2018年ベストアルバム
1.「サクラ」前野健太
2.「AINOU」中村佳穂
3.「All the World is Made of Stories」松尾清憲
4.「秉燭譚」桶田知道
5.「a journey of 28 days」武川雅寛
7.「スーパーヒーローズ」のん
8.「Lukewarm」さとうもか
9.「嘘つきと音楽のはじまりに」加藤千晶とガッタントンリズム
10.「Baby Bump」Chara
特に意識したわけでもないのだが、ほぼソロアーティストのアルバムに。
新しいことや変化していくことを恐れていない音楽に惹かれたのかなぁなんてラインナップを見て思う。
前野健太さんのアルバムは歌の生々しさと洗練された音の組合せに新鮮な響きがあった。そしてそれ以上に音楽に潜む物語にとても心惹かれた。歌が生きていると感じた。ここ数年は映画ばかり見ているので、音楽の好みも映画的なものになってきたのかも。
音の新鮮さ、零れ落ちる天才性にぶっとんだのが中村佳穂さんのアルバム。この先、とてつもない音楽家になっていくんだろうとはっきりと感じられた。
ベテラン、松尾清憲さんのアルバムは今年一番のサプライズだったかもしれない。こちらも音の新鮮さに驚いた。変わらぬ美しいメロディとヒリヒリとした新しい響きを持った音の化学反応。素晴らしかった。
独自の道を行く桶田知道さんのアルバムは前作に続いてのベストテン入り。前作からさらに進化し、孤高の音に。でも全然難しいものじゃなくて80年代中ごろの"テクノ"サウンドが音楽ファンとしての出自である自分にとっては、どこか懐かしく心から好きだと感じられるアルバムだった。
ムーンライダーズの武川さんはまさに全身音楽家。存在そのものが音楽であり、アヴァンギャルドもメロウもポップも、全てを飲み込むその大きさは誰も敵わない。アルバムの全曲を演奏したライブは2018年のベストライブと呼ぶべきものだった。
様々な表現活動を行う坂口恭平さん、音楽もまたそのひとつであり、彼にとって音楽はごくごく当たり前に出てくるものなんだろう。人間力がそのまま音楽の魅力になっている。
のんさんの音楽活動についてはちょっと持ち上げすぎじゃないのという印象が最初あった。でも実際アルバムを聴いてみると、とても今の時代とマッチしていて、なんというかとても甘酸っぱい気持になった。ちょっと不安定な歌も、その青臭さも、とても輝いて聴こえた。忘れていたことを思い出させてくれるようなそんな作品。
さとうもかさんが持つ柔らかな才能もとても輝きを持ったものだ。なんというか、とても心地いい"歌心"を感じた。中村佳穂さんなんかもそうだけど音楽が身体からあふれ出てくる感じがなんとも頼もしい。
加藤千晶さんの音楽はもうずっと大好きなんだけど、今作では柔らかな心が持ち得る強さを感じた。今の時代に音楽を作ることの意味。それがたとえ嘘だとしても「Life is Beautiful」と歌いあげること。その覚悟が柔らかな心の裏に見えた。
年末ギリギリに聴いたCharaさんの新作。これはもうただただかっこ良かった。昔、彼女のデビュー曲のPVを深夜のテレビで観た時、スゲーかっこいい!って思った。それを今また彼女の音楽から感じた。これは凄いことだと思う。
ってな感じで、正直この数年、聴いてる音楽の8割は韓国もの。もはやそっち側の音が基準になっている。新しさというと語弊があるかもしれないが、新鮮な音、驚きがある音に惹かれるのもそれが理由かもしれない。それと今年音楽の聴き方として大きく変化したのはサブスクの導入。中2の春からレコード~CDを買い始めて、限定盤だとか言われちゃうとついつい買っちゃったりしながら、33年間に渡り毎月最低でも1枚は買ってきた。がいつの頃からか、聴きたいCDがCDに埋もれて取り出せなっつーかもはや置き場がない、なんなら部屋中CDだらけで足の踏み場がない。なんて状況に陥っていた。で48歳である。人生の折り返しはもうとっくに過ぎている。あとはもうどう処分していくのかを考えなければならない。フィジカルへの想い入れはもちろんあるのだけれど、そうも言っていられない。でちょっと躊躇していたサブスクに思い切って移行。結果、音楽を聴く時間が増えた。もう一度音楽の世界に帰ってきた感覚があった。まだ聴いていない音楽を聴くのは単純に楽しいし喜びだ。新しい出会いや発見に加え、過去からの発掘や再会もまた楽し。
で、こんな風にベストアルバムを挙げるのももう最後かなという気持ちになっている。もっと自由に音楽を楽しもう。なんて気持ちに。