物語を悲喜劇のエンタティメントとして昇華。松尾スズキの作家としての業。いや、もはや人間としての業か。内田有紀演じる明日香の再生のドラマを主軸に、“狂った”人々の群像劇が、しっかり松尾スズキの文体で描かれる。登場人物達と自分自身が重なっていく瞬間、感情が揺れるのが分かる。もがき、苦しみ、時に目をそらす。こんなところまで、描いちゃうんだな。とってつけただけの感動作とは志が違う。触れて欲しくないようなヘビーなとこを描きながら、でもなんでこんなに優しいんだ。こんなに優しい映画は観たこと無いってぐらいに。主演の内田有紀、初の代表作だな。そして役者・宮藤官九郎がまた素晴らしい。ラストの名演は正直感動した。そして、なんと言っても圧巻は蒼井優。最も複雑な役をものの見事に演じ切ってる。いや、もう演じてるとも感じられない。天才の凄みを見せつけられた。
で映画館出て久々に新京極通りなんぞを歩いてみる。高校生に戻ったような気分で歩きながら、ハッとする。ここ歩いてる中で今、俺、最年長なんじゃないかと。修学旅行の高校生やデート中の大学生、派手目な女にチャラけた男。夕方の繁華街をスーツ姿でのそのそ歩く中年男が俺。…とりあえず目をそらしておこう。で行きたかったBALのジュンク堂を一通り覗いて、六曜社でコーヒー飲んで、河原町通りを三条から御池を抜け丸太町まで。ここまで来ると喧騒はなくなり落ち着いた京都が顔を出す。髪を後ろで束ねた女性が自転車で通り過ぎてく。丸太町通りを東大路に向かってのんびり歩く。
でライブ。西村哲也@エルラティーノ。とここまでで随分長くなったので、続きは明日へ。