日々の泡。

popholic diary

2021年4月4日~9日の話。

日曜。妻と佐野元春40周年ライブ大阪城ホールへ。逡巡するところはあったが万全を期して参加。佐野さんを初めて聞いたのは1982~3年頃だろうか。小学6年の時、友達と佐野元春ってかっこいいなーなんて話を運動場でしていた瞬間の記憶がある。当時から深夜ラジオを聴いていたから「彼女はデリケート」とか「SOMEDAY」とか「スターダストキッズ」だとかよく流れていたし、「No Damage」のCMも印象深い。「グッドバイからはじめよう」が好きでエアチェックしたカセットを繰り返し聴いてた。でNYから帰ってきての「Visitors」。84年だから中2の時だ。「コンプリケイション・シェイクダウン」にはぶっとんだなー。以降は全てリアルタイムで聞きながら歳を重ねてきた。妻も佐野さんのファンだったから、結婚前からライブには一緒に通った。もはや銀婚式も過ぎた初老夫婦だけどこうして二人して佐野さんのライブを観られるとは幸せなことだ。ライブはお馴染みの曲から今を捉えた最新の曲までが最強のバンドとともに演奏される。佐野さんの絞り出すような歌声は傷だらけだけど、長い年月をロック&ロールしてきたものだけが持つ勲章だろう。

ということで今週はひたすら佐野さんの曲を聴いていた。音楽が背中を押してくれる。そんな力がある楽曲ばかりだ。

水道橋博士さん主宰のライブ「アサヤン 阿佐ヶ谷ヤング洋品店Vol.2」を配信で視聴。ダースレイダーさん&町山智浩さんの「ビートたけしの優しい夜」からの三又又三キンタマ・ソレイユ、そして泰葉さん登場。色々あった、いやあり過ぎた泰葉さん。人を惹きつけるその当意即妙な話っぷり。昭和の爆笑王のDNAをもっとも色濃く受け継いでいるのはこの人なのだということが明らかにわかる。ラストにうたわれた「マイウェイ」その歌声もさることながら、合間合間に挟まれるちょっとした言葉の間やセンス、スゲー!

ここんとこ身体が絶不調。金曜の午後、休みを取って病院のはしご。血圧に腰痛、内から外からさすがに経年劣化がひどい。しかし病院は時間がかかる。各2時間半の計5時間でぐったり。

土曜。𠮷田恵輔監督「BLUE/ブルー」を観た。誰よりもボクシングを愛しながら負け続る瓜田。日本チャンピオン目前でありながら脳へのダメージに苦しむ小川。最初は遊び半分ながらボクシングに魅入られていく楢崎。強い者が勝ち、弱いものが負ける勝負の世界。だが勝つものが強いのか、負けるものが弱いのか。ボクシングと生活が重なり溶け合うようなやるせなく果てしない物語。勝つ者、負ける者、すべてのそれでも生き続ける人にエールを送るような人間賛歌。優しさとほろ苦さが染み入る傑作であった。

瓜田を演じる松山ケンイチの佇まい、負け続ける男の背中に痺れた。小川を演じる東出昌大も素晴らしかった。勝ち続けなければならない男から滲み出る焦燥。キャリア最高の演技だと思った。ボクシングを通じて瓜田の想いを受け継いでいく楢崎を演じる柄本時生も良い。ユーモアの中にある悲哀、愛すべき男を体現していた。そのほか、ボクシングジムの会長、いきりの練習生などなど脇の登場人物たちの顔が実にいい。

しかし俺も負け続けてる人生だけど、それでもしぶとく日々を重ね生き続けている。鏡に映る顔は…あまりいい顔じゃねぇな。