日々の泡。

popholic diary

スィート・ビター・キャンディー

さて香港話、今日はお休み。で今日はというと昼から仕事サボッて大阪まで。三谷幸喜作「コンフィダント・絆」観る。
舞台は19世紀末のパリ。ゴッホゴーギャン、スーラ、そしてシュフネッケル。4人の画家が過ごした時間が切り取られている。大爆笑巨編でも大感動作でもない。が、ただ「いい」作品だった。喜劇でも悲劇でもない、そうこれは「人間ドラマ」。ちょっとほろ苦い人間ドラマ。「笑い」が手段でも目的でもなく、もっと物語の中で血肉化してる。泣きながら笑うような、混沌とした感情。実際、何度も泣きながら笑わされた。伏線に次ぐ伏線、ドキドキハラハラする展開、そしてそれが見事に完結していく爽快感-三谷幸喜作品の印象だが、今作は違う。でもとても三谷幸喜らしい作品とも思う。脚本、演出、その語り口の巧さ、テクニックは十分あった上で、さらにその先で感情を揺さぶる普遍的な物語がそこにある。こんな感想も実際は後付けで、休憩挟んで2時間40分の間、僕はずっとその物語の中に居た。彼らの言葉の一つ一つに笑わされ感情が揺れていくのがわかった。帰りの電車の中でも、いろいろ考えちゃったな。愛情と憎しみ、本当と嘘、光と影、混沌と混ざり合う様々な感情、それはどこからやってきてどこに行くのか。なんつってね。でもこのビタースィートな感じに僕はやたら弱いのだ。で特筆しときたいのは紅一点、堀内敬子さんの歌。彼女の歌の説得力に自然と涙が込み上げてきた。これには参った。素晴らしかったな。