日々の泡。

popholic diary

PARADISE EXPRESS

金曜。今週はなかなかにヘビーかつハードだった。けど、大丈夫。カーネーション「WILD FANTASY」聴いてたから。
最新作が最高作。彼らの3枚目のアルバム「エレキング」、コロムビア移籍後の3枚目「ガールフレンド・アーミー」が大好きな僕には、3人になってからの3枚目となるこのアルバムは既に相当なお気に入りだ。
今作を聴いて感じたことをちょっと書いておこう。まず「言葉」について。直枝さんの詞作は今回大きな変化をしていると思う。次の段階、もう一段上のレベルに達しているよう。僕は20代の終わり、カーネーションの音楽、特にその言葉について「都市生活者のブルース」だと書いた。そこで歌われる心象風景は、まさに「僕」そのものだったし、胸の奥で軋んでいるなにかが共鳴してるのがはっきりわかった。生活の中で歩いたり、走ったり、立ち止まったりしてそこから見えてくるもの。静かに耳をすまして、目を自分の内側に向けてみる。純化された感情の原石が、言葉になってる。そんな感じ。そして今作は自分の内側のその先、まるで終わりのない宇宙に繋がっていくような「物語」を感じさせる。「WILD FANTASY」というタイトル、もうこのタイトルしかないと思う。共感なんてレベルを遥かに越えている。宇宙の法則-大袈裟に言うとそこに触れている。もちろんそれは言葉だけを抜き出して語れるものじゃない。音の塊に乗っかって、唄として唄われた時にその扉が開かれるのだ。
で音について。実は最初「きれいにまとまりすぎてる」という部分をマイナス要素として聴いたんだけど、聴き続けるうちにこれだけの音がここまできれいにまとまってるように聴こえてしまうとこが凄いと思うようになった。一つ一つの音の立ち具合が尋常じゃない。特に様々な表情を見せるギターの音(ここまでギターの音が「いい」アルバムを聴いたことがない)。元メンバーでもあるエンジニア・鳥羽修氏の果たした役割は相当に大きいんじゃないか。まとまって聴こえるのに、それぞれの音に焦点をあわせて聴いてみてもその音像がクリアなのだ。歪みも含めてクリアに響いて、一音一音が主張してるにも関わらず、殺しあっていないのだ。これは唸るしかない。
ラストナンバー「PARADISE EXPRESS」。この曲についてはもう何度かここにも書いてる。僕のテーマソング。と勝手に認定する大名曲。ライブでの勢いある演奏に耳が馴染んでたから、このスタジオ録音版にはちょっと違和感があった。でも昨日の帰り道、聴いてたら泣けてきた。心に突き刺さるようなライブヴァージョンとは別の表情。心に突き刺さった後、音は身体の中心を突き抜けて、無限の広がり見せる。そして宇宙が地球を包み込むように、身体の全てを包み込んでしまう。PARADISE EXPRESSは終点の無い銀河鉄道だったのか。
個の先の宇宙。なんてね。

WILD FANTASY

WILD FANTASY