日々の泡。

popholic diary

愛しさと心の壁

今日もあっさり退社して、久しぶりに滋賀会館シネマホールへ。今年初映画。ベネット・ミラー監督「カポーティ」観る。「ティファニーで朝食を」の著者として名声を得たトルーマン・カポーティ。彼は新聞で見た一家惨殺事件に興味を持ち、事件を題材にしたノンフィクション小説にとりかかる。事件の関係者への取材、そして実行犯であるペリーと接触し、どんどん彼に近づいていく。「冷血」と題されたその小説を書き上げる為、彼は死刑囚ペリーと虚実入り混じった関係を築いていく。実に見応えある映画。複雑な人の感情。偽りの中の真実、真実の中の偽り。「冷血」とはカポーティ自身のことなのか。ジャーナリズムとエンタティメントの危うい関係。「冷血」は高い評価を得るが、ペリーの死刑執行はまた作家・カポーティをも殺してしまう。カポーティは「冷血」を最後に一冊も作品を書き上げることが出来なかったのだ。カポーティを演じたフィリップ・シーモア・ホフマンが素晴らしい。華やかな虚像に潜む冷徹な目。作家の内面が崩壊していく様を見事に演じ切っていて目が離せなくなった。しかしカポーティの作品、読んだことねーんだ、俺。