日々の泡。

popholic diary

2021年10月16日~22日の話。

2021/10/16

本日も朝から映画館へ。JRと地下鉄乗り継ぎ京都シネマへ。

まずは今泉力哉監督「かそけきサンカヨウ」を観る。幼い頃、母が家を出ていき父と二人暮らしの高校生、陽。父が再婚し新しい母・美子とその幼い連れ子ひなたとの暮らしが始まる…。なんて繊細で優しく柔らかな力を持った映画なのか。親目線、いやもはや孫を見るような気持ちで観た。瑞々しく、不器用だけど確かな成長の物語。陽、そして彼女が思いを寄せる陸。悩みながらも懸命に考え自分の言葉で語ろうとする姿が美しい。彼女たちをとりまく大人たちもまた、言葉を尽くし正面を向いて子供たちに語り掛ける。そこがまた素敵だった。自分だけじゃなく、誰もがどこか傷つき痛みを抱えている。それに気付き、寄り添うことができた時、人は少し大人になる。それはただのきれい事かもしれないが、そのきれい事に魂を吹き込むことが今、大人がすべきことなんじゃないか。主演は志田彩良。最近よく見る名前だが、やっと顔と名前が一致した。それにしても今泉監督、絶好調であるな。

続いてザイダ・バリルート監督「TOVE/トーベ」を観る。「ムーミン」の作者トーベ・ヤンソンの物語。画家として芸術の世界に身を置くトーベ。著名な彫刻家である父との軋轢やうまくいかない仕事、様々な葛藤の中で生まれたムーミントロールの物語。スナフキンのモデルになったのは政治家の既婚者の恋人。そして出会う舞台演出家のヴィヴィカとの激しい恋。同性愛が犯罪だった時代、二人は二人だけの言葉で語り合い愛し合う。満たされない自分自身を投影したムーミンの物語、あくまで自分は画家でムーミンは遊びだというトーベだったが、いつしかムーミンの物語が彼女の世界を変えていく。愛と芸術、そしてなにより自由を求めたトーベ。日本でムーミンと言えばアニメのほのぼのとした印象が強いが、トーベの激しい生きざま、その葛藤から生まれたからこそ普遍的で強いのだな。

家から持ってきたおにぎりを一つ、ロビーで頬張ってもう一本。

イ・ファンギョン監督「偽りの隣人 ある諜報員の告白」を観る。舞台は80年代半ば軍事政権下の韓国。次期大統領選に出馬すべく海外から帰国した野党総裁ウィシクは国家安全政策部により自宅軟禁されている。彼の家の隣で盗聴し監視する任務に就くのは諜報員デグォンたち。盗聴しながら監視対象であるウィシクの人柄に触れ、政権の姿勢に疑問を持ち始める…。コメディ要素たっぷりの前半(諜報員と家政婦のドタバタギャグは爆笑もの)から一転シリアスな展開に。「愛国者」として任務をまっとうしようとするデグォンだが、「愛国」の名のもとに繰り返される不条理な暴力を前に信念は揺らぎだす。ウィシクの隣人として過ごし、彼が恐れられる「共産主義者」なんかではなく、国を想い人を想う、同じ人間であることを知る。物語はあくまでフィクションだが、今の日本でも響く話だと思う。愛国を掲げ分断を煽る奴らは信用しない方がいい。いまだに「共産主義」がどうたらなんて時代遅れなことを言ってる、まともな民主主義国家ならとっくにブタ箱行きの官房長官がいる国なんだから。

そんなわけで2日で6本という映画リレー。やっぱり映画はおもしろいなー。

2021/10/17

今日はダラダラと。録画した番組がたまっているので消化。「アメリカの今を知るTV」「やすとものいたって真剣です」「アメトーーク」「ガキの使い~」など。

昼は「上海風やきそば」。YouTubeでいろいろ調べて辿り着いたレシピ。まずは麺を焼く前にごま油と醤油を絡ませ、レンジで2分。そこから麺だけをフライパンでしっかり焼く。ほぐさずに片面ずつ焼き色がつくまで焼いてお皿にいったん取り出す。外はカリ、中はフワ状態。野菜と豚肉を炒めて、最後に麺を投入。醤油、中華スープ、オイスターソースで味付け。最後はごま油を一たらし。…ま、それなりに美味しいが、結局、上海風焼きそばの正解が自分の中で確立されてないんだなー。

