日々の泡。

popholic diary

淋しい熱帯魚

そんな訳で金曜。今週もバタバタと過ごしてしまった。忙しさからついイライラ。そのせいで今日は仕事場でちょっとした諍いごと。売り言葉に買い言葉。反省。って俺がすんのか?とさらにイライラ。
ま、気分を変えて。
まずは先週の話。金曜はひょんなことからチケットが回ってきたお芝居を観に。真心一座身も心もザ・ファイナル「流れ姉妹たつことかつこ〜エンド・オブ・バイオレンス〜」。千葉雅子村岡希美坂田聡河原雅彦古田新太池田成志がゲスト。シリーズもののお芝居の最終章なのでついていけるか心配だったが、いろいろ予習しといたこともあって十分楽しめた。っつーかこのメンツでおもしろくないわけないのだが。池田成志さんのくどい(褒め言葉)芝居は好きだな。そういえば僕が初めて観た演劇は池田さん主演の「熱海殺人事件」だったっけ。演劇は専門分野ではないけど、常になんとなく気にはなってるので情報だけは頭に入れてる。でもやっぱり実際観るべきだな。その空間も含めてのもんだし、観たら大いに刺激を受ける。

それから開演前の音楽が畑中葉子から面影ラッキーホールまでって最高だったな。
で翌日は映画。ついに園子温監督「冷たい熱帯魚」観る。
映画の内容については各自調べてくださいね。とにかく映画史に残る“ゲス”な殺人鬼を演じる「でんでん」が最高。「よぉ、みんな、ハッピーかい?」でお馴染み、キザ漫談のでんでんを最初に見たのは「お笑いスター誕生」だった。あれから30年。「よぉ、みんな、アンハッピーかい?」とキチク漫談を繰り広げるでんでん、「殺人スター誕生」の瞬間を見たね。サングラスを外して「どうだい、彫が深いだろ」ってギャグが好きだったが、心のタガを外して「どうだい、人間って欲が深いだろ」と鬼畜の限りをつくすでんでんの血みどろの笑顔に、笑いながら震えあがった。それにしてもよくぞここまでというエログロぶり。しかしながらこれこそが人間の本質なのではとも思ってしまう。世の悪の大半はどうしようもなくゲスいものなのだ。でんでん演じる村田。下品で、下劣で、平気で嘘をついて人に取り込み、人に付け入る男。実はこういうおっさんたちは至る所に居る。昔、地方回りの営業マンだったころに出会った、商店の親父社長たちの顔が村田に重なっていく。僕たち取引先の人間や従業員たちの前で、専務をボコボコに殴りつけてた社長。商談そっちのけで、自分の3P体験を嬉々として語る社長。散々いちゃもんをつけ俺を怒鳴りつけた社長。その1週間後にそいつの会社は倒産してた。あと中国の女がいかにいい塩梅をつらつらと語った社長の小指は無かった。そう。世界はゲスで溢れている。ゆえに巻き込まれる吹越満演じる社本の無力感に共感。ゴツゴツした岩の塊である地球、生きることは痛いことなのだ。

黒沢あすか神楽坂恵の“不健康”な色気も素晴らしかったな。なんつーかひたすら生々しく、肉欲をそそる肉体。ジャンクフードを口汚くむさぼるようなSEXシーン。所詮愛なんてものがいかに嘘くさいもんなのか。そこにあるのは欲だけ。
とにかく誰にでもお勧めしますとは言わない。自己責任で映画館へ!