2025/8/30
7時15分、BS朝ドラ「チョッちゃん」起床。朝から映画館。電車乗り継ぎ汗をかきながら久しぶりに出町座へ。
まずはケリー・オサリヴァン、アレックス・トンプソン監督「カーテンコールの灯」を観る。主人公は建設作業員のダン。いつも不機嫌そうな顔をして、苛立ちを抱えているように見える。妻や思春期の娘ともどこかぎこちなくあまりうまくいっていないよう。ある日、仕事場でのちょっとしたトラブルで怒りを爆発させてしまう。そんな様子を偶然見かけたリタは、彼が何か問題を抱えていることを察し声をかける。彼女はアマチュア劇団に所属していて強引に彼を引き入れる。最初は乗り気じゃなかったダンだが、皆と「演じる」ことで徐々に心を開いていく。実は彼と家族は大きな悲しみを抱えていた。そしてその悲しみを受け止めきれないまま、家族の仲はぎくしゃくとしていたのだ。劇団の次回公演は「ロミオとジュリエット」。ダンはロミオ役に抜擢される。悲しみを正面から受け止めきれず、怒りや苛立ちに転嫁していたダン。他者を演じることで、妻や娘も自分と同じく大きな悲しみを抱いていることを改めて理解する。そして多くの人たちが悲しみや様々な事情を抱え生きていることを知る。演じることで、自分自身の中にある悲しみ、喪失感や罪悪感と初めて向き合うことができたのだ。心を開放し、身体を動かし、他者とふれあい、強面で不愛想なダンがロミオを演じる。演じることがセラピーとなり頑なだったダンの心がゆっくりと解けていく。演劇が心の傷をケアしないままにいたダンに悲しんでもいいんだ、泣いてもいいんだと話しかける。いや、もう素晴らしかった。言わばおじさんがロミオを演じるというだけの地味な映画だが、その中に人が悲しみをどう受け止めどう乗り越えていくのかという深く重いテーマがあり、悲しみに寄り添う人々の優しさがある。沁みた~、泣けた~。今年ベスト級!
お気に入りのパン屋「ボナペティ」で買っておいたクリームパンを急いで食べて、本日2本目に。山元環監督「この夏の星を見る」を観る。茨木の高校生・亜紗は天文部に入部。だが2020年コロナ禍が世界を襲う。口元はマスクで覆われ、クラブ活動は短縮。楽しみにしていた手作り望遠鏡で星を探す「スターキャッチコンテスト」も中止になってしまう。だが諦めきれない亜紗はコロナ禍を逆手に取りオンラインで「スターキャッチコンテスト」を行うことに。五島列島に暮らす円華たちや東京の中学生・真宙たちも参加することになり、それぞれの場所でそれぞれの青春が始まる。なんとも瑞々しく心洗われる夏休み映画の大傑作であった。茨城、五島列島、東京、それぞれの場所でそれぞれの青春模様が描かれる。茨城では亜紗や凛久、天文部の面々が「スターキャッチコンテスト」を実現するため奮闘する、五島列島ではコロナがきっかけでぎくしゃくしてしまった円華と親友の小春が「スターキャッチコンテスト」を通じて友情を取り戻す、東京では天音から強引に理科部に入れられた真宙が「スターキャッチコンテスト」で夢中になれるものを見つける。桜田ひより、水沢林太郎、中野有紗、早瀬憩、黒川想矢、星乃あんなといった若い俳優たちのフレッシュで生命力を感じさせる演技が素晴らしい。彼ら彼女らが登場人物たち同様、青春を輝かせている。アニメーションを意識したと思われる鮮やかな色彩、広く風景を捉え、時にハッとするほどに美しいショット、圧倒的なルックの良さがある。そして物語はコロナ禍から青春を奪い返す希望に満ちている。若者たちの姿が眩しく、美しく、おじさんはもうそれだけで涙が出てくる。で若者たちを見守る大人たちもまたいいんだよ。若者たちの背中を押し、出しゃばり過ぎずにそっと支え、ともに笑い合う。演じる岡部たかし、近藤芳正、上川周作、朝倉あき、皆素晴らしかったなー。
で再び汗を拭きふき帰宅。あまりに暑いので大津通り越して石山まで行って散髪。すかっと刈り上げ、すっきり。
2025/8/31
8時起床。朝からマンションの理事会へ。終わってすぐに実家まで。先日亡くなった叔父の法要。母や叔母夫婦と鰻弁当を頂き、叔父宅の片づけを少々。暑ぃ。で帰宅し、夕方から妻と買い物。バタバタと一日が過ぎてしまった。
2025/9/1
9月。プチ鹿島さん言うところの「9月になったらもう大晦日」。今年も終わりだなー
2025/9/2
NHK+で土曜ドラマ「母の待つ里」観る。藤子F不二雄チックな少し不思議な物語。だがF先生と決定的に違うのはもうべちゃべちゃにウェッティ。F先生はもっとこう乾いてる。そこが好き。より理性的で、どこか突き放すような客観性、人生に対する諦観めいたものまである。それなのにより心に響く。
2025/9/3
「チョッちゃん」辛い展開が続くなぁ。
昼休みの読書。樋口毅宏「ルック・バック・イン・アンガー」読了。エロ本出版社を舞台にした連作。作者の実体験が色濃く反映されているとのことだが、いやはやちょっと強烈過ぎる。昼休みに会社で読むのにこれほどそぐわない小説もない。読んでて背徳感にドキドキしたよ。ハードな描写で描かれるのは加虐と被虐が絡み合い、もつれあい、螺旋を描いて落ちていく、生と死と精子の物語だ。この感触、覚えがある。高校生の時、読み漁っていた「つかこうへい」作品の感触だ。学校への行き帰りの電車内で角川文庫のつか作品群をよく読んでいた。特に心に残っているのは「青春 父さんの恋物語」だ。「いつも心に太陽を」「ロマンス」とタイトルを変えながら舞台やドラマでも描かれてきた水泳部の男同士の恋愛物語。悪い方、悪い方へ、嫌な方、嫌な方へと舵を切っていく展開に胸を切り裂かれるような思いをしながら読んでいた。「蒲田行進曲」の続編「銀ちゃんが、ゆく」もそうだったな。とにかくあの何とも言えない感触を想い出しながら読んだ。最後にあとがきを読んだら「偉大なる先人の作品へのオマージュ、影響、インスパイア、露骨な引用から成立しています」として一番につかこうへい「ロマンス」が挙がっていた。
2025/9/4
今日は一日外回りDay。車飛ばして彦根から土山。唯一の楽しみ、外食ランチも時間取れず。ロングドライブはやはり疲れる。体力の限界っ!
radikoで角田龍平「蛤御門のヘン」を聴く。ゲストは作家の増山実さん。新作小説の話を中心に。今のうちに両親から話を聞いておくべきとの話。ちょうどこの前、叔父が亡くなり、その際に母や叔母からいろんな話を聞いた。母がまだ娘だった時代の話。知らなかったことばかりで面白かった。当たり前だがどんな人にもその人の人生があり歴史がある。そのどれもが等しく尊いのである。さて俺の人生はどうなのか
2025/9/5
金曜。台風も思ってたほどひどくならなくて良かった。ここんとこなんだか停滞気味。日記に書くようなこともない。
夜はYouTubeで吉田豪の「豪の部屋」田崎健太さんゲスト回観る。新刊「ザ・芸能界」は先日書店で見かけて少しパラパラと読んだとこ。これは買わなきゃいけないな。田崎さん、京都出身で世代も近い。兄と同い年かな。「サイキック」はあまり聴いてなくて「ハイヤング京都」の紳助とかつボイノリオを聴いてたとのこと。まさに同じだ。で実はこの「ザ・芸能界」にも登場するとある大物に仕事絡みで何度か会ったことがある。向こうは僕のことなどまるで覚えてもないだろうが、確実に今まで出会った人の中で一番の大物だろうな。