2021/10/18

しかし一気に寒くなった。

今日もカセットテープを発掘して聴く。白浜久、85年のデビュー作「NON FICTION」。元少年刑務所の法務教官という異色のキャリアで、社会問題を投影した楽曲陣に痺れた。10代の妊娠をテーマにした「6月の雨」は名曲。白浜久さんはデビューの翌年、ARBの3代目ギタリストとして加入。ソロデビュー後、バンドに加入ってそんなことあるの?と当時衝撃だったな。で白浜久加入後のARB、そりゃもうかっこよかった。加入1作目「ONE and ONLY Dreams」は超がつく名盤!石橋凌と白浜久の化学反応が素晴らしく当時熱心に聴いていた。今聴いても名曲多数!

2021/10/19

さとうもかの新作「WOOLLY」がいい。この人は天才だな。ミラクルなメロディ、とんがっててかっこいいアレンジ、唯一無二の歌声。素晴らしい!

2021/10/20

今日も発掘カセット。NOBODY84年作「NIGHT WALKER」。NOBODYは矢沢永吉のバックバンド出身で、80年代はソングライターチームとして大ヒット曲を連発していた。このアルバムも名曲揃い。ロックのいなたいかっこよさがありつつ、洒落ててキャッチーなんだよね。30年以上ぶりに聴いたが、当時かなり気に入って繰り返し聴いてたから、しっかり楽曲は覚えてるな。メロディや歌詞のかけらがよみがえってくる。

同じく84年作、原田真二&CRISIS「MODERN VISION」も聴く。この頃は佐野元春大沢誉志幸、吉川晃司なんてあたりをよく聞いていて、モダンポップだとか言われてたっけ。NOBODYや原田真二は吉川晃司や沢田研二山下久美子なんかのアルバムを聴いて、気に入った楽曲の作家だったことから聴き始めたんだった。原田真二山下久美子に書いた「瞳いっぱいの涙」って曲が大好きでシングル盤も持ってたな。桂文珍がラジオ「ハイヤング京都」でこの曲をかけて、「原田真二さんはえぇ曲書きはりますなぁ」と言っていたのを覚えている。当時はアルバムを聴いて歌詞カードに掲載されているクレジットを端から端までチェックしてたな。ソングライター、アレンジャー、プロデューサー、参加してるミュージシャンなんかをチェックしてどんどん辿っていく感じで。そして85年ムーンライダーズに辿り着くわけだが、それはまた別の話。

2021/10/21

配信で水道橋博士さんの「アサヤン VOL.24 藝人春秋Diary 大読書会」を。ゲストは江口寿史先生。「すすめ!パイレーツ」の第6巻を手にした10歳の時から、50歳の今に至るまでずっと僕の中では憧れのポップスター。ちょうど昨日の炎上話からスタート。江口先生は40年前からずっとかわいい女の子を描いているし、そのかわいさは今もまだピークを更新し続けているのだ。最新作が最高作の人。ファンとしてそれがどれだけ嬉しいことか。そんな江口先生の絵が60点掲載される「藝人春秋Diary」、今までの「藝人春秋」シリーズをテーマに語り合う。その制作の過程を聞きつつ、みんなで読んだ本の感想を語り合う。なんて知的で素敵な時間なのか。

asayan.s-hakase.com

「藝人春秋Diary」昨日手に入れたとこでまだ読めてないので、しっかり読んで、またここで感想を書いてみたい。

2021/10/22

会社帰りに映画を一本。ドゥニ・ヴィルヌーブ監督「DUNE 砂の惑星」を観る。ドゥニ・ヴィルヌーブ監督はとても壮大で美しい絵を描く監督。大きなスクリーンに映る、その美しい絵はもうそれだけで心に響いた。金曜会員デーで1100円で観るのが申し訳ないぐらい。たっぷり3時間、で物語としてはスタートラインに立ったとこで終了!まだ何も始まっていねーよ!

 

今週聴いた音楽は