日々の泡。

popholic diary

2023年1月21日~27日の話。

2023/1/21

8時半起床。寒くて布団から出たくない。レタスとウインナーを挟んでホットドッグ風トーストの朝食。少し日記を書いてから京都まで出る。映画の前に腹ごしらえ。古くからの友人がやってるラーメン店へ。何となく今年は久しく会っていなかった友人たちと会いたいなという気持ちもあって。元気なら嬉しいね。煮干し濃厚ラーメンも美味しかった!大満足。

でTOHOシネマ二条でまずはパク・デミン監督「パーフェクトドライバー」観る。訳アリ荷物の配送を請け負う凄腕ドライバー、ウナ。ある事件に巻き込まれ、泣き虫の男の子とともに悪徳刑事に追われることに。二人の運命はいかに!ってなよくある話と言えばそうなんだけど、若い女性ドライバーと少年というコンビが新鮮でいい。ザ・悪徳刑事を「マイ・ディア・ミスター」のソン・セビョク、裏の世界とも通じるウナの雇い主は「新感染」で印象的な悪役を演じたキム・ウィソン、ウナを追う国家情報院は今や韓国を代表する名女優の一人、ヨム・ヘランと芸達者が脇をがっちり固めて、二人を盛り立てる。孤独な魂が少年との繋がりの中で生きる意味、生きる喜びを知る。オープニングからウナの凄腕っぷりを一気に見せるカーチェイス。そこから怒涛の展開の中にウナと少年の柔らかな交流を描きつつ、ラストは釜山の狭い路地を効果的に使った超絶カーチェイスからの血なまぐさい壮絶アクション。それをパク・ソダムが実にかっこよく魅せてくれる。プログラムピクチャー的な俗っぽくも爽快な一本。

続いてはマリア・シュラーダー監督「SHE SAID その名を暴け」を観る。ハリウッドの世界的映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラ・性的暴行事件。過去何度も疑惑が持ち上がる中、巨大な権力を持つワインスタインはその都度事件をもみ消し、被害者たちには示談を持ち掛け口封じを行ってきた。関係者は見て見ぬふり。NYタイムズの記者ジョディ・カンター、ミーガン・トゥーイーはその構造自体を問題視し、告発すべく奮闘する。ともに子を持つ母である二人の記者は、被害者、関係者に寄り添い丁寧に話を聞く。被害者たちの怒り、悲しみ、無念…。被害を受けた女性たちは、そのことによって人生そのものを踏みにじられてしまう。夢やキャリアは断たれ心の傷はさらに広がっていく。告発は大きなリスクを伴い場合によってはさらなる被害を生む。勇気をもって声を上げた者に対して、石を投げつけるものがどれだけ多いことか。公正であるはずの司法ですら弱者を突き放す。悩み、もがき、苦しみながら記者たちは取材し裏を取り記事にして世に問う-弱者の声を聞き、権力者を頂点とした悪しき構造を暴くのだ。地道な記者の仕事がここまで映画的な興奮を生む。なんと格調高く骨太で凄味のある映画か。公平な社会を保つジャーナリストの仕事の重要性。今、わが国で最も欠けている部分を見せつけられたよう。大傑作であった。

それにしても新聞社に乗り込んで、クソな言い分を吐き続けるワインスタインを見つめるキャリー・マリガン演じる記者の表情。この表情どこかで見たなと思ったのが「MEN 同じ顔の男たち」でクソ男マトリューシカを見つめる主人公の表情。怒りを飛び越えて心底呆れ切った表情。そうなっちゃいますよねぇ…

2023/1/22

朝から昨晩放送されたETV特集「オモニの島 わたしの故郷 〜映画監督・ヤンヨンヒ〜」を観る。「スープとイデオロギー」のヤン・ヨンヒ監督が映画を通して描こうとしたものとは。イデオロギーで分断された自らの家族にカメラを向け、自分自身を問う。その覚悟と想いに背筋が伸びる。「スープとイデオロギー」は昨年観た映画の中で最も感銘を受けた作品。なぜ人はイデオロギーに囚われてしまうのか、イデオロギーを越えて人はつながれるのか。人間の心の行方。考えさせられる。

妻は出かけたので昼は一人でナポリタン。ここ数年パスタをフライパンでゆでるようになって随分気軽にパスタを作れるようになった。別にでかい鍋でゆでる必要ないんだな。

NETFLIXヨン・サンホ監督「JUNG_E/ジョンイ」を観る。22世紀の未来社会。内戦状態が長く続き、伝説の傭兵と呼ばれたジョンイは戦いの果てに植物人間に。軍隊A.I.開発会社クロノイドは彼女の脳を複製し、最高のA.I.戦闘傭兵の開発を進めている。やがてジョンイの娘ソヒョンはこの研究チームの長となり母の脳を使った傭兵開発を続けるのだが…。SFアクションかと思いきや、むしろ母と娘の人間ドラマであり、格差社会と倫理を問う社会派SFだった。死んだ後、脳の情報が活用されるのだが金持ちは厳重に情報が守られるが貧乏人はフリー素材として好き勝手扱われるなどどこか現実とリンクするようなディストピア。スカッと爽快とはいかないがビジュアルのクオリティはさすがのもの。もうその時点で韓国映画の今あるレベルに驚愕する。ヨン・サンホ監督のドラマ「地獄が呼んでいる」でもかっこいい弁護士を演じたキム・ヒョンジュが今作でもハードなアクションを見せこれまたかっこいい。そして次世代の個性派脇役として注目のリュ・ギョンスは今作でも印象的で今後ますます出てくるだろう。主人公ソヒョンを演じたのは今作が遺作となったカン・スヨン。抑えた演技が物語に深みを与えていた。

夜は手羽元のスパイスカレーを作る。なんとか、納得できる味に。なんとなくこなれてきた感じ。

2023/1/23

録画してたドラマ「ブラッシュアップライフ」を。人生3週目に突入するというあっと驚く仕組み、面白いなー。なるほどまさに「ブラッシュアップ」なんだ。

2023/1/24

夕方から猛吹雪であれよあれよという間に雪が降り積もる。頼りない折り畳み傘、革靴のまま25分の徒歩帰宅。天は我々を見放したか!とまでは言わないけれどコートも雪で真っ白。

NHKドラマ「大奥」観る。地元滋賀県出身ということもあり贔屓の堀田真由が良い。キリっとした表情と柔らかな笑顔の落差にグッとくる。

2023/1/25

毎週水曜はテレワーク日なのだが、電車・車通勤組が誰も出社できないという状況ということで急遽会社へ。転ばないよう気を付け徒歩通勤。この前ワークマンで買った長靴が役立った。

spotifyで配信中「角田龍平のメモリーガル」を聴く。髭男爵山田ルイ53世ゲスト回面白い。ラジ談師2人、初顔合わせとは思えぬほどトークがスイングして単純に楽しい。ニセ男爵事件を法的に解決(ep.5)、九条ネギが露呈した40代ナメられ問題(ep.6)と人間の可笑しみがこぼれ出てて思わず笑ってしまう。1回30分弱でサクッと聴きやすいのもいい。

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2023/1/26

radikoで細野さんの「Daisy Holiday!」聴く。ユキヒロさん追悼回。言葉の一つ一つ、選曲の一曲一曲が染みる。結局今週もずっとユキヒロさんの音楽を聴いていた。かかわった作品数の多さとそのクオリティに改めて驚く。まだまだ再発見できる。

録画していたNHKのスイッチインタビュー、細野晴臣×小林信彦を観る。中学生の頃、「日本の喜劇人」を読んで以来、人生で最も作品を読んでいる作家は小林信彦さん。ちょうど今も「夢の砦」の下巻を読んでるところ。特に「観察者」として多大な影響を受けている。このブログで映画やテレビ、女優に言及しているところはすべてその影響下にあるとも言える。で小林さん90歳に細野さん75歳!そりゃまぁお爺さんになられたなぁとも思うが、それ故その発言もいちいち貴重である。

2023/1/27

やたら忙しい日。朝から3本オンラインでの打ち合わせ、見積もりに提案、事務処理仕事もたっぷり。連日、雪道を気を付けながら前かがみで踏ん張って歩いていたからか、午後になって腰がギックリと。腰が痛くてまっすぐ立てない中、2時間ほど残業して終了。歩いて帰れる自信がなかったので妻に車で迎えに来てもらう